【北村視点】
「ところでさ、北村くんと山本くんは、
彼女おんの?」
と、長谷川さんが言った。
関西人は、なんでこんなに
デリカシーがないんだ。
「んー俺は…特に?」
山本が言った。
「え、俺、も…いないですけど。」
普通いないって言うのは
言いにくいものだが。
山本は多分、 口が滑るタイプだった。
しばらく考えたあと、
山本が口を開いた。
「そーゆー、王室先輩たちは?」
まったくデリカシーのない…
なんなんだこいつは…
「私は、ここの大学最近卒業した
先輩と付き合ってるんだ。」
と、月岡さんが言った。
「僕は…奈緒、と。」
藤本さんがすこし照れて言った。
気まずいだろそれ…と思う暇もなく、
「え、気まずくないですか?」
と、山本が言った。
藤本さんと長谷川さんは
月岡さんを気まずそうにみていたが
「いやいや、そんなことないよ。」
と月岡さんが言った。
「…うせ。 」
「ん?姫さん、なんか言いました??」
「いやいや。」
月岡さんは、「どうせ」と言った。
正直、女性には特に興味がなかったから、
気にしていなかった。
ある日の朝、長谷川さんと
二人きりになった。
「ん、お!!北村くんやん!!
おっはーー!!」
彼氏持ちの人とは話したくなかった。
でも経験上、ねちっこい人は
適当に話を流せばいい。
「あ、北村くん正直、
私らんこと好きちゃうやろw」
ここまで知ってくれる人は初めてだった。
というか、この人が他人を
しっかり見ているとは思わなかった。
(↑しれっと失礼)
「その……いや、…。まぁ、はい。 」
「ふっwいやぁ、悪いなぁw」
まっっっっったく悪いとは思っていない。
……多分。
「俺は、貴方みたいな人とは
話せないと思ってました。」
すると、いつも明るい長谷川さんの
目から光が消えた気がした。
でも、笑顔だった。
「それは…w私もやなぁw」
どこか悲しげな目をしていた。
「長谷川さん…ひとついいですか?」
そう言うといつもの顔に戻った。
「She will be fine.
国際科…なら分かりますよね?」
「………簡単すぎるわw
ありがとう、ちょっと元気出たわ。」
そう言ってにっこり笑った顔は、
【中野さん】にそっくりだった。
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