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祈るような思いで耳を澄ませた私に、勇介くんは、事もなげに言い放った。
「分かってねーな」
「姉にいけばさ、自然と家に遊びに行けるだろ?」
「芽衣ちゃんに近づくための、最短ルートなんだよ」
ドッと沸き起こる、男子たちの笑い声。
「結衣はさ、顔は綺麗だけど可愛げないし」
「正直、一緒にいてもきついぜ。今は我慢して『彼氏ごっこ』してるだけ」
手の中の紙袋が、音を立ててクシャリと歪んだ。
(ああ、そうか……)
私を見てる人なんて、この世界には最初から一人もいなかったんだ。
私は彼へのプレゼントをゴミ箱に捨て、その場から逃げ出した。
視界が、涙で滲む。
この日を境に、私は誰かに期待することをやめた。
自分の心に分厚い氷を張り、誰にも、何色にも染められない「鉄仮面」を被って生きていく。
それが、自分を守るための、唯一の術だった。