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よっしゃ書くで。
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その後約2週間、いるまはバーに現れなかった。
「…..」
「…何か飲まれます?」
バーテンダーさんが気を利かせて声をかけてくれる。
「…じゃあ、おすすめありますか?」
「…..そうですね…」
緑の短髪、右側に黒のメッシュ。
中々見かけないな、と思う髪型。
普段なら俺の右側に人がいるのだが、ここ2週間は空いたまま。
寂しいような、どこか安心するような、けどやっぱ傷つくなぁと思う。
「….あの、」
「?」
「……いるま、…って、あの、…紫の、…人って、やっぱ来てませんよね」
バーテンダーさんは少し考えた後、カクテルを出してくれながら口を開いた。
「….こちらどうぞ、 」
「ありがとう、ございます…」
「…いるまちゃんは暫く来てないですね、
えーと…ブラック・ベルベット頼んだ日からですかね…?」
いるまちゃん、と呼ぶってことは何か関係性があるのだろうか。
少しだけ羨ましく思った。
飲み友で、ワンナイト過ごしただけ。
一応連絡先はもってるけど、こっちから連絡する勇気は無い。そんな関係。
「…..そのカクテル、いるまちゃんが好きだったやつです」
「…これ何ですか、?」
おすすめとして出してくれたのは、いるまが好きだったらしいカクテル。
見た目がかなり特徴的だな、と思う。
グラスの上に蓋をするように、円形にスライスされたレモンが乗せられ、その上に砂糖の塊が置かれている。
「ニコラシカ、というカクテルです。
先にレモンと砂糖を口に含んで、数回噛み…
…そして、その後ブランデーを飲むことで、口の中でカクテルが完成します。」
「…..へぇ…いるま、これ好きだったんだ…、 」
飲むのに少し躊躇ってしまう。
何せ難しそうだし、レモン噛みすぎると口が酸っぱいまんまで終わりそう。
どうやって…と悩んでいると、バーテンダーさんが くす、と笑いながら、口を開く。
「…飲むのに覚悟必要ですよね、笑
なので、そのカクテルには”決心”“覚悟”という意味が込められています。」
「……1歩先に進むためには、覚悟を決めて、1歩踏み込んでみるのも大事かも…ですね。」
話を聞いて、ぱっと頭の中にいるまが浮かんできた。
抱かれた次の日以来会えてなくて、でも連絡もできてなくて。
…..会いたいなぁ。
いるまが嫌じゃなければ、また今までみたいに他愛ない話して、馬鹿やって、笑って酒飲んでたい。
覚悟を決めて、カクテルを飲む。
レモンの酸味と砂糖の甘味、その上ブランデーの風味が相まってかなり濃厚。
これも美味しい。
「……あの、」
「? お口にあいませんでしたか?」
「あ、いえ、…」
会おう。
「…..いるまに、連絡、してみようと思います…」
「! …そうですか笑 またお2人が並んでお酒を飲む日が来るのを心待ちにしておりますね笑」
優しいバーテンダーさんの笑顔を受けて、なんだか心が浄化された気分。
約2週間前の、
【会社の前でおって】【了解】
で途切れた会話を見て少し笑ってしまう。
…ちゃんと話そう。
今迄通り、仲良く馬鹿やりたいし。
♪ カランッ___
店の玄関につけた鈴が鳴る。
時刻は既に3時を回っている。
今日は俺の都合で早めに終わるって前々から決めてたから、お店には俺1人。
「今日はもう営業を____」
「…..すち、」
グラスを拭いていた手を止めて、玄関へと視線を移す。
いつも通りハイセンスなファッションの、紫色のアホ毛くんがスマホ片手に来ていた。
「…..飲むなら一杯だけね笑」
「…んや、今日はそうじゃなくて…..」
真剣な顔つきをしたいるまちゃんが、重そうな口を開く。
