テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ぶれん
みのあ🍀
9,475
コメント
7件
👏👏👏👏👏👏(´;Д;`)✨✨✨✨✨✨✨(すみません...語彙力ふっ飛んでます)最初の海の描写が美しくて、魅入ってしまいました...☺️✨✨本当良かったです🙇✨
🦍(独身)↔🍆
御本人とは関係ありません。
あくまでもフィクションです。
ご了承下さい。
今回も🦍さん視点になります。
「…ここは…何処だ?」
俺は辺りを見回すと真夜中の海岸の片隅に立っていた。
この海の底にぼんさんがいる…
探さなきゃ…早く貴方を見つけなきゃ…
月明かりの下…時折現れるさざ波が、銀の泡のようにまたたいては消えていく… この誘いに吸い込まれていくかのように水の中へ歩んでいく…
「…ぼんさん…何処?」
足元には白く細かい砂がどこまでも続き、膝まで浸かった水は不思議と違和感がなく、むしろ胸の奥の澱みを波の揺らぎに洗われていくような心地よい安らぎに感じる。
…この先に貴方がいるような気がした…
水は腰を越え、ゆっくりと胸の高さまでせり上がってきた。歩く度に、柔らかな水の質量が肺を優しく圧迫する。
それはまるで見えない誰かに背後から抱きしめられているような…温かい拘束の様に思えた。
一歩踏み出すごとに、水底の砂が指の間を滑り落ち、俺は深い青の抱擁に身を任せてながら歩みを止めないでいる…
『ドズさん!』
後ろの浜辺から声がした…
振り返るとぼんさんが手を振って俺を呼んでいる…
「あぁ、ぼんさん。そっちにいたんですか。すぐ行きますから…」
砂浜の方へ戻ろうと踵を返そうとした瞬間、足元の砂が意志を持ったように自由を奪う…
水を含んだ砂は、踏み出すたびに重い足枷となり…掴んで放さない。
踠けば踠くほど、砂の抱擁は深くなり…
まるで海そのものが俺を陸へ帰すまいと、底なしの泥濘へ引きずり込もうとしていた…
貴方のところに行きたいのに…
手を伸ばし…救いを求める…
「ぼんさん!ぼんさん!」
その時、大波に攫われ完全にのみ込まれて…意識が飛んだ…
俺が悪夢にうなされている時…背中に温かいものが掛けられる気配を感じて…目を覚ます…
「…う…うん…」
身体を起こし…振り向くと…ぼんさんが俺の背中にブランケットを掛けてくれていた。
「あっ…ゴメン。起こしちゃった?」
と心配そうに覗き込む。
俺は現状を把握できずに…只々ぼんさんを眺めていた…
「遅くなってゴメン…ドズさん」
申し訳なさそうに呟く貴方。
その瞬間、肩に掛けられたブランケットが床に落ち…俺は立ち上がってぼんさんに抱きついた。
「ぼんさん!」
驚きを隠せないぼんさんは『え?え?』と声を上げながら抱きついて号泣している俺に戸惑う。
「ううっ…ぼんさん…ぼんさん…」
「なに?なに?どうしたの?」
ぼんさんは俺に落ち着いてと…そっと背中を擦って促す。
…そんなぼんさんを見上げて
「…本当に…本物のぼんさん…ですか?」
疑心暗鬼で尋ねる…すると
「フフッ…そっくりさんに見える?」
微笑みながら『本物だよ』と答える。
「で、でも昨日…墜落事故で…」
「あ、あぁ…その事ね…」
そう言うと…ここまでの経緯を話してくれた。
ぼんさんが八丈島へ着いて、葬儀場まで向かったところ…今すぐにでも葬儀が始まりそうだったので、葬儀場の一室を借りて、急いで喪服に着替え葬儀に参列したらしい。
…葬儀を終えた後、着替えて空港へ向い、搭乗手続きを済ませ…お土産を買って保安検査場へ向かうところで、忘れ物に気づき…グランドスタッフに事情を説明して、急いで葬儀場へ戻ったそうだ。
葬儀場に着いてから、着替えた部屋をいくら探してもなかなか見つからず…葬儀場の方に尋ねたら、清掃の方が持っているかも?と教えてくれて…
