どうもしむねです!
前回の続きからです!
ここから色々と可哀想になります。
あと結構長いかもw
どうぞ!
アニキと愛し合った後、アタシはベッドに腰をかけて一休みしていた。
アニキがアタシに飲み物を渡してきて隣に座る。
黒「…なぁ」
桃「…ん?」
黒「なんで急に…子供が欲しくなったんや?」
桃「…………」
黙り込んでいたアタシに、アニキは一切怒らずにただ黙って返事を待っていた。
ずっと黙っていて、かなり申し訳ない気持ちもあったけど、この静まった空気も心地よく感じてしまう。
黒「…………」
黒「…結婚指輪…買いに行かなアカンな」
シーンと静まり返っていた空気の中、アニキがボソリと呟いた。
アニキは言えないことや言い難い事は絶対に無理して聞いたりはしない。
それで何度かアタシは助かったこともしばしばあった。
でも今は…そういう訳にはいきそうにもなかった。
アタシは覚悟を決め、アニキと向き合う。
桃「…アニキ」
黒「なんや…?」
桃「…ずっと…アニキに隠していた事があるのッ…」
黒「……うん」
アニキもしっかりとアタシと向き合って話しを聞いてくれた。
嫌われてしまう。幻滅されてしまう。そう思いながらアタシは裏で良くない仕事をしていた事を話す。
アニキはアタシが話していた間、ずっと黙って聞いてくれていた。
全てを話し終え、アタシは少し震えながらアニキの返事を待つ。
やっぱり話さない方が良かったかもしれない。嫌われるならいっその事ずっと隠し続けてても良かった。
…すると、アニキの手がアタシの頭に来る。
そしてそのままアタシの頭を優しく撫でてくれた。
桃「……え…?」
予想外の行動に思わず驚きの声が出てしまった。
黒「…ごめんな。気づいてやれんくて」
黒「お前がそういう仕事をする程悩まされとったなんて知らなかった」
なんでアニキが謝るので…?アニキが謝る必要なんでどこにもないのに…
桃「…なんで…怒らないの…?」
桃「アタシはッ…!!アニキにずっと隠して他の男に抱かれてたんだよッ!?」
桃「アニキが謝る必要なんて全然ないんだッ…!!」
桃「…ッ……本当にッ……ごめんなさいッ……」
アタシはベッドから降りて、地面に膝をつけ頭を下げた。
それを見たアニキが止めようと手を差し伸べる。
黒「…顔を上げぇや」
黒「俺は別に怒っちゃいねぇよ」
桃「…ッ…嘘だッ……」
桃「…もう…アタシのこと幻滅したでしょッ……?」
嫌だ、嫌われたくないッ…。アタシはあなたじゃないと……!
黒「……俺は変わらずお前の事が好きやで」
黒「例えお前が…他の男を好きになったとしても、俺はお前を愛しとるで」
桃「……ッ…」
こんなに優しい人間がこの世に存在していいのだろうか。普通に考えればこんな女と別れるはずなのに…アニキはまだアタシを愛してくれた。
アタシの体は…色んな男に抱かれてこんなにも汚れているのに…
桃「…アタシッ……もうかなり汚れちゃっててッ……」
桃「……それでも…アタシを愛してくれるのッ……?」
黒「…当たり前やん」
黒「それにお前は汚れてなんかいねぇよ。めちゃくちゃ綺麗な心を持っとるやん」
「綺麗」なんていう今アタシに1番似合わないであろう言葉をアニキがサラッと言って…嬉しくて思わず涙が出てきてしまった。
黒「ハハッwお前結構泣き虫よなw」
桃「だってッ…アニキが優しすぎるからッ…//」
泣いてるアタシをアニキが優しく抱きしめて慰めてくれた。
アタシはこんなに優しい人と一緒にいてもいいんだろうか。アニキの事は大好きだけど…少し申し訳ない気持ちがあった。
それに、アタシはそういう仕事をしていたから、結婚したことによってアニキが悪く言われてしまうのではないか、そんな心配にもなった。
そうならない為にも、こうするしかない。
桃「…アニキ、お願いがあるの」
黒「…なんや?」
桃「…アタシと結婚した事は…周りには内緒にしといて」
黒「え…?なんでや…?」
桃「こんな最低な女と結婚したって知られた時、もしかしたらアニキが悪く言われるかもしれない」
桃「そんなの絶対に嫌だから…周りには内緒にしといて…」
黒「…お前がそう言うなら……言わないでおくわ」
桃「……ありがとう」
しんみりとした空気の中、アニキが少し不安そうにアタシに問いかける。
黒「…1つ…気になる事があるんや」
桃「……なに……?」
黒「…もし…お前が妊娠した時……」
黒「……俺の子やなかったら…どうするんや…?」
桃「………」
桃「1つの命だもん」
桃「責任もって…ちゃんと産むよ」
黒「……そうか」
先程までよりも1番不安そうに喋るアニキ。それもそのはず。妊娠して子供が出来ても誰の子か分からないのだから。
もちろんアニキも自分の子供が欲しいと思っているのだろう。
不安そうな彼の表情から打って変わって、明るい表情に変わり…
黒「ないこ、新しい家に一緒に住もうか♪」
桃「え…?ここじゃダメなの…?」
黒「ここもええけど…少し狭いやろ?」
黒「子供も迎えなアカンしな♪」
桃「……アニキが大丈夫なら…いいけど……」
黒「ほな、決まりな♪」
1度決めたことは辞めない性格のアニキ。色々結婚の話をしてからアタシは自分の家に帰ることにした。
桃「……もう朝だ……」
玄関を開けると夜が明けていた。かなりアニキと話していたのかもしれない。
桃「…あの…色々とありがとねアニキ」
黒「ええで。また来いよ♪」
そういって笑顔で見送る彼。それに釣られてアタシも笑顔で手を振った。
