テラーノベル
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更新するの遅れました!!
今は第7話ぐらいまで書き溜めております。
色々変な部分もあると思いますが、どうぞ。
鶴 「よし、ここはこれでオッケー……と」
夕方を過ぎたオフィスで、鶴崎さんが伸びをしながらパソコンをパタンと閉じた。
それを合図にするように、周囲のメンバーたちが次々と帰る支度を始める。
須 「あー、今日も頭使ったわ! お先ー!」
須貝さんがいつもの大きな声で手を振りながら、真っ先にドアへと向かう。
山 「お疲れ様です。僕もそろそろ失礼しますね」
鶴 「お疲れ〜」
山本さんと鶴崎さんがそれに続き、オフィスの賑やかさが少しずつ薄れていく。
デスクに残った僕は、パソコンの画面に視線を固定したまま、キーボードを叩くフリをしていた。
……正直、作業には全く集中できていない。
一週間前、ふくらさんから「河村はこっちね」と温かいハーブティーを渡されたあの日から、すこし距離が空いていた。
『ふくらは誰にでも優しいから。変にドキドキしちゃう自分がよくない』
そう自分に言い聞かせれば聞かせるほど、ふくらさんの顔をまともに見られなくなってしまっていた。
伊 「じゃ、俺も出るわ。最後の戸締り、よろしくな」
最後に残っていた伊沢さんが、リュックを肩にかけながら僕たちに声をかける。
ふ 「うん、お疲れ様。戸締まりは任せて」
隣のデスクから、ふくらさんの聞き慣れた声が響く。
バタン、と静かにドアが閉まった。
その瞬間、広いオフィスに響く音が、僕とふくらさんのタイピング音だけになった。
河 あ、やばい。本当に二人きりになっちゃった……
心臓の鼓動が急に速くなる。部屋が広くなったように感じられて、手元が急に落ち着かなくなる。
ふくらさんの方を見たいけれど、もし目が合ったらどうしていいか分からない。
一週間前の気まずさを引きずったままのこの空間は、僕にとってあまりにも刺激が強すぎた。
カチカチ、と規則的に響くふくらさんのタイピング音すら、すこし遠く聞こえる。
画面を見つめるフリを限界まで続けたけれど、ついに耐えきれなくなった僕は、そっとデスクの陰に隠すようにしてスマートフォンを取り出した。
恋愛に詳しそうな人かつ、この状況をなんとかしてくれそうな人――。
・・・・・
河 [山本〜]
河 [いまオフィスにふくらと2人きりになっちゃったんだけど!]
河 [気まずい、どーすればいい?]
藁にもすがる思いで山本にメッセージを送りつける。
すると、ほんの数十秒で画面が光った。
山 [え!チャンスじゃないですか笑]
山 [普通に話しかけちゃえば大丈夫ですよ〜!]
河 それができたら苦労してないんだよ……!
呑気な返信に、僕は画面の向こうの山本さんに向けて心の中で叫んだ。
でも、誰かと繋がっているというだけで、
張り詰めていた緊張が少しだけ緩む気がして、僕はそのまま画面を凝視し続けていた。
・・・・・
……一方その頃、少し離れたデスクでは、ふくらは全く別の理由で頭を抱えていた。
ふ(……全然、進まない)
パソコンの画面には、書きかけの企画書だけが映し出されている。
いつもなら綺麗にかき分ける企画書でさえすこしもまとまっていなかった。
理由は分かっている。
隣のデスクで、ずっとスマートフォンを握りしめている河村の存在だ。
一週間前、よかれと思って渡したハーブティーの後、河村は耳まで真っ赤にしてそそくさと逃げてしまった。
ふくらは「みんなの前で体調のことを言ったのが恥かしかったのかな」「距離をおいた方がいいのかな」と、この一週間、彼なりに真剣に悩んでいたのだ。
だから今日も、なるべく話しかけないように、河村が嫌がらないようにと、細心の注意を払って距離をおいていた。
それなのに。
ふ ……誰と、そんなに連絡してるんだろ
ふくらさんの胸の奥にジリジリとした不快感が広がっていく。
僕がここにいるのに。
せっかく二人きりなのに、河村は画面の向こうの「誰か」と熱心に会話している。
ふ ……なんだろ、この胸のもやもやする感じ。
きっと、企画案が思うように進まなくて焦ってるせいだな
自分の胸を占領していく不快感の正体が「嫉妬」だとは一ミリも気づかないふくらは、自分の気持ちを決めつけて落ち着かせる。
どうしても河村のことが気になってしまう。
ふくらはガタッ、と大きな音を立てて椅子を引いた。
迷いのない足取りで、河村のデスクへと歩み寄る。
河 「わっ……!?」
突然の影に驚いた河村が、跳ねるようにスマートフォンを裏返して机に伏せる。
その「コソコソと隠すような仕草」を見て、
ふ ……隠した。まぁスマホの画面なんて誰にも見られたくないか。
ふ 「……河村」
ふくらは自分でも気づかないうちに、いつもより少し低くて不機嫌そうな声で、河村の名前を呼んでいた。
ふ 「スマホばっかり見てないで、ちょっと休憩しない?」
河 「え、あ、うん……そうだね」
ふくらの声はどこか不機嫌そうに聞こえた。河村は「やっぱりまだ怒らせてるのかな」と、おそるおそるふくらさんの顔を窺う。
ふくらさんは無言のまま自販機へ向かい、温かい飲み物を二つ買って戻ってくると、一つを河村の前にコトッと置いた。
ふ 「……先週のことなんだけど」
ストレートに切り出された言葉に、河村の肩がビクッと跳ねる。
ふ 「俺、みんなの前でハーブティー渡したでしょ。あれ、嫌だった?……みんなの前で体調のこと言われるの、恥ずかしかったよね。デリカシーなくてごめん」
ふくらは、この一週間ずっと考えていたことを口にした。嫌われたかもしれないという不安が、その瞳に微かに揺れている。
河村は目を見開いた。
ふくらがそんな風に悩んでいたなんて、夢にも思わなかったからだ。
河 「えっ、嫌なわけないじゃん! むしろ、すごく嬉しかったよ!」
慌てて否定する。
声を張ったせいで、自分の顔がまた一気に熱くなっていくのが分かった。
河 「その……僕、ふくらにあんなに優しくしてもらえると思ってなかったから、びっくりして、上手くお礼が言えなくて……。変な態度とって、こっちこそごめん」
恥ずかしさに耐えかねて、河村は手元のボトルを両手で包み込み、視線を落とした。耳まで赤くなっていく河村を見て、ふくらさんはパチパチと瞬きをする。
ふ 「……嫌じゃ、なかった?」
河 「全然。すっごく嬉しかった」
その言葉を聞いた瞬間、ふくらの胸を覆っていた黒いもやもやが、嘘のように綺麗に消え去っていった。
ふ なんだ、嫌われてなかったんだ。よかった……!
