テラーノベル
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第四話 少しだけ特別
それから、何日かが過ぎた。
二人が話すことは、すっかり日常になっていた。
朝、学校へ行く。
授業を受ける。
友達と話す。
家に帰る。
そして、夜になったらサイトを開く。
いつからか、それが当たり前になっていた。
その日も、彼女は夕食を終えると
スマートフォンを手に取った。
サイトを開く。
まだ来ていない。
時計を見る。
いつもの時間まで、あと少し。
別に待っているわけじゃない。
そう思いながら、別のページを眺めていると――
通知が鳴った。
『今日遅くなった』
『珍しいね』
『ちょっと用事』
『そっか』
少しして、もう一通届く。
『待ってた?』
彼女は画面を見つめた。
『待ってない』
すぐに返す。
『ほんと?』
『ほんと』
『じゃあ、なんでこんなに早く返事きたの』
『……たまたま』
『怪しい(笑)』
「うるさい」
誰もいない部屋で呟いて、彼女は笑った。
こういう会話が増えた。
くだらないことを言って。
くだらないことで笑って。
気づけば、時間が過ぎている。
でも、その夜はいつもと少し違った。
『今日さ』
『ん?』
『学校でちょっと嫌なことあった』
彼女は画面を見た。
こないだのときとは違う。
今度は、自分から話したくなった。
#溺愛
桜咲かな
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桜咲かな
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#百合
『どうしたの?』
『友達とちょっとだけ気まずくなった』
『喧嘩?』
『そこまでじゃないけど』
少し迷ってから、続きを送る。
『なんか、私だけ変に気にしてる気がして』
『そういうのあるよね』
『ある?』
『ある』
『意外』
『なんで(笑)』
『なんとなく』
『ひどいな』
二人で笑う。
それから、少し真面目な話になった。
『気にしすぎると疲れるよ』
『分かってるんだけどね』
『分かってても気になるよな』
その言葉を見て、彼女は手を止めた。
分かってもらえた。
それだけなのに、少し安心する。
『ありがとう』
『何が?』
『聞いてくれて』
『それくらいならいくらでも聞くよ』
その一言が、妙に嬉しかった。
彼女は少し考えてから、文字を打つ。
『じゃあ、そっちも何かあったら言ってね』
しばらく返事が来なかった。
『……うん』
短い返事。
でも、昨日より少しだけ違って見えた。
その後、話題を変えて、好きな食べ物の話をした。
休日の話。
最近見た動画の話。
気づけば、またいつもの時間になっていた。
『そろそろ寝る?』
『うん』
『明日も学校だしね』
『起きられるかな』
『起きてよ(笑)』
『頑張る』
『頑張れ』
『そっちも』
『私は大丈夫』
『絶対寝坊する』
『しないって(笑)』
最後までくだらない話をして、
二人はサイトを閉じた。
翌朝。
彼女は目覚ましが鳴る前に目を覚ました。
スマートフォンを見る。
特に通知はない。
それでも、昨日の会話を思い出す。
「……変なの」
小さく笑う。
まだ会ったこともない。
本当の名前も知らない。
それなのに、何かあったときに話したくなる。
何でもないことを伝えたくなる。
そして、相手から何か話してもらえると少し嬉しい。
そんな感情が、少しずつ増えていた。
その日の夜。
サイトを開く。
通知が届く。
『今日どうだった?』
彼女はすぐに返信した。
『普通』
『そっか』
『そっちは?』
『普通』
『じゃあ話すことないね(笑)』
『あるよ』
『何?』
少し間を置いて、
『今日も話したかった』
と届いた。
彼女はしばらく画面を見つめた。
何と返せばいいのか分からない。
でも、口元は自然と緩んでいた。
『……私も』
送信。
その一言だけで、今日は十分だった。
コメント
4件
そうなんですよ! 気づいたら夜が2人にとってすごく大切な時間になってますもんねー! 楽しみにしててくださーい!
ちょっと待って待って待ってこれめっちゃエモいやつやん!!😭💕💕 「待ってた?」→「待ってない」→「じゃあなんでこんなに早く返事きたの」の流れ、完全に惚れてるやつやんwww でもまだ自覚してない感じがまた青春すぎる〜!! 特に「今日も話したかった」って送られてきた時の彼女の反応、こっちまで顔が緩んだよもう…!会ったこともないのに、気づけば特別な存在になってる感じ、めっちゃ分かる…!! M.Sさん、この距離感の描写が絶妙すぎて何度も読み返したくなります🥺✨ 次が気になりすぎる!!