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ばっちゃんが地球からのお土産を上手く売り捌いてくれてまさかの100万クレジットを手に入れることが出来た。
まあ、ばっちゃんの事だから里の皆相手には悪どいことはしていないはず。
「ばっちゃん、売り上げは凄いけど反応はどうだった?」
物珍しさに買うだけじゃ次には繋がらない。大切なのはリピーターだよ。
「大好評だったよ?☆特にお肉の類いが人気だったかな☆ほら、私達庶民じゃ滅多に食べられないしね☆もちろんお魚やお野菜もたくさん売れたよ☆」
「おー、また持ってきたら買ってくれるかな?」
「今回と同じ量だと7日は持たないだろうね☆」
「そんなにかぁ……嬉しい誤算だよ」
売れるとは確信してたけど、やっぱり不安はあった。ばっちゃんに任せて正解だったね。
「次からもばっちゃんに任せて良いかな?手間賃は弾むからさ」
「手間賃代わりに、ティナちゃんにはお願いを聞いて貰いたいかな☆」
「私が出来ることだけだよ?」
無理難題を出すような人じゃないけどね。
「これこれ、これが欲しいんだけど☆」
ばっちゃんが指差したのは地球からのお土産に含まれてた絵画だよ。ルネサンス期のものだっけ?もちろんレプリカだよ。
私は芸術品なんてわからないから黙っていれば良いのに、わざわざレプリカだとジョンさんが教えてくれた。あくまでもサンプルとして地球の芸術を紹介するために用意してくれたんだって。
売れるか分からなかったけど、ばっちゃんは興味があるのかな?
「これ?地球の絵だけど。ばっちゃん、興味があるの?」
「うーん、この色が気になるんだよねぇ。これ、フォトじゃないんだよね?☆」
「絵だからね、人が書いたんだよ」
「気になるなぁ☆こんな綺麗な模様を描けるようなものが欲しいな☆」
これ、絵じゃなくて絵の具とかの道具に興味がある感じかも。
アードじゃフォトが一般的で、絵画なんて文化は随分と衰退してる。需要がない訳じゃないんだけど、極一部だ。地球に比べたら無いと言って良いくらいには。
「分かった、色々お話を聞いてみるよ」
ばっちゃんと分かれた私は実家へと帰りついた。既に夕方の時間帯、流石に疲れたよ。
「ただいま~」
「お帰りなさい、ティナ。遅かったわね」
「色々あってね。フェルは?」
ダイニングにはお母さんが居て、なにか資料を読んでる。フェルは居ないみたいだね。
「色々手伝ってくれてね、部屋で休んでるわ」
「そっか……あれ?なに見てるの?地球のこと?」
お母さんの見てる資料、空中に映し出された資料には見慣れた地球の飛行機が映ってた。
「地球人は凄いわね、ティナ。空を飛ぶために必要とは言え、揚力のみで飛行するなんてとっても不安定な方法を、よく実現したものだわ。しかも、推進装置が浮揚装置を兼ねているんでしょう?」
「そうだねぇ」
アードじゃ反重力装置を搭載した乗り物が一般的だ。初めて見た時は、ザ・SFの乗り物だなんてテンションが爆上がりしたのは良い思い出だ。
「私達からすれば正気の沙汰ではないけれど、それだけ空に憧れたのかしらね」
「地球人は自力で空を飛べないからね」
この辺りの感覚はアード人には分からないと思う。私達は生まれながらに空を飛ぶ力があるから、地球人ほど空に憧れは無い。身近な存在だしね。
「ティナ。地球に行くのは良いけれど、この飛行機と呼ばれる乗り物には乗っちゃ駄目よ?見たところ、事故も少なくないみたいだしね」
お母さんが見てるのは、アリアが地球のインターネットから集めた資料だ。ただ、ファイアウォールを初めとしたあらゆる地球のセキュリティはアリアの前じゃ意味がないらしくて、国家機密の類いまで山ほどあってビックリした。
重要機密の類いは直ぐに処理するように指示を出したから、私を含め観覧できる資料は地球でもインターネットで簡単に調べられる類いのものだけだ。
「それは難しいかなぁ。地球にも面子はあるだろうしね」
ギャラクシー号や自力で飛んでも良いんだけど、久しぶりに飛行機に乗ってみたいし。
「そう……いざとなれば逃げるのよ?」
「うん、分かってる」
万が一不具合が起きたら、軌道上のプラネット号からトラクタービームで引っ張るだけだよ。
トラクタービームは、対象を引っ張る特殊なビームのこと。原理?分からない。
「それで、次はいつ出るのかしら?」
「明日には出発するつもりだよ」
「急なのね」
出来れば数日はゆっくりしたいし助けた人達の様子も見たいけど、ハリソンさん達と約束した日にちまであんまり余裕がない。
どうせ7日間はハイパーレーンで過ごすことになるんだから、その時に休むことにする。
「約束があるからね。お母さん、医療シートは?」
「約束通り300枚用意してあるわよ。ティナのトランクに居れてる」
「ありがとう。それと、ばっちゃんから100万クレジット貰ったんだけど」
「売れたみたいね?里の皆も次の入荷を楽しみにしてるわ」
「うん、だから次はたくさん持ち帰りたいから大容量のトランクを買おうかなって思ってる」
交易用のトランクはザッカル局長が10個用意してくれた。ただ、予算的に援助があるのは今回まで。次回からは私が自腹を切るしかない。つまり、交易の売り上げを伸ばさなきゃ行けない。
「あの味だもの、持ち帰った分は全部売れるわよ。里長はやり手だし、その辺りは安心しなさい」
「うん」
ジョンさんに相談してたくさん食べ物を用意して貰おう。対価は医療シート300枚。足りる、よね?
外にもお土産として、栄養ドリンクのエネルゲン。これは地球側からの要望だけど、取り扱いには細心の注意が必要だ。ジョンさんや朝霧さんみたいな悲劇は繰り返さないように……まあ、私が悪いんだけどさ。渡すかどうかは私の判断に任されてるから、ジョンさん達と相談しよう。
そしてジョンさんへのお詫びの品として、イクモーダΖを用意した。育毛剤として有名なイクモーダシリーズは色々あるけど、これは“お父さんが愛用してるもの”だよ。
アリアに地球人に害はないって調べて貰ったから大丈夫!な筈。
待っててくださいね、ジョンさん!サハラになっちゃった頭をアマゾンくらいには回復させてあげますから!