葬儀場の庭を清掃していた方に尋ねたところ、大事に預かってくれていたらしい。
ぼんさんは、清掃の方に感謝して忘れ物を頂き、葬儀場の方の好意で空港まで送っていただいたものの…空港に着いた時には最終便の飛行機が既に滑走路上で、搭乗は無理となり…明日の朝イチの便に変更して、一泊する事になったようだ。
『さて…どうしたものか?』と考えていたら…俺を心配して搭乗カウンターまで一緒に来てくれてた葬儀場の方が、喪主を務めた親戚の方に連絡を入れてくれて…その親戚のお宅に泊めてもらえる事になったと話してくれた。
ぼんさんは、本当に葬儀場の方の機転に感謝しかなかった…とばつの悪そうな笑みを溢しながら伝えた。
その後…親戚の方と食事と温泉に行く途中で、携帯の電池が切れたんだと教えてくれた。
日帰りで帰る予定だったので、当然充電器やモバイルバッテリーは持ってきておらず、親戚の方に泊めていただいている上に充電器を貸してくれ…なんてさすがに言えなかったそうで…
そのまま一夜を過ごして、急いで朝イチの便で帰って来た…ということだった。
ちなみに…墜落事故を知ったのは、八丈島の空港に着いて搭乗手続きと保安検査を済ませた後、搭乗口近くのテレビで墜落事故の特集が流れていた事で、このニュースを知ったらしく…かなりビックリしたそうだ。
それら経緯を聞いてホッとしながらも…
腑に落ちない事があり、ぼんさんに問いかける。
「でも、死亡した搭乗者のリストに…ぼんさんの名前が…」
「へ?何それ?航空会社が俺の名前をリストから消すことを忘れてたんじゃないの?」
「…いやいや…そんなことは…ないでしょう…?」
「だって…俺生きてるし…。逆に死んでることになってる事自体ビックリだわ」
「…いや、だって…ほら…ここに…」
と死亡した搭乗者リストをモニターで見せると…
「はぁ?どこ?」
「…ほら、ここ…」
「……ドズさん、この人の名前…確かに途中まで全く一緒だけど、最後の一文字が微妙に違うじゃん!」
モニターをよく見たら…確かに違った。
「…あ…ホント…だ…」
「もーっ!ドズさん動揺して、ちゃんと見てなかったんでしょ?」
「…スミマセン」
「そういうとこ…抜けてるよねwww」
と最初は笑っていたが…『でも俺がちゃんと連絡してれば、ドズルさんがこんなに心配する事無かったんだよな…』と申し訳なさそうに本音を漏らすぼんさん。
「でも…貴方が無事に戻ってきてくれて…本当に…嬉しい…」
とまた涙が溢しながら正直な気持ちを伝えた。
そんな俺を見て、強く抱き締めながら…
「ドズさん…心配かけて本当にゴメン」
と反省しながらも率直な気持ちを伝えるぼんさん。
「ずっと貴方の側にいるから…」
「ぐすっ…はい…ぐすっっ」
「ドズさん…離さないよ…俺…」
「ゔぅ…もぅ…離れないで…下さい…ぐすっ…」
「…うん…」
俺はぼんさんの背中に回した両手にギュと力を入れる…
「…ぐすっ…貴方が…いない世界は…もう嫌だ…ぐすっ…辛すぎる…」
「…うん…分かってる…」
「…ううっ…ぼんさん…」
「…もー泣き虫だなぁ、ドズさんは…」
「…泣き虫で…いいです…うぅっ…」
ふふっと笑いながら俺の背中に回していた右手を頭に置いて、何度も撫でてくれた。
髪の合間から伝わる手の感触に、俺は視線を上げることができず、 ぼんさんに包まれながら泣き続けた…
暫く経ってようやく落ち着いた俺は、ぼんさんの肩口に置いていた頭を上げ、涙目でぼんさんを見つめる…
「…おかえりなさい…ぼんさん」
「ドズさん…ただいま」
お互いの唇が触れ…深くキスをする…
お互いに離れたくないという気持ちが物語るように…
唇が離れ…互いの存在を確かめるように額を預け合い、貴方から伝わってくる温もりが、張り詰めていた心を解いていく…
「俺…ドズさんに感謝してるんだ…」
ボソッと呟くぼんさん。
「じゃなきゃ…俺は今ここにいなかったから…」
