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私の意識は
兄の言葉で、やっとハッキリした
震える手で涙を拭った
妹を抱えて走った
兄と母はもう駄目だと分かってしまった
夢でも、幻でもないんだ
巨人の足音も
めちゃめちゃになった死体も
全て無視して、私は走った
心臓が破れる程
ただ走った
ジュニーも
兄の意志も
殺したくなんてなかったんだ。
暫く走った頃だろうか
駐屯兵団と会うことが出来て
私達は避難船に乗った
『ジュニー…?』
まだ私の手は震えている
その後
ジュニーは
船に乗った後
血液が足りなくて
あっさりと息絶えた
一人でも多く乗せられるように、と
死人はそのまま湖へ捨てられた
ドボン、と水の跳ねる音がした時
唐突に意識が遠くなった
着慣れた筈の服が、妙に肌を掻く
自分も血が足りてなかった事を思い出した
私は涙、胃液、汗、
全ての体液をそこにぶち撒けた
意識を手放しかけた頃
近くで大きな音がして
霞んだ目で遠くを見たら
内門が
何か、大きな巨人に突き破られていた
人類は
また敗北した