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俺の初恋は小学校の男友達—–
これで終わったな、若井との友達関係も
わかってる。
じぶんの中にある違和感。
誰かに知られたら変な目で見られる。
嫌われる。
そうして学校に行くのも怖くなった。
人の視線が怖くなった。
若井と過ごす時間は楽しかったけど…
もう終わり。
これ以上俺の闇だけが広がり続ける世界にあいつを付き合わせる訳にはいかない。
若井は黙ったままだ。
驚いたんだろう?
意を決して若井の方を振り向こうとした。
「若井っ…」
一瞬何が起こったのかわからなかった。
気付くと若井が後ろから俺を抱き締めていた。
「おい…若井何して…」
「早く知りたかった。元貴の初恋のこと…」
「俺のこと気持ち悪くなっただろ?離せよ」
若井はなおも力強く俺を抱きしめてくる。
「若井…同情とかいらねぇから」
「違う。同情じゃなくて…今わかった。元貴の歌が何であんなに俺の心を打つのか…辛かったんだよな?ごめん、気付けなくて…」
そんな言葉をもらえるとは思わなかった。
俺は不覚にも泣きそうになった。
若井の体温が温かくて少し心が和らいだ。
「若井お前…俺に襲われるとか思わねーの?怖くねぇのかよ…」
若井が抱きしめていた手を離す。
そして、俺の両腕を掴んで自分の方へ振り向かせた。
「元貴は恋愛対象が男ってことでいいの?今も?」
俺はしばらく黙って考えた。
嫌われたくない。
正しい答えがわからない。
「そいつしか好きになったことないから…わからないけど多分そう…」
「Hな動画観ても女の子に何も感じない?」
「女の裸に興奮したことねぇ…だから俺はおかしいんだと思う。学校の男友達とは話が合わない」
「中学生なんてHな話しかしないからね…」
一瞬の沈黙のあと、若井が言った。
「じゃあさ、元貴は俺とはキス出来る?」
「は!?」
若井が何を言ってるのかわからなかった。
お前を手離そうとしたのに…
何でそんなこと言ってくるんだよ…
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