その言葉の経緯を知りたくて…額を離してぼんさんに尋ねる…
「なぜ…ですか?」
「忘れ物を取りに帰って、最終便に乗り遅れたって言ったでしょ?」
「…はい…」
「その忘れ物が…これ」
とTシャツの襟元を下げて、着けているネックレスと指輪を見せる。
「喪服に着替えた時、急いでて…着替えの上の置いておいた指輪とチェーンを椅子の下に落としてたみたいで…さ」
「…はぃ…」
「葬儀が終わった後もバタバタして空港に行ったもんだから…失くした事に気づいた時は相当焦ったよ…」
「……」
「でも…指輪だけはどうしても失いたくなかったから…見つけるまで絶対帰らないつもりで、必死に探したんだ… 」
「…」
「拾ってくれた方には『よっぽど大切なものなんですね。持ち主に渡せて良かったです。…もう失くしちゃダメですよ』って笑顔で釘を差されたよ」
「…そうですか…でも良い方に拾われて良かったですね」
「うん。でも、この指輪を取りに帰らなかったら…あの事故に巻き込まれてたと思う…」
「…そう…ですね…」
「だから俺…思ったの。ドズさんが俺の事を助けてくれたんだって…」
「……」
「だからドズさん…助けてくれてありがとう…」
貴方からの感謝の言葉を聞いて、また涙が溢れる…
この指輪が貴方を助け、俺達を繋ぎ止めてくれた事が何より嬉しかった…
「…良かった…本当に良かったです…」
「…うん…」
「でも…もう無くさないで下さいね…」
「…はい…ふふっ…」
照れくさそうに笑みを溢しながらネックレスと指輪を定位置に戻す貴方…
そして俺の左手を握り、薬指にある指輪を愛おしそうに指で撫でた。
…しかし、そうしている間も荒れに荒れまくった部屋を見て、何か決めた様に呟く。
「さて…ドズさん。とりあえず部屋片付けましょう?その後、会議に行きましょうか?」
「え?」
「あれ?今日の午後、次のコラボで商品化するフード関係やグッズを決める会議があるんじゃなかったっけ?」
…墜落事故の事が頭にいっぱいで、会議の事忘れてた…
「あ!そうでした!…今何時ですか?」
「もう昼前かな?」
「もうそんな時間ですか…」
「うん。2人で片付ければすぐ終わるから…とりあえず机の周りからやっちゃおうか?」
「…はい」
ぼんさんは、俺が事故のショックで自暴自棄になった様子が、部屋の荒れ具合を見て分かったんだろう…でもその事には触れず、黙々と片付けをしてくれた。俺は終始何も言えなかった…
片付けを終え、2人で昼食を済ませてから会社へ向かった。
会議の時間に少し遅れた俺達は、会議室に入る前に、皆んなにビックリさせようと考え、俺が先に入って中の様子を伺ってからぼんさんが後から入ってもらう様にした。
会議室のドアを開けると…既にメンバーとネコおじが集まっていた。
雰囲気は…最悪。
誰一人話すらしていない。
普段なら誰かしら喋って、ワイワイ盛り上がっているのに…今日は静か過ぎて時計の秒針の音だけが響いていた。
ぼんさんを失った悲しみが部屋中に広がり…彼の存在が、皆んなの中にどれだけ影響が大きかったかを物語る…
俺は意を決して声をかけてみた。
「皆んな…おはよう」
だか…返答は無い。
まぁ…当たり前だよな…と思ってドアの後ろに隠れて待っているぼんさんに顔を向ける。
ぼんさんは、中の様子をドア越しに察したようで…『俺入っていい?』と口パクで俺に伝える。
俺はコクンと頷き、ぼんさんを招き入れる。
「おはよ〜!遅くなってゴメンね」
と明るく振る舞いながら俺の横を通り、中に入っていく。
聞き慣れた声に、一斉に皆んながドアの方へ顔を向け、会議室に入ってきた彼を見て…驚き…そしてメンバーが叫んだ。
「ぼんさん?ぼんさんだ!」
「うそ?!ぼんさん?」
「マジか?!」
メンバーはぼんさんに駆け寄り涙しながら抱きつく。
「わーーん!ぼんさーん!ぼんさーん!」
