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「いいです。しょうもない悩みなので。」
今度はルームミラーの映る瞳を見て答えた。
「しょうもないって〜、そういう小さい悩みが蓄積して声が出なくなったりするんでしょ〜。」
小さい悩みか、小さすぎるでしょ。蟻に踏まれるくらい小さいわ。
「ほんとにしょうもないので。」
私はルームミラーを見てみたけど、赤信号は青に変わり社長は安全のため前方を見ていた。
「え〜、しょうもなくても聞くのに〜。」
いつもの社長の口調だ。伸ばし棒がうねっているような喋り口調。
「いいません。」
きっぱりと断った。わかりやすくふてくされてる顔がちょっと可愛い。
私たちは他愛のない話をして一時間半かけて事務所に戻った。
「はぁー。ただいまですー。」
事務所に帰ってきた安心感からなのか、仕事スイッチが切れて相談者用のソファーに座り込んだ。
「疲れたね。コーヒーいるかい?」
あたたかそうなジャケットを脱いでいる社長は私に問いかけていた。
「はい!ミルクたっぷりの砂糖マシマシで!」
私は基本的に苦いものが嫌いだからいつも甘いのを社長に作ってもらっている。
社長は砂糖も砂糖も入れない黒のブラックだけど。
「いつもどうりね。」と社長が言うと数分後にコーヒーのいい匂いがしてきた。
「どうぞ。キムタクのスペシャルブレンドだよ〜。」
キムタク…今朝話していた話題が脳裏に思い出され思い出し笑いしてしまった。
「そんなにキムタクって面白い?」
私は笑いながらもこくこくと頷いた。
「米田君が笑ってくれるならいーけど。」
社長もくすっと笑った。 二人で社長の名前の話をしているときだった。