テラーノベル
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リビングに降りると、まだ灯りがついていて、ソファに座った亮が缶コーヒーを片手にしていた。
「咲、もう寝たかと思った」
テレビを消しながら、ちらりと視線を向けてくる。
「……寝れなくて」
亮はにやりと笑って、空いた手で頭をかく。
「悠真と買い出し行ったんだって? あいつ優しかったろ」
「べ、別に……普通だよ」
思わず目を逸らすと、亮は小さく吹き出した。
「まあ、あいつは昔からそういうとこあるからな。人のこと放っとけないタイプ」
さらりとした言葉なのに、咲の胸にはざわめきが広がっていった。