そんなぼんさんは照れくさそうに…
「ただいま…皆んな…心配かけてゴメンね」
と笑顔で答え…皆んなを抱き締め、背中をトントンと小さな子供をあやすように背を叩く。
その風景を信じられない様子で佇んでいるネコおじ。
しかし、そんなネコおじに気づいたぼんさんがネコおじに向けて…
「ネコおじ、ただいま」
といつものフニャとした笑顔で伝えると…
「…バカ野郎…ホント…心配ばかり…かけやがって…」
彼の笑顔を見た瞬間、堪えていたものが決壊したダムのように溢れ出し、号泣していた。
俺はネコおじの側へ行き、背中に手を回し、擦って落ち着かせる。
「とりあえず…皆んな聞いて。今回の事、順を追って話すから…ね」
とぼんさんが皆んなに諭す。
その言葉を聞いて、『ぐすっ、ぐすっ』と鼻をすすりながら皆んな黙って話を聞いた。
葬儀の事…飛行機に乗り遅れた事…携帯の充電が切れた事…墜落事故を知った事…全てを静かに話していった。
話し終えた時、MENが鼻を啜りながら尋ねる。
「…ぼんさん…ぼんさんが取りに帰るぐらいの…忘れ物って…何だったんスか?」
MENの問いかけに、他の皆んなも興味があったようで…何?何?と彼に尋ねる…
ぼんさんは小さく『クスッ』と笑い、人差し指を唇に当てて…
「…内緒」
そう言いながら、貴方の瞳は秘密を共有する共犯者の俺に向け、魅力的な光を宿していた。
俺との視線が交わった時、貴方は隠しきれない喜びを薄い唇の端に、微かな含み笑いを見せた。
そんな彼を見て…
「ぼんさん意地悪!」
と口を尖らせながら呟くおらふくん。
「教えろジジイ!」
と笑いながら冗談交じりでぼんさんの肩を揺さぶるMEN。
「まーまー…ぼんさんのことだから、どうせ携帯か何かでしょ?」
と場を収める様に冷静に…優しく答えるQnly。
この温かい雰囲気を遠巻きに見ていたネコおじが、涙を拭いながら微笑んでいた。
俺達の関係を知ってか、それ以上の追求はしなかったが…貴方が無事に帰ってきた喜びに皆んな浸ってて、いつものワチャワチャな雰囲気が戻り、会議どころではなくなったことは…言うまでもない。
ただ…大事な貴方を二度と失いたくないという気持ちは俺だけでなく、皆んなも同じ気持ちだった事に…心の中は幸福感で満たされていた。
「さぁ皆んな!会議しようか?早く終わらせたら、ぼんさんが夕飯奢ってくれるらしいよ。だから…ほら会議始めるよ!ね?ぼんさん!」
「…え?ドズさん…勘弁してよぉ…」
「フフフッ!足りない分は僕が出しますから…ね?」
「もー!分かりましたよ。じゃあ…早く終わらせて、皆んなで行くか!」
勘弁したかのように、頭を掻きながら 困ったような顔をしながらも、それでいてどこか嬉しそうな笑みを漏らして応じるぼんさん。
俺達のやりとりを聞いた皆んなは『やったー!』と大喜び。
焼肉いい…寿司が食べたい…鍋もいいなぁ…などいろんな要望を出し合いながら、皆んな席に着いた。
俺が席に着こうとした時、ぼんさんが耳元で『やったな?』と伝えたが…しかし、その表情は柔らかな笑みを零していた。
『フフフッ』と笑顔で返した俺に、小声で『まぁ…いいか。皆んなと一緒に食べたかったし…』と優しい返答に、貴方らしさを感じ、この人を好きになって良かったと実感した。
「そこ!…なにイチャイチャしてんスか?!」
とツッコむMEN。
「あぁ、ゴメンゴメン!じゃあ…始めよう」
と仕切り直して会議を始めた。
貴方がいるから…このドズル社は成立する…
貴方がいるから…俺は生きていける…
貴方のいない世界は、色のない…虚しさだけが漂う中で…俺はまた抜け殻の様に成り果てしまうだろう…
もう二度と貴方を失いたくない…
どんなに険しい道でも貴方と一緒なら乗り越えられる…
明日も…その次も…これからずっと当たり前のように貴方の隣で同じ時間を過ごしたい…
貴方の横顔を見ながら、そう願った……