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翠玲
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司会「……に、二億三千七百六十二万ポイント……?」
司会の声が震える。
体育館中が静まり返った。
誰も、耳を疑っていた。
「え……全財産?」
「会長、何言ってるんだ……?」
「冗談、だよね?」
ざわざわと広がるざわめき。
開始価格一万ポイント。
そこへ、歴代最高ポイント保持者が、いきなり全財産を賭けた。
そんな入札の仕方など、誰も見たことがなかった。
司会は何度も端末を確認する。
司会「か、確認します……。入札者、生徒会長・みことさん。」
司会「入札額……二億三千七百六十二万ポイント。」
司会「……有効です。」
その瞬間、体育館がどよめいた。
「有効なの!?」
「誰も勝てないじゃん!」
「これ、競りになってないだろ!」
しかしルール上、問題はない。
オークションはポイントの多い者が勝つ。
ただ、それだけ。
司会は困ったようにマイクを握る。
司会「え、えーっと……ほ、他に入札される方は……」
静寂。
誰一人、札を上げない。
当たり前だった。
学年一位ですら百五十万ポイントほど。
教師でさえ数千万ポイントが限界。
二億を超えるポイントなど、誰も持っていない。
司会「……三回数えます。」
司会「一回。」
誰も動かない。
司会「二回。」
体育館の空気が重くなる。
司会「三回!」
カンッ!
木槌が鳴り響いた。
司会「落札です!!」
その瞬間、大歓声が上がった。
「うわああああ!」
「マジかよ!」
「会長が全財産使ったぞ!」
「相手、こさめだぞ!?」
「なんで!?」
驚きの声が飛び交う中、一番状況を理解できていないのは、当の本人だった。
🦈「……え。」
こさめはその場に立ち尽くしていた。
モブ「……こさめ?」
隣のクラスメイトが肩を揺らす。
🦈「え、あ……」
頭が真っ白だった。
『落札』
その文字だけがスクリーンに映っている。
その横には、自分の名前。
🦈「どういう……こと……?」
自分は今まで、一度も入札されたことがない。
なのに今日は。
学校で一番ポイントを持つ人が。
全財産を使って。
自分を落札した。
理解が追いつかなかった。
その時だった。
👑「こさめちゃん。」
優しい声。
顔を上げると、人混みをかき分けながら、みことがこちらへ歩いてくる。
歓声は自然と静まり、みんながその様子を見守っていた。
みことはこさめの前まで来ると、少しだけ目線を合わせるようにしゃがむ。
👑「びっくりさせちゃったね。」
その声は穏やかだった。
🦈「……なん、で……?」
こさめは小さく尋ねる。
🦈「なんで……こさめなの……?」
みことは少しだけ目を細めた。
👑「それは、まだ秘密。」
🦈「え……?」
👑「ちゃんと話す。でも今じゃない。」
こさめは混乱したまま首をかしげる。
👑「でも、一つだけ約束する。」
みことはまっすぐこさめを見つめた。
👑「こさめちゃんを、物みたいには扱わない。」
その言葉に、周囲が息をのむ。
恋愛オークションでは、落札された側を「所有物」のように扱う人も少なくなかった。
だからこそ、その一言は異例だった。
👑「一旦一年間。」
👑「その間、俺はこさめちゃんの隣にいる。」
👑「……それだけ。」
こさめはその瞳を見つめ返した。
不思議だった。
初めて話したはずなのに、その目はどこか懐かしくて、優しかった。
けれど――。
体育館の後ろでは、そんな二人を面白く思わない視線も向けられていた。
「……気に入らない。」
誰かが小さくつぶやく。
「なんで、あいつなんだよ。」
嫉妬と羨望が入り混じったその声は、やがて静かな波紋となって学校中へ広がっていく。
コメント
3件
コメ失です! みこちゃんんんん!!! 最後だれぇぇぇぇぇ!? 大好きです。愛してます。
読了しました……! 2話、一気に持ってかれました。二億超えの全財産入札って、もうオークションの次元じゃないですよね。あれだけの金額をこさめちゃん一人に投じるみこと会長の覚悟、すごすぎて鳥肌立ちました。 「物みたいには扱わない」って約束を、あの場でちゃんと言葉にする優しさにじんときました。でも最後の「気に入らない」の視線……続きが気になりすぎます。次の展開、楽しみにしてます🌙