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「ぉ……さん、お…もりさん」
「大森さん?!」
目を覚ますと、白い天井と、チーフを含めた、スタッフの面々が見えた。
違った。
地獄に落ちたわけでも、
天国に逝った訳でもなかった。
まだ、「死んではいけなかった。」
だから涼ちゃんは俺を突き放した。
俺を現実世界に留めた。
「ッははっ、」
乾いた笑い声が出る。
「大森さん?!」
スタッフがどうしようと慌てているところ
「大森さん、目を覚ましましたか。」
そう言って、医者が僕に向かってくる。
「貴方に伝えなければいけないことがあります。」
「?」
俺は自分の体を見てみると、
包帯でぐるぐる巻きになっていて、
よく分からなかった。
そして、胸らへんに見覚えのない傷ができていた。
「大森さん、貴方が飛び降りる数日前に、藤澤さんと、若井さんが亡くなりましたね?」
「はい。、」
「貴方が飛び降りた時、臓器が機能しなくなってしまい、急遽、型が一致した臓器を移植しました。」
まさか、
そう思った。
医者は「臓器提供意思表示カード」と書かれた小さなカードを渡してきた。
氏名欄には、藤澤 涼架と書かれていた。
「…、」
さっき突き飛ばされた時のことを思い出した。
思い返してみれば、涼ちゃんは、心臓の当たりを優しく押してきた。
あぁ、涼ちゃん、
ほんとに貴方って人はどこまで見越してるの?
俺が寂しがることも
自殺を図ることも
「せっかく仲間に助けられた命だ。二度と自殺なんてしないでください。後でカウンセラーも来るので、それでは。 」
そう言って医者は出ていった。
「大森、申し訳ないけど、今渡したいものがある。」
そうチーフがいい、小さな紙切れを渡してきた。
紙切れには、見慣れた活字が並んでいた。
「元貴は、もっとたくさんの人に音楽を届けて。待ってるから。では、また、あいましょう」
紙切れの端が焦げていた。
間違いない。
この字、そしてこの庶幾の唄の歌詞の最後。
こんな風に残す人は1人しか知らない。
「ッ、あ゛ぁぁぁぁぁあぁッ」
言葉にならない叫び声が病室に響く。
そのまま震えた手で紙切れを持ち、嗚咽を微かに漏らしながら泣いた。
「涼ちゃん、若井…。」
2人の名前を久しぶりに口にした気がする。
こうして俺は1人になった。
罪を償った数年後には、
テレビの中で、一人で、
「今度はちゃんと手を握るからね〜♪」
なんて歌った。
end
意味不明な終わり方でほんとごめんなさい🙏
題名は天国なのにまさかの庶幾の唄オチという…😂
これでこの物語は終わりとなります。
今までこの長い長い話にお付き合いくださってありがとうございました🙇♀️