「……なつからLINEきた…、」
「…なつ…..あぁ、いつも一緒にお酒飲んでる子ね笑」
なーんだ。心配して損しちゃった。
だって、なんか嬉しそうだし。
「….何笑ってんだよ」
「ううん、笑 いるまちゃんってほんと健気だよねぇ笑」
「うっせ…..」
すち、水飲みたい と言われて、近くにあったグラスを手に取る。少しだけ氷を入れて、水も注いで彼に提供する。
ゴクゴクと勢いよく飲み干したいるまちゃんの表情は少し険しい。
「いるまちゃんもだけど…あの子もあの子だねぇ笑」
「…は?どーいう意味だよ」
「あの子、今日「いるま来てないですか」って聞いてきてくれたんだよ?笑
…言われた通り、暫く来てないって言っといたよ。」
「….さんきゅ、」
小さく頭を下げる。
けど、どこか落ち込んだままで。
あの子とそっくりだな、と感じてしまう。
ブラック・ベルベットを頼んだあの日、「忘れないで」なんてカクテル言葉のそれをいるまちゃんが頼んで、少し嫌な予感がした。
そして、それ以来いるまちゃんはあの子と一緒に飲まなくなった。
来るのは、俺のLINEに
【帰った?】
とメッセを寄越して、俺からの
【帰ったよ】
を見てから。
…まぁ、事情を聞かされた身としてはわからんでもないけど….
あの子があんなに落ち込んでるの見ちゃうと、背中は押したくなっちゃうよね〜。
「…..はい、これ。」
「…なんこれ、レモン….?」
いるまちゃんにニコラシカを提供する。
「….あれ、いるまちゃんこれ好きじゃなかったっけ?」
「はぁ…?飲んだことも見たこともねぇんだけど…」
そりゃそうだよね。
「ごめん、いるまちゃんが好きなお酒としてあの子に提供しちゃった笑」
「はぁ!? 」
「…そのカクテル、”決心”とか、”覚悟”とかって意味があって。
あの子に1歩踏み出してほしくて」
そう。あれは真っ赤な大嘘。
いるまちゃんからほぼ毎日のように会いたい、会えない、なんで抱いちまったんだろ、とかってぐわーって聞いてるし、
あの子もあの子で結構後悔してるみたいだったし。
「ほら、いるまちゃんも覚悟決めなよ。
“忘れないで”ほしいんでしょ?笑」
「……ちッ…変なとこ覚えんなや…」
飲み方を教えてあげると、なにか決心したような真剣な顔つきになって、ぐいっと飲み干した。
「…..うん、うまいわ、ありがと。」
「いーえ笑
あ、そういえば”振り向いてください”…って」
「お前もう喋んな…💢」
振り向いてください、忘れないで。
意外とロマンティックなことするなぁ、と思ってしまう。
「で、会うの?」
「…….んー…」
何やらお悩み中な様子。
お互い寂しそうな顔してるのに、と思うけどそれがわかるのもバーテンダーの特権かぁ。
「…いるまちゃんは会いたい?」
「…..そりゃ会いてぇけど。
抱いちまった、し….」
「….あの子だって覚悟決めて声かけてくれたんだから、いるまちゃんも覚悟決めなよ笑」
「…ん、」
いるまちゃんはスマホと真剣な表情で向き合い、指を何度も何度も動かしていた。
その動きからして、例の相手に返信してるんだろうなと安易に想像がつく。
「……すち、」
「ん〜?」
「さんきゅ、笑」
「全然笑 常連の2人が来なくなっちゃったら困るのは俺なのでね〜笑」
「結局金か」
「嘘ヾ笑 冗談だよ笑」
バーテンダーという職業柄、人と人が何かを話しながらお酒を嗜む姿を見るのが好きで。
その中でもこの2人は何か特別で、まだまだ2人の関係が続くことを、俺は勝手に期待している。
いるまと久々に会う予定の前日。
緊張8割、楽しみ1割、恐怖1割。
かなりの期間会えなかったから、その隙間を埋めるというのは俺にとってかなりの難だった。
「….明日の、22時…、」
期待と不安で胸がいっぱいになる。
心臓の鼓動が早い。
