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前章の続き。
新章 第一章 に注意事等が書かれているので まだ読んでない方は先に其方を呼んでください。
季節は春。
瀬麗梛がこの国へ来てから、半年が過ぎていた。
「瀬麗梛!」
姫が笑顔で手を振る。
「おはようございます、姫様。」
「今日も庭園へ行きましょう。」
「はい。」
二人は花が咲き誇る庭園を歩く。
「瀬麗梛。」
「はい?」
「あなたといると安心する。」
瀬麗梛は少し驚き、それから柔らかく笑った。
「ありがとうございます。」
その光景を、遠くから貴族たちが睨みつけていた。
「……気に入らない。」
「姫様があんな平民を。」
「そろそろ始めるか。」
一人の男が黒い小瓶を取り出した。
「この薬なら、少し触れただけで傷ができる。」
「そして姫様が泣けば……。」
全員が不気味に笑った。
翌日。
瀬麗梛は姫と図書室へ向かっていた。
「最近、本ばかりですね。」
「あなたと読むのが楽しいもの。」
「ふふ。」
その時。
「姫様!」
侍女が駆け寄ってきた。
「陛下がお呼びです!」
「え?」
「急ぎです!」
姫は瀬麗梛を見た。
「少し待っていて。」
「分かりました。」
姫は廊下を走っていく。
その直後だった。
柱の陰から貴族たちが現れる。
「今だ。」
一人が薬を床へ撒く。
「これで準備は終わりだ。」
数分後。
姫が戻ってきた。
「瀬麗梛、お待たせ……きゃっ!」
足を滑らせ、転倒する。
床に撒かれた薬が腕に付着した。
赤い傷が一気に広がる。
「姫様!」
瀬麗梛は慌てて駆け寄った。
「大丈夫ですか!」
姫を支えようと手を伸ばす。
その瞬間――
「何をしている!」
大声が響いた。
騎士たちが駆け込んでくる。
「姫様!」
「腕が……!」
「瀬麗梛が傷付けたぞ!」
「違います!」
瀬麗梛は首を振る。
「僕は……!」
「言い訳するな!」
貴族が叫ぶ。
「現場を見た!」
「瀬麗梛が姫様の腕を掴んでいた!」
兵士たちがざわめく。
「最低だ。」
「恩を仇で返すなんて。」
姫は慌てて立ち上がる。
「違います!」
「瀬麗梛は何も——」
しかし。
「姫様。」
貴族が遮った。
「恐怖で混乱しておられるのです。」
「違……。」
「もう十分です。」
姫の言葉は誰にも届かなかった。
瀬麗梛だけが静かに目を閉じる。
(……なるほど。)
(そういうことか。)
彼はすべて理解した。
それでも、何も言わなかった。
その夜。
王城の牢。
瀬麗梛は冷たい床に座っていた。
「はぁ……。」
鉄格子の向こうから小さな光が現れる。
「総統様。」
「隋星?」
小さな神は悲しそうな顔をしていた。
「全部見てました。」
「……。」
「どうして反論しないんですか。」
瀬麗梛は苦笑した。
「姫様は無事だった。」
「それで十分だよ。」
隋星は唇を噛む。
「優しすぎます……。」
「その優しさが、瀬麗梛様を傷付けるんです。」
瀬麗梛は静かに微笑んだ。
「大丈夫。」
「きっといつか分かってくれるから。」
隋星は何も言えなかった。
その優しさが、一番辛かった。
**第四章 終**
次章へ続く。
コメント
3件
第四章読んだよ…!前半の穏やかな庭園や図書室のやり取りが優しくて、余計に冤罪パートの理不尽さが胸に刺さったわ。瀬麗梛が反論せずに受け入れる選択するの、彼の優しさであり弱点でもあるよな…。「大丈夫」って笑うとこで一気に切なくなった。隋星の「その優しさが傷付ける」って台詞、その通りすぎてグッときた。次章どうやって抜け出すのか、気になる!