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そこから目が覚めたのは、
いつだったんだろう。
見覚えの無い白い天井。
病院なのだろうか。
良かった、生きていた。
僕は一体どれくらい眠っていたのだろうか。
「あれ…起きた…?」
聞き覚えのある声が耳を擽る。
「もう…1週間も寝たきりだったんだよ…」
背筋が凍る。
旅行や、活動を行ったのは4日間。
眠っていたのは1週間。
11日間を僕はもう過ごした。
そのうち半分も、彼たちと過ごせていない。
「ごめんね」
口から不意にでた言葉は、ごめんね。
いつか元気になれるかなぁ。
「ねえ、“涼ちゃん”
好きだよ。」
そう、“元貴”。
僕は君が好きだ。
君みたいな人に恵まれて、嬉しかった。
若井も、心配かけちゃうなぁ。
「元貴、…若井は?」
さっきから見かけない。
まあ1週間も空けていたのだから、
若井も忙しいのだろう。
「若井…ね、今撮影の関係で、
ニューヨークにいるんだ。」
逢えないのか…まあ、生きればいいだけだし
そう考えていたらスマホが鳴る。
若井からの電話だ。
『あ、涼ちゃん…!!』
画面越しでも分かる。
笑ってる。
嬉しいなぁ。
『若井〜、
僕頑張って生きるからね。』
こんなことを言って死んでしまったら
僕は嘘つきモノになってしまう。
『んー、じゃあ
帰ったら元貴と俺と一緒にゲームしようね!
約束だよ、涼ちゃん!』
こんな幸せが続く事を願う。
知らないところに独りで逝きたくないし。
暖かい家庭、築きたいなぁ。
そんな事を言って、あまり体調が優れない。
「涼ちゃん。
今日だけは僕のボーイフレンドだよ。」
元貴…今日だけは、なんて言わないでよ。
「今日だけは僕の瞳を見て。」
元貴、…ありがとう。
「今日だけは、じゃなくてずっとこのままがいいな。」
不意に出た言葉を
自分で理解するのは難しい。
まだ、そう言えば元貴と付き合えてないな。
両想いなのに、…。
僕のせいでまた人が傷つくのはもう嫌だ。
また、失ってくんだ。