今は前日の23時。1人きりの部屋には、小さく吐き出された細かな息遣いだけが響いていた。
そろそろ寝ようかとベッドに足を運んだ時、突然乱雑なノック音が静寂を引き裂いた。
嫌な予感で胸が騒いで収まらない。
「……..はい、?」
震えた声で返答する。
開かれた扉の先には、彼氏がいた。
なつと会う約束をした22時。
普段は遅れがちなのだが、今日は遅れること無くピッタリの時間についた。
….が、普段遅れることのないなつが未だ来ていない。
そこで10分、20分、30分…と待つが一向に現れず、約束の時間に送った[ついた]というメッセには既読すらついていない。
昨晩、[明日22時に〇〇であってるよな?]と言ってくれたあいつが、今日来ないのは少し信じ難い。
何かあったんじゃないかと心配になり電話をかけてみるも、繋がることは無かった。
近くのカフェに入り、辛抱強く、なつは来ると信じて待ってみるも1時間、2時間…と経ってもなつは現れなかった。
心配と、絶望と、諦めと…たくさんの感情がぐちゃぐちゃになって、[ごめん、明日仕事あるし帰るわ][また連絡して]とだけメッセを入れて、その日は帰宅する事にした。
来る直前になって、やっぱ会いたくないってなったんじゃねぇかなって思いが、酷く脳内にこびり付いてしまった。
「…..すち、」
「…いるまちゃん、どぉしたの、そんな暗い顔して」
「…..わり、なんか、…落ち込んでて」
「..話せること?
いくら愚痴ってもいいからね、笑」
少しガヤガヤとしたバーで、カウンター席に座り、先程までの事をぽつりぽつりと話した。
未だ既読もつかず、待ち合わせ場所にも来なくて。
俺もう飽きられたんかな、と自虐気味に言うと、すちは気難しそうな顔をする。
「…..そっ、か…
…あの子、いるまちゃんとすごい会いたそうにしてたけど….
少し…心配だね、なんかあったのかな…」
すちもうーん、と悩んでくれている。
バーテンダーとして、なつの姿を見てきたからこその考え。
「….だよなぁ…
けど、電話掛けても出なくて」
「……うーん….
どうすればいいんだろ…心配だね、」
あぁ、と言うと、すちは黙り込んだ。
今は話すだけ話したい俺の気分を理解してくれたらしい。すげぇなバーテンダー。
(※恐らく個人差あるけど)
「…….会いてぇなぁ…..」
ぽそ、と呟いた俺の一言に、すちが小さく反応する。
会いたいよ、お前に。
けど、無事でさえ居てくればいいから。
さっさと連絡よこせよ、心配なんだよ。
「…..なつ、」
片思いの相手の名前を呼ぶ。
外では雨が降りだして、バーの中の騒がしさと、雨音の2音がそれをかき消した。
「…_____、」
彼への思いを言葉にすると、何かしっくりとくるものがある。
けど、雨が酷くなり、そろそろ帰ろうかと立ち上がり話す客の声にその想いも溶け込んでいく。
レジ打ちに追われるすちにも、この声は聞こえてないはず。それは安心。
…今日はまじで気分落ち込むなぁ。
低気圧で頭が痛くなる前に帰ろう、と俺も席を立った。
未だ、俺のスマホになつからの通知が届くことはなかった。
▶ ライラ
カクテル言葉 ┊︎ 今、君を想う。
꒷꒦✝︎ ❥┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈❥ ✝︎꒷꒦
百合に挑戦したけどだめだったからこっち書きました。
お前が触るせいで元からでかかったあーしの胸もっとでかくなったんだけど!? って言ういとまちゃんを書きたかったんだけど口調がわからんくなりやした。
#いるなつ 1位ありがとうございます。
結構がちで嬉しいです
コメント
2件
わぃあ…どうしちゃったのぉぉぉ…?! やばぁぁい… てかバーテンダーさん翠彡なんだ、!
バーテンダー翠さんだったんですね、解釈一致……!! 茈さん珍しく遅刻しないの恋する乙女すぎる。。。