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なにわ男子 道枝×長尾 BL ※短編×非エロ
start
┈
長尾謙杜side
玄関のドアが閉まる音が、やけに大きく響いた。
「……ただいま」
靴を脱ぎかけたところで、
後ろから気配。
「長尾」
低い声。
いつもより、近い。
「……なに、みっちー」
振り返る前に、
——どん。
壁。
背中に冷たい感触が来て、
視界の端で、みっちーの腕が壁につくのが見えた。
「……壁ドン?」
軽く笑って誤魔化そうとしたのに、
みっちーは笑わへん。
「今日さ」
顔、近い。
「俺が迎えに行くって言ったのに」
「長尾、先に帰ったよな」
「あー……」
言い訳考えてる間に、
顎、取られる。
——顎クイ。
「目、逸らすのずるい」
「……仕事の電話来てただけやって」
「誰」
即。
「……同僚」
そう言った瞬間、
みっちーの指が、俺の首筋に触れた。
なぞるだけ。
ほんまに、それだけやのに。
「……っ」
息、詰まる。
「俺の前で」
「その反応、して」
耳元。
囁き。
「他で見せんで」
……ずるい。
「みっちー、玄関……」
「知ってる」
低く笑って。
「だから、ここでしかしない」
——ちゅ。
一回目のキスは、短く。
離れたと思ったら、
顎を持ち直されて。
「逃げんな」
二回目。
今度は少し長い。
唇が離れた瞬間、
息を整える間もなく。
三回目。
「……っ、ちょ、待って」
俺が一歩引こうとした瞬間、
腰に手。
がしっと掴まれて、
引き寄せられる。
「離れようとしたやろ」
耳元で、低く。
「付き合ってるから」
「引き戻せるんやで」
心臓、うるさい。
「……嫉妬?」
小さく聞いたら、
みっちー、否定せぇへん。
「小悪魔でごめん」
そう言いながら、
また首筋をなぞる。
「でも」
「長尾が好きやから」
四回目のキス。
さっきより、深くなりそうで。
でも、
そこで一瞬止まる。
額を軽く当てて、
息がかかる距離。
「……この先」
囁き。
「分かってるやろ」
——それ以上、言わへん。
俺の返事を待つみたいに、
ただ見つめてくる。
……ずるいのは、俺の方かもしれん。
「……玄関、狭いんやけど」
そう言ったら、
みっちーが少し笑って。
「せやな」
五回目のキスは、
さっきより、優しかった。
「中、行こ」
そう言われて、
手を引かれる。
玄関に残った熱が、
なかなか冷めへん。
——付き合ってるからこそ出来ること、
何回もされて。
それでも、
まだ足りへんって顔してるみっちーに。
俺はもう、
逃げる気、なかった。
┈
finish
コメント
2件
うわ~✨めっちゃ好きです!みちなが尊い…🫠