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放課後の、西日が差し込む旧校舎。
私は、プレゼントの入った小さな紙袋を胸に抱えたまま、
教室の扉の前で、凍りついていた。
今日は、一ヶ月前から付き合い始めた彼――勇介くんの誕生日。
「結衣って、クールに見えて実は優しいよね」
「俺、そういうところが好きだな」
そう言って笑いかけてくれた彼を、私は信じ始めていた。
妹の芽衣(めい)ばかりがチヤホヤされるこの世界で、初めて「私自身」を見てくれる人が現れたのだと。
けれど。
扉の向こうから聞こえてきたのは、一生忘れることのできない、残酷な会話だった。
「てかさ、勇介。なんであの子の姉の方いってんの?」
「どう考えても、妹の芽衣ちゃんいくっしょ。あっちの方が断然可愛いじゃん」
友達の茶化すような声に、心臓が止まるかと思った。
お願い。
否定して。
そんなことないって、笑い飛ばして――。