2週間後、あの仕事は完全に辞めてアニキと同棲を始める事になった。
前のアニキの家とは少し違って広い部屋に変わっていた。
桃「……おし、荷物はこんなもんか」
引越しの荷物を部屋に下ろし終え、一休みする。
すると、アニキから電話がかかってきた。
アニキは今日は普通に仕事だから今この場にはいなかった。
桃「…もしもし?」
黒「あ、もしもしないこ?今日帰りが少し遅くなるから待っといてくれるか?」
桃「……?分かったー」
飲み会にでも行くのだろうか?まさか浮気?いや、あのアニキがそんなことする訳ないか。
色んな感情が芽生えてしまう自分が本当に最低に感じてしまった。
午後10時
アニキはまだ帰ってこなかった。
桃「…?アニキの仕事って定時で5時には終わるよね…?」
桃「……少し遅過ぎなような…?」
電話を掛けてもアニキは出なかった。
この広い家の中に1人で居ても退屈なので、アタシは家から出てアニキを探しに行った。
しばらく歩いていると……パトカーや救急車が見えた。
その周りにはたくさんの人がいて、恐らく事故があったのだとすぐに気づいた。
アタシは少し気になって事故現場を覗き込む。
……そこには、人が倒れていた。ブルーシートで被されていたが…髪だけがはみ出ていてそれだけで誰だか分かってしまった。
桃「…アニキッ……?」
信じたくなかった。今担架に運ばれているのが…アタシの最愛の人だと……
アタシはすぐさまアニキの元へ駆けつける。
桃「アニキッ……!!」
すると、そばに居た救急隊員の人がアタシに声を掛けてきた。
「この方のご関係者ですか…!?」
桃「………ッ…」
ここですぐに「この人の嫁」だと言えばよかったのに……言葉が詰まってしまった。
アタシ達は結婚をしていることを隠していて、アニキに迷惑をかけるのも嫌だった。
桃「……アタシは……」
桃「この人の……友達ですッ……」
こんな嘘はつきたくなかった。でも……もう仕方がなかった。
こんなアタシでも救急隊員の人はアタシも一緒に病院へ連れて行ってくれた。
救急車で搬送されている途中に、救急隊員からある物を渡された。
「これ…彼が握っていた物です。良ければ貴方が預かって頂けませんか?」
そう言われ、アタシはそれを受け取った。
……渡された物は、小さい紙袋のようなものだった。中身に何が入っているのか分からない、ただのクラフト紙の袋。
アタシはその袋の中身を周りに見られないようにこっそりと開ける。
袋の中には…小さい箱が2つ入っていた。
桃「…………ふッ… ぅッ…」
アタシはその場で泣き崩れてしまった。
救急隊員の方達に心配されたけど、アタシはただ、アニキが目覚める事をひたすら願っていた。
病院にたどり着き、手術室へアニキは運ばれていった。
私は待合室で必死に願いながら待っていた。
1時間後……
手術室の扉が開かれる
アタシはすぐにアニキの容態を確認した。
桃「…あ、アニキはッ……?」
「……手術は成功しました。命に別状はありません」
桃「…良かったッ……」
「ただ、1つ大きな問題が起こりました。」
桃「……え…?」
「車に跳ねられて頭を強く打っておられます。彼は、重度の記憶障害を抱えた可能性があります」
桃「………………」
桃「……それは…」
桃「……アタシの事を……忘れちゃうぐらい酷いですかッ……?」
「……はい」
「むしろ、自分の名前も思い出せないくらい…かなりの記憶障害になるでしょう」
桃「……そう…ですかッ……」
アタシはただ泣く事しか出来なかった。
記憶障害になったということは…結婚の話も何もかも全部忘れてしまったということ。
アタシはバチが当たったのかもしれない。アニキに隠して他の男に抱かれたりとか……
……これは…アタシの戒めだ。
桃「……先生…」
「…はい?」
桃「……後は…お願いします」
桃「……私はもう…彼には会えませんのでッ……」
1週間後、あれ以来アタシはアニキと会わないようにした。
アタシは家の中にある私物を全部まとめる。
アタシがいた形跡が無くなるくらい綺麗に片付けをした。
……ある物以外は……
桃「……指輪…」
桃「……これだけは…置いとくねッ……」
アタシはとある引き出しの奥底に結婚指輪の入った紙袋をしまいこんだ。
……よくよく考えたら…なんでアニキが中身が分からないクラフト紙の袋に入れていたのか…分かった気がする。
……アタシが結婚を内緒にして欲しいと言ったから、周りにバレないように中身が分からない袋に入れたのだろう。
どこまでも優しい彼。最後までアタシはアニキに優しくされていた。
桃(……そういえば…)
桃(…生理…来てないな……)
……ーーーー…………
桃「……という、ことなんですけど…」
桃「今…妊娠8ヶ月ぐらいなんです……」
桃「……まだこの子のDNA鑑定が出来てなくて……」
桃「…よ、良ければでいいんですが……一緒に鑑定をッ……」
ギュッ…
桃「……え…」
黒「……ごめんッッ……」
黒「……ホンマにごめんッ……」
桃「…あ、アニキ……?」
黒「……ないこ」
黒「俺……お前のこと…全部思い出したでッ……」
続く。
泣くぞ(((
もう職場で書きながら泣いた((
恐らく次で最終回です!
あと表紙も描きました!!
もう何も言わねぇ!!!(((
見て頂きありがとうございました!!
コメント
27件
なんだ..なんなんだ....もぅ目から水が...思い出したんだね....
ぎょわぁぁぁ!!最高です!続き楽しみにしてます(*^^*)