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#ブラフラ
なみゃ
20
skbn
11
て ぃ あ ら 。
2,081
8
―病室棟―207号室、佐伯恒一(さえぎこういち)。カルテに目を通しながらふと自分の左腕にあるゴールドのアクセサリーに目が止まった。当たり前だが私のものではなく、再び腹が立つ。
「あいつ…。」
神埼とお揃いのものだろう。先程も腕をまくっていた神崎が、この色違いのようなものを身に着けているのを見た。私の腕にあるのは、ゴールドのチェーンに青色のハートの飾りのついたブレスレット。
―病院には付けて来ないでくれ。
私は苛立ちを隠しながらもそれを外して白衣の左ポケットにしまった。
「佐伯さん。午後の回診に来ました、白藤です。」
少し広めの個室にベッドがあり、他はトイレぐらいしかない部屋。自殺防止のために縄などが縛れないように扉のドアノブなどは特殊な形になっていて、窓は少し風が入る程度しかあかないようになっていた。
「嗚呼…先生。」
カルテに目をやる。
―患者名:佐伯恒一(さえぎこういち)42歳、男性
―病名:適応障害、不安症状優位
―症状:不安、睡眠障害、思考の反芻、自己評価の低下
原因は過重労働、人間関係とされている。奥さんの話によればここに入院する前は二十連勤させられる程に追い詰められていたと言う。会社内での昼食も途中から栄養ゼリーのパウチに変わっていたと教えてくださった。痩せこけて、毎晩寝る間も惜しんで目の下にいつも隈をつくる…そんな変わり果てていく夫に違和感を覚えて個々の病院を受診した。
「今から点滴を打ちますね。」
私は手慣れた手つきで点滴を彼の腕に注射した。彼も今では受け入れてくれたようだ。入院当初は仕事をしようと必死にノートパソコンを持込もうとしていた。それを普通と思うほどに彼は壊れてしまったのだ。
今は隈も薄くなり、体型も以前より改善している。あとは彼の心だ。
再びカルテに目を移し、彼の意思を書いたメモ欄を見つめる。
―メモ欄:普通に戻りたい。でも普通の定義とは?
彼が復帰できて、より彼らしさが出るように私は努めていきたい。
「今日は天気もいいですし、少し外の空気が入るように窓を開けておきますね。」
「ありがとうございます。」
彼は少し不自然に微笑んでくれた。これも良い進展かもしれないと思い、直ぐにカルテに書き込んだ。
コメント
1件
読了したよ〜!第4話「回診」、めっちゃジーンときた😢💕 白藤先生のプロ意識と、でもポケットにしまったあのブレスレット…神崎さんとの関係がちらっと見えるところ、すごく気になる…!「普通に戻りたい」って書いた佐伯さんのメモ、胸に刺さったよ。先生が「彼らしさが出るように」って思うところ、優しさが滲んでて好きだな🌸 続き、めっちゃ気になる〜!雨鏡光さん、あとがきとかも楽しみにしてるよ⋆♡