コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
式場スタッフに案内され中に入った。
一通り見学させてもらったが外装に負けないくらい中もオシャレで高級感が凄い。
他は断られてココしかないとかいう妥協案なんて勿体ないくらいの所だ。
「あかーし どう?お気に召した?」
「素敵な所ですね。」
「だよな!じゃあとりあえず仮予約?でももう他にも見てきたしいい?」
「あ…じゃあ仮予約にしませんか?」
どんなにいい所でも即決は良くないだろとか諸々の不安から出た提案だったがすんなり受け入れてもらえた。
仮予約を済ませ家に帰ったらちゃんと話し合わないとな…
いつぞやに俺が買ってきたブライダル雑誌を赤葦がリビングの机に運んできて2人でソファに腰を掛けた。
「まずですね、木兎さん」
「うん」
「具体的に2人の考えをまとめて、そこから式場やプランなんかを決めていくべきだと思うんですよ。」
「そうだな!…じゃあ赤葦の理想は?」
「わかんないです…そもそも誰を招待するかとかも。俺たちの関係知ってる人なんて身内以外にいないし、俺の両親は来ないでしょう…てか来られても困りますけど、祖父母なら来てくれますかね…?木兎さんは人脈広いけど俺…」
「赤葦一旦ストップ!」
赤葦らしく冷静に考えてるのかと思ったけどこれは違うやつだな。
赤葦が不安な時に考えまくって安心しようとしてるやつ…で考えまくった挙句暴走するのがお決まりのパターンだ。
「不安な事があるなら2人で話し合えばいいでしょ?すぐ1人で抱え込まないの!」
子供に言い聞かせるような言い方でそう言って軽くおでこをつついてやった。
「そんで不安な事が無くなったら、赤葦がドレスか白無垢かとか楽しいことを話し合いたい。」
「え、いや普通にタキシードがいいです。」
そして2人で話し合った結果なんとなくまとまってきた。
1つ残った問題はお金だったが母ちゃんを説得して足りない分は出世払いってことにさせてもらった。
さすがに自分たちの結婚式全額払わせられねえよな!
数日後に本契約をしてついに日取りやプランを決めていった。
「あかーし!これ!絶対似合う!」
「だ か ら!ドレスは気ないって言ってるでしょうが!」
「お色直しの方でも?だめ?」
「ダメです。そんなにドレスがいいなら木兎さんが着たらどうですか?」
「俺が着ても意味ないじゃ〜ん」
スタッフさんや母ちゃんに笑われながらも順調に進んで
まぁケンカもしたけど何とか乗り越えてきた。
元々赤葦とは気が合うっていうかウマが合うっていうの?なんか意見がわれることがあんま無いんだけど、
1回ケンカするとあいつ頑固だから絶対譲らないのな!
そこも可愛い。
惚れた方が負けってやつかな…
そして、
結婚式当日。
当初の予定よりもかなり豪華な式。
足を運んでくれたのはほとんどが高校時代の、そしてバレー部の人達だった。
付き合ってたことすら話したことなかったのに久しぶりに連絡してきて結婚だなんて水臭いって怒られたけどみんな来てくれていた。
その中に俺たちが兄弟だってことを知ってる人はいない。
ただのαとΩの番として結婚することを祝ってくれた。
「赤葦、お前あれはねえだろ~」
二次会会場で笑いながら木葉さんがジェスチャーで再現する。
「トスって言われたからつい、血が騒ぎました。」
「だからって普通ブーケトスであんな綺麗なトス上げないからな!おかげで木兎、お前のトスに引き寄せられてスパイク決めちゃったから!」
「赤葦のトスは全部打ちきる!エースだから!」
「小見さんに拾われてましたけどね。」
「いや、本来のブーケトスってあんな勢いで飛んでこねーよ。そしてキャッチされなきゃダメだろ。」
程よく酒も回り高校生のようなノリであの頃に戻ったような感覚だった。
「ていうかお前ら高校の頃から付き合ってたってマジ?具体的にいつ頃から?」
「俺らが3年に上がった頃だな!」
「あ〜言われてみれば…主将と副主将になったからかと思ってたわ」
「こいつらその前から距離感おかしかっただろ」
その後もどっちから告ったとかどこでプロポーズしたかとか質問がたくさん飛んできた。
その度に自慢げに語る木兎さんを俺は愛おしく思った。
その日の夜。
「赤葦、お前にとって俺って何?」
憧れのスター、先輩、彼氏、番、兄、そして夫…
でもそんな関係性大した問題はない。
だって
俺にとってあなたが、あなたにとって俺が、
何であったってこの運命は変わらない。
「なんですか、その質問。メンヘラですか。…..まぁ 強いて言うなら大事な家族ですかね」
「強いて言うならってなんだよ~ 俺は赤葦の事大好きだよ。」
どれだけ遠回りしたとしてもこの運命の赤い糸の先はあなただけです。
でもそんな糸なんてなくたって俺たちの想いは繋がってるから。
真面目に声に出すのは照れくさいけど
「はいはい、俺も大好きですよ。」
end.