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如月 久柚⌛🍊最近復活(?)
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유키에
13
#名探偵コナン
SUMIRE*🖤🌸
996
「死にたいなんて言うなよ」「諦めずに生きろよ」
テレビから流れるそんな綺麗事を、僕はただ、すりガラスの向こうの景色のようにぼんやりと眺めていた。
深夜のポアロの厨房。仕込みを終えた静寂の中で、僕の心臓だけが、ドクドクと、うるさいくらいに生を主張している。耳の奥で、あの激しくも切ないメロディが鳴り響く。僕の心を代弁するように、狂ったように鍵盤を叩くピアノの音が、胸の奥の痛みを煽る。
――実際自分は死んでもよくて、周りが死んだら悲しくて。――それがエゴだとしても。
「……ずるいじゃないか、みんな」
誰もいない空間に、ぽつりと声が落ちた。死んでもいい、なんて本気で思ったことはない。だけど、あいつらのいないこの世界で、僕一人だけが明日を迎えることに、どうしようもない罪悪感がいつも付きまとうんだ。
松田。お前は観覧車の中で、何を思った? 自分の命と引き換えに、街を守って逝くその瞬間に、僕の顔は浮かんだか? 「焦りこそ最大のトラップ」なんて、僕を一人にするくせに、一生解けない呪いみたいな言葉を遺していくなよ。
そして、ヒロ。僕の半身、僕の光、僕のすべてだった幼馴染。あの日、あの屋上で、お前が自分の胸に銃口を当てた時、僕の世界の時間は半分止まったんだ。お前の血が僕の指を、手のひらを、温かく濡らしたあの感触が、今でも消えない。「零」と僕の本名を呼ぶお前の声が、僕にとってどれほどの救いだったか。お前を失ったあの日から、僕は、自分の名前をどう呼べばいいのかさえ分からなくなった。
――僕らは命に嫌われている。
軽々しく「死にたい」なんて呟く誰かを、僕は憎みそうになる。死にたくなかったはずのあいつらが、守りたい未来があったあいつらが、手の隙間から砂のようにこぼれ落ちていったのに。どうして僕だけが、いくつもの偽名を使い、嘘で身を固め、泥水をすするような真似をしてまで、息を繋いでいるんだろう。あいつらがいない世界なんて、寂しくて、不条理で、いっそ消えてしまいたいと、夜の底で何度膝を抱えたか分からない。だけど。
「それでも……ッ!」
僕がここで諦めたら、お前たちがこの世界に生きていた証は、誰が証明するんだ。松田のあの不敵な笑みも、ヒロの淹れてくれた優しいコーヒーの味も、班長の頼もしい背中も、萩原の軽口も、僕が忘れてしまったら、この世界から完全に消えてしまうじゃないか。
死に損なった。置いていかれた。それでも、この命にどれだけ嫌われようとも、僕は生きなきゃいけない。お前たちの愛したこの国を、お前たちの生きた証を、この両手で死守するために。
――生きろ。そうだ。幸せじゃなくていい。綺麗じゃなくていい。ボロボロに傷ついて、孤独に押し潰されそうになりながらでも、僕は泥臭く、必死に、生き抜いてみせる。
「僕は、生きていく……。お前たちの分まで、絶対に、生き抜いてみせる。」
窓の向こう、東京の夜空が、ゆっくりと、だけど確かに白み始めていた。あいつらの見られなかった、新しい朝が来る。僕は深く息を吸い込み、いつもの「笑顔」の仮面を被るために、ゆっくりと立ち上がった。
コメント
1件
みぅです🖤読ませてもらいました……。 すりガラス越しの景色みたいに生きてる感覚が薄れてる描写、すごく刺さりました。松田とヒロを想う場面、特に「零」って呼ぶ声が救いだったって部分、胸の奥がぎゅっとなりました。命に嫌われても「それでも」って立ち上がる決意、重くて苦しいけど確かな熱があって……。次も読ませてください🌙