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一緒に教室に行くこともあって、楽しんで陶芸に取り組む母の姿を見るのが、子ども心にすごく嬉しかった。



そして……



母はそこで運命の出会いを果たす。



一堂 誠之助に見初められたんだ。



超有名化粧品会社の社長だということは後になって知ったけど、笑顔がどんどん増えて明るくなっていく母を見ていればわかった、身分の違いなんて関係ないって。



きっと、母は本当に幸せだったと思う。



お互い再婚同士ではあったけど、プロポーズを受け、結婚することになり、私も新しい父と妹ができることにワクワクした。



ずっと側に母がいてくれたから、父親がいなくても寂しくはなかったけど、それでも家族が増えることはものすごく嬉しかった。



だけど……



父の連れ子である妹の麗華(れいか)は……新しい家族を歓迎してはくれなかった。



母のことを「あの人」と呼んで、決して自分の母親として認めることはなかった。



本当のお母さんを亡くしてしまった麗華にとって、新しい「お母さん」は必要なかったのかも知れない。



自分に置き換えれば、その気持ちは痛いほどわかるけど……



でも、母にとって、その態度は本当につらかったと思う。



好きになった人がたまたまお金持ちだっただけ。



それなのに、麗華は母に対してどんどん辛辣な言葉をぶつけるようになっていった。



『この家に入り込んだのは財産目当てでしょ? ただのそこら辺にいる主婦が、お母様の代わりになれるとでも?』



『財産なんて関係ないよ。お母さんのこと悪く言わないで。お母さんは麗華のこと、ものすごく大切に思ってるんだよ。私だって本当の妹みたいに……』



『彩葉さんは黙ってて! あなた達にはこの一堂家の名前を名乗る資格なんて無い!』



そんなやり取りが数年続き、とうとう母は体調を崩してしまった。



心も体も……



父や私の愛情だけではどうにもならない闇が、母に襲いかかってしまったのか?



母はまた……笑えなくなった。



お医者さんから、何よりもストレスの無い場所での静養が大事だと言われ、母は今、実家でのんびり暮らしてる。



かなりの田舎だけど、父も私も、何とか時間を作ってたまに顔を見にいくようにしてる。



雪都を連れて行くと喜んでくれて、少しずつ笑顔も出るようになったけど……



でも、まだまだ全てが解決してるわけではなさそうで。



心がつらくなることがあると体にも障るし、たぶんもう一堂家には戻らないだろうと思う。



優しい優しい母。



本当の私の父に浮気をされて、かなりひどい仕打ちを受けても、私には何も言わなかったし、麗華のことだって1度も悪く言ったことがなかった。



優し過ぎて、いつも1人で抱え込んで……きっと、人知れず涙を流していたんだよね。



ごめんね、何もしてあげられなくて。



本当はずっと側にいてあげたいけど、私がいたらまた母は「頑張って」しまうから。

あの夜、あなたがくれた大切な宝物~御曹司はどうしようもないくらい愛おしく狂おしく愛を囁く~

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