心が驚くほど軽くなる。
ふ 「そっか! よかったぁ。じゃあ、気を取り直して企画案の続きやろ? 俺、河村の意見聞きたいやつあるんだよね」
いつもの、ふにゃりとした柔らかい笑顔に戻ったふくらが、ノートパソコンを持って河村の隣の席に移動してくる。
河 「うん、やろう。僕もふくらと話したいことあったんだ」
一週間ぶりに綺麗に噛み合った会話が、静かなオフィスに心地よく響き始める。
「このクイズの構造なんだけどさ」「あ、そこはこっちのパターンの方が綺麗じゃない?」
次々と面白いアイデアが生まれていく。
やっぱり、二人で作業するのは最高に楽しい。
すっかり夜も更け、二人の企画書が完成した頃には、オフィスを出る時間になっていた。
パソコンを閉じて片付けをしながら、ふくらさんがふと河村さんの方を振り返る。
ふ 「河村って電車通勤だよね。俺もだから、駅まで一緒に行こ」
河 「え……? あ、うん。」
突然の提案に、河村さんは少し照れつつも、嬉しさを隠せないまま承諾した。
・・・・・
パチッとオフィスの電気を消し、静まり返ったビルを出る。
冷たい夜風が、作業で熱くなった頭に心地いい。
駅までの道のりを、並んで歩く。
いつもなら他のメンバーがいたりして、こうして夜遅くに二人きりで歩くのは珍しいことだった。
他愛のない話をしながら駅に到着し、二人はそのまま何事もないように改札を通って、同じホームへと向かった。
河 「あ、ふくらもこっちのホームなんだ」
ふ 「うん。河村も?」
乗った電車も同じ。
ドアの近くに並んで立ち、ガタゴトと揺られながら会話を続ける。
ふ 「そういえば、河村ってどのへんに住んでるの? 方向同じだったんだね」
河 「そうだね。僕は〇〇駅だよ」
ふ 「……えっ?」
ふくらがパチパチと瞬きをして、目を見開いた。
ふ 「〇〇駅!? 嘘でしょ、俺もだよ!」
河 「え……!? 本当に?」
いつも通う時間が違っていたから全く気づかなかったけれど、まさかお互いの家が、同じ駅を使うほど近かったなんて。
ふ 「えー! じゃあ降りる駅も、駅から家までの帰り道もほぼ一緒じゃん! なんで今まで気づかなかったんだろ!」
河 「あはは、確かに。お互い生活リズムがバラバラだったからね」
ふ 「じゃあさ、今日はもう家までずっと一緒だね。行こ!」
河 「うん……! 行こう」
返事をしながら、河村さんの心臓は限界を迎えそうだった。
河 ……っ、なんでそんな恥ずかしいワードがサラサラ出てくるんだよ!?
こっちは「家までずっと一緒」という響きだけで、脳内がパニックを起こして顔から火が出そうなのに。
当の本人は、クイズの正解を見つけたときのような、なんの邪気もない満面の笑みを浮かべている。
『ふくらは誰にでも距離が近いんだ』と分かってはいても、高学歴な脳の処理スピードを完全に置き去りにするふくらさんの無自覚天然発言は、あまりにも破壊力が強すぎた。
目的の駅につき、並んで改札を出る。
河村は、ポケットの中でスマートフォンを握りしめながら、隣を歩くふくらさんの温度を近くに感じていた。
さっき山本さんに送ったSOSが嘘のように、今は少しだけ、この時間が終わってほしくないと思っている。
ふ 河村と同じ駅って分かったし、今日は楽しかったな。
胸の奥に残った小さな違和感に蓋をしたまま、ふくらは嬉しそうにクイズの雑学を語りだす。
終わり方とかむずかしいよね
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コメント
5件
いやぁ、好き。(突然の告白) え、あ、まじかぁ。(語彙力消失) ただいま読み終わった後から様々な重度の病気になってますねこれ 早く付き合ってくれぇぇ!あ、けど早く付き合うとこの可愛い二人が見れなくなるのか、やっぱりまだまだ先に続く方が良いですね!笑 まじで、続き楽しみにしてます!!
みるくおれさん、更新お疲れさまです! 二人の「すれ違い」と「一週間の距離」がじわじわ切なくて、でも最後にちゃんと話せてよかった…! ふくらさんの「嫉妬に気づかない不機嫌」と、河村くんの「家までずっと一緒」でパニックになるところ、もう最高に可愛いです。同じ駅って判明したラスト、自然な流れでほっこりしました。次回も楽しみにしてますね!
Nozomi💜
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#QK
あお
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