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「「いただきます」」
二人で手を合わせて敬意を示す言葉を発する。
きんときは慣れた手つきでスプーンに丁度いい量のスープを乗せてこちらに向けてくる。
「ぶるっく、あーん」
「あーー、ん…。んん、おいしい!」
そう言うときんときは自慢げにはにかんだ。
この顔にときめいてしまう自分はやはりきんときのことが好きなのだろう。
…でも、こんな生活は正直言ってやめてしまいたい。
きんときから「話していいよ」と許可がなければ話しちゃいけない。
きんときが家にいないときは部屋の中も好きに動いちゃいけない。
きんときに確認しなきゃ好きな本だって買えない。
もちろん、外にも出ちゃいけない。
そんな改まったことを脳内に連ねていると、不意に彼の声が鼓膜を揺さぶる。
「ぶるっく?元気ないね。何か不満?」
「ぇあっ、そんなこと__」
いや、言ってしまおう。今しかない…
「あの、さ。」
「どうしたの。」
「…もう、やめたいな、って。僕だって自由に生活したいよ、きんとき…。」
きんときの顔が見れない。ひたすらに何も乗っていない机を視界に映すことしかできない。
変な汗が流れる。体が冷たくなる。
きんときからどんな答えが返ってくるのかわからない。
強くダメだと言われるのか、渋ったようにしょうがないなと言われるのか、…はたまた頭に鈍い音が響き渡るのか。
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