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読んだことあるって思ったそこの君…ちょっと修正したから許して下さ…🙏
⚠学パロ ⚠シリアス ⚠長いです
⚠第10話の蟹さんのゆめのなかみ。
ーーー
からんころん
綺麗だな。
楽になれる。
あぁ、ふわふわする。
ーーー
公園のベンチに座ってラムネの飲み終わったビー玉をカラカラと鳴らす。
炭酸が少なくほんのり甘い。とても飲みやすかった。
暑い日にはぴったりだ。
あれ……今って夏だっけ…?
まぁ、いいや。
さっさと学校に向かおう。
ーーー
ガラガラなんて音も鳴らさずに静かに誰にも注目を浴びないように自分の席へと向かう。
眼鏡を軽く押し上げて本を読む。
鞄を開けて少しだけ黒ずんだ本を取り出す。
明るい元気な主人公と、自分を過小評価してしまっている主人公。
正反対な二人の成長物語。在り来たりだが、この本は在り来たりだからこそ面白かった。
いつも通り本を読もう。そう決めたときだった。ふと、耳に入る声。
「もうすぐ三年だなぁ…。どの高校行く?」
「えー、おれはぁ…まだあんまり決めてねーわ。」
「だらしねぇ~」
そっか、俺、どの高校行こうかな。
他の人の会話文なんていつも耳にするが、俺に関する事だったから考え込んでしまった。
勉強…なぁ……
前のテストの結果を思い返す。
20点、31点、18点…………………はぁ…
悩めるレベルでも無いな。
「……前までは成績良かったのにな。」
ポツリと騒がしい教室にかき消された言葉は俺にとってはあまりにも苦しい言葉だった。
自分で言ったはずなのに辛くなる。
思い出したくない。やめて。記憶から消したいんだ。
────────────
「レトルト、じゃ、待っててね。」
「うん。気をつけてね。」
「母さん。行くよ。」
「ちょっと待ってよ、あなた。」
「毎度のごとく喋っているからだろう。」
「そうだけど…」
むすっと母さんが頬を膨らます。
それを見て父さんは微笑んで、「早めに帰る」と優しく言って手を振った。
いつも通り、いつも通りに帰って来ると信じてた。
ーーー
プルルルル
静かな部屋に響く。
ガチャリ
「はい。もしもし。」
『れ、レトルト?あ、あ、あ、あの…』
「ばあちゃん?どしたの?」
『お、落ち着いて聞いてね。』
婆ちゃんは酷く焦っていて、なんだかこちらも焦ってきた。
『────お母さん達、事故にあったの』
「………………え?」
信じられなかった。あんなにいつも通りだったのに。なんで、なんで。
病院にとりあえず俺は行くことにした。
ーーー
「母さん…!父さん………!」
そう二人に問いかけても返事はない。
「目、覚ましてやぁ………。」
「……………俺の誕生日、祝ってくれるんやろ…?……………」
泣いても解決はしない、目を覚ましはしないことは分かっている。だけど、泣くことしか俺にはできなかった。
「……………起きてよ…………」
二人の手を握った瞬間だった。
ピー
背筋が凍った。
お、れが、ふたりを、ころした…のか、
冷静になるとそのことしか考えられなくなった。
「あの……これ、潰れていますけど…………。」
「お母様方からだとおもうので…。」
そのとき、看護師の一人が気を紛らわそうとある物を見せてきた。
「」
俺は言葉が出なかった。
逆効果だった。
「あ、」
渡されたのはケーキ。
皆で、笑顔で、俺の誕生日を祝いながら食べるはずだった物。
それを、自分なんかの誕生日を優先して、親を殺した。
罪悪感に押しつぶされそうになった。
吐き気がする。
だが、朝から何も食べてない空っぽの胃からは何も出ない。
ただ、嗚咽がでるだけ。
「ぅお…………ぇ………かっ………ぁぅ………」
それから俺は誕生日が嫌になった。
もう、二度と来るな。
忘れてしまおう。
ーーー
『レートルートさん』
「…………え?」
寝ているのだろう。真っ白な部屋に声が聞こえて、俺が居るだけ。
夢にしては、リアルだけど。
『君、もうまともにペンも握れないよ?』
『気づいてないよね。まだ、持ってないもんね。』
急に連れてきといて何を言っているんだこいつは。
そもそも誰なんだ。
不信に思っていると核心をつく言葉が降ってきた。
『今まで頑張ってきたお勉強も、文字が書けなきゃ意味ないもんね。』
……誰かは分からないが、そのことは図星だ。
親の期待ために頑張ってきたのに、文字が書けなくては罪滅ぼしができない。
『もぅ~、そんなに落ち込まないで。特別にペンを持てるようになる、交換条件をだしてあげるよ。』
ケラケラと嘲笑っている声が聞こえる。
無性に腹が立つ。自分の声とそっくりだから。
『君の弱点教えてあーげる。そして、君の代わりになってあげる。』
『そのかわり………マスクしてくんない?』
それだけ?で、いいの?
てか、なんでマスク?
驚きで声が出なかった。
けれどその言葉をすくい取るように、返事をしてくれる。
『俺はね、仮面がないと代われないからね。だから、この交換条件。ど?』
「い、いいよ。」
たった、それだけだ。俺に不徳は無い。
むしろ、なぜそこまでしてくれるのか不安になったぐらいだ。
『あ、でも俺に代わるといっても、勉強は怠らないでね。』
「う、うん。」
今ぐらいの知能ならいけるだろう。
安心していると、声が聞こえる。
『じゃあ、契約成立ってことで教えてあげる』
『君はね、弱くなると、関西弁でちゃう。そんで、人付き合いが駄目。うーん……後はぁ…………』
『脆い。急所を突かれると直ぐに壊れて戻れない。』
『そんだけ。』
『またね、………早速………始めよう。』
プツリと夢から目覚めた。
───────────
また、思い出してしまった。
そこから、一変した。
起きたら、苦しくて、学校に行くことすらまともにできそうでは無い状態だったはずが、マスクを着けると楽になれた。
「明るくなったね。」
婆ちゃんからも言われた。
嬉しくも悲しくもなかった。
そう、マスクを着けるとまるで別人のように体が軽くなる。
だが、俺の感情なんて入らない。
笑顔だって、哀しみだって、作られた物を被るだけ。
勉強も、俺の脳ではないくらいに落ちていてひたすら勉強、勉強の毎日だった。
自分をさらけ出さない安心感とともに、いつのひか苦しさが芽生えていた。
これは俺じゃないから。知らない人だから。
そう言い聞かせて。
強固な仮面に操られているように苦しくなった。息がしづらかった。
けど、そんな感情も消え失せて今じゃどうでも良くなった。
俺は、俺ではないのだから。
「レトさん!」
学校で授業を受けると呼ばれたこともない呼び方。
だれ?
俺はいないよ?
だけど涙がこぼれる。
あれ、この声。
俺、好きだな。
俺自身を認めてくれそうな声。
この声の人になら、俺を、本物を見せてもいいのかな?
許してくれるかな?
ピキッ
仮面が割れて目を開ける。
涙でぐしゃぐしゃの、愛しい人の顔が初めてしっかりと見れる。
あぁ、もう、ぶっさいくな顔。
けど、心配してくれてありがとね。
ただいま、キヨ君。
叶わぬ想いだけど
今までで一番の優しい笑顔を俺は
今までで一番大好きな人へと向けた。
ーーー
表現が分かりにくい所があれば、遠慮せずにお聞き下さい_(._.)_