br side
「ぶるっく、何してるの。」
背筋がぞっと、冷たくなる。
一番聞こえたくない声が、鼓膜を揺らす。
もしも神様がいるならば僕の「いっしょうのおねがい」を聞いてほしい
_ぼくを、助けて。
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kn side
まだ冬に慣れないこの頃、肌寒さに不満を抱きつつも彼の部屋へと脚を向かわせる。
彼の部屋に行く目的はもちろん、ごはんをあげるため。
みんな知ってる?人って飯食べなきゃ死んじゃうんだよ。めんどくさいよね。
「ぶるっく?ごはん渡しに来たよ。」
…
もちろん、返事はない。
コンコン、といたって普通なノックを二回響かせると、バタバタと慌ただしく音をたててこちらに走ってくる音が聞こえた。
少し軋みながら扉が開くと、へらりと笑ったぶるっくが顔を覗かせる。
「飯。おなか減ったでしょ?」
そういうと、ぶるっくがこくりと頷く。
頷いたときに揺れる髪は、部屋の微かな光に照らされ彼の赤み掛かった茶髪を神々しく輝かせる。
次にこちらを向いたぶるっくは、少し困ったような表情を浮かべていた。
…あれ、そういえば_
「き、きん…とき…?」
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br side
あ、れ…?きんさんから話していいよの許可が来ない…。
いいよって言われるまで話しちゃだめだけど、でも…。
「き、きん…とき…?」
「…っは?……えっ、ぶるっく、?俺まだ許可出してなんだけど…。なんで喋ってんの?ねえ?」
「あ、ごめっ、」
ちがう、話しちゃだめだ、どうしよう…!?殴られっ…
「…ごめん、言うの遅れた俺が悪いわ、もう喋っていいよ。…飯食べよっか!」
「え、うっ、うん…?」
殴られ…ない?
珍しいなあ…?まあ、痛くないに越したことはないからいいけど…。
きんときは扉の後ろにいた僕を無視するように部屋に入って電気をつけると、そのまま食事をわざとらしく大きな音を立てて机の上に置いた。
きんときらしい、大体の食材がザク切りの手料理に
ほんの少し赤子の不慣れな日本語に向けるような愛らしさを感じる。
きんときの向かい側に座ると、彼はいつもの爽やかな笑顔をこちらに向けた。
…一瞬見えた冷たい表情は見なかったことにしたい。
できるだけ、彼の機嫌を損ねないようにしないと。
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