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楽地みどり
485
ちか
2,180
27
本編前に色々〜
これからは血や怪我などの表現だらけです。
苦手な方は回れ右!
これは現代…よりも前の話
昭和31年
僕は国に背を向いてようやく職に就けた。
しがない銀行職員である。
けれどあいにく左手が動かなくなった。
「渡部君、松戸君来なさい」
副社長室に案内をされる。
社長は地元で仕事をしているそうな。
ワイン色の空が部屋に流れてくる。
松戸さんは僕の同僚で、頭がよく回る。
一緒に呼び出されてお気の毒だな
「君たちにはこれから取引に出てもらう」
「場所は社長の地元だ」
濃い眼鏡の縁が光る
「そんなっ!地元なんて一言も社長はバラしてないじゃないですか!」
「場所も分からないようじゃいこうにも行けないじゃないですか!」
社長には随分と可愛がってもらった覚えがある
「葱ノ眼村」
副社長が目を丸くした
「君!今なんと!」
「社長には随分と可愛がってもらったので」
コホンとタバコの匂いが混じった咳で副社長はノリを取り戻し
「君たちには社長を当主にしてもらう」
「葱ノ眼一族の当主に」
またもや黒縁のメガネがワイン色の日を反射する
「葱ノ眼…血液製剤の会社があるんですよね」
「 そこで手柄を取ってもらわないといけないのだよ」
時計を見る
まだ間に合う
「ここから夜行に乗れば行けます」
「では、頼むよ。」
タバコの一本を取り出して吸おうとする
「渡部さん、夜行ってどの便?僕わからなくて…」
「ああ、ついてきてくれ」
席が向かいになっている夜行に乗り込む
お互いタバコを吸う
幼子の咳が聞こえる
不意に数年前の記憶を思い出してしまう。
「死にたくない…」
教官の声が空気を伝ってやってくる。
「卑怯ども者め!死ぬのを恐れたか!」
さらに前の記憶が辿られていく
「まぁ!翅ちゃん、戦争についに行くんですってね!」
「ええ、ではもうそろそろなので僕はこれで」
「祖国のために頑張って行ってらっしゃい!」
その時に見たご近所さんの顔は酷く笑顔だった
「……ん!」
「渡部さん!」
「ああ…ごめんごめん」
「降りるよ」
その後、僕らはタクシーに乗り
葱ノ眼トンネルで下ろしてもらった
トンネルの先には酷く綺麗な田園と家々。
蝉の声が聞こえてくる。
「渡部さん、鼻緒が切れてしまって」
「ああ、結びますよ」
拙い手で結びきる
君の笑顔は戦争を知らない子供の様に綺麗だった。
キャラ説明
渡部翅
年齢:32
見た目:メガネ 黒髪
職業:銀行職員
性別:男
補足:社長に可愛がられていた。左手が動かない。松戸と同僚。
松戸弥
年齢:30
見た目:メガネ 茶髪気味
職業:銀行職員
性別:男
補足:片目と左耳にやけどがある。渡部と同僚。上からは嫌われ気味。
コメント
1件
うわ、これめっちゃ雰囲気あるな…!昭和31年の銀行員、左手が動かない渡部さんと火傷のある松戸さん、そして「葱ノ眼村」。タイトルの「青い空」と戦争の記憶の対比がすごく効いてる。夜行の中でフラッシュバックする「死にたくない」と、笑顔で送り出すご近所さんのシーン、胸にグッと来たわ。続きが気になる…!