テラーノベル
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午前9時
目が覚めると、元貴が俺を見つめていた。
「……いつから起きてた?」
「ずっと。」
思わず眉をひそめる。元貴の目には隈ができていた。
「寝てないよな?」
「……だって」
「寝たら若井がいなくなる気がして」
何も言えなかった。
「…………、」
「シャワー浴びてくる」
身体を起こすと、腕を掴まれた。
「一緒に入る」
「……好きにすれば」
バスルームで、元貴が俺の背中を流しながら喋り続ける。
「昨日の夢で、若井が知らない女と笑ってた」
「夢だろ」
「……でも怖かった。若井が俺を置いて行くんじゃないかって」
理由はない、けど振り返る。大きな水滴が元貴の頬を伝う。
―涙なのか、水なのか。
「行かないよ」
「約束して」
「……約束する」
元貴が胸に抱きついてくる。
濡れた身体が密着し体温を分け合う。何かが伝わるように背中に手を回す。
共依存だと、
どこかで思う。
元貴が俺を求めるように、俺も元貴を必要としている。
元貴に必要とされることで、俺は生きている実感を得る。
互いを食い合いながら、今日も生きている。
「若井……」
囁きながら、元貴の手が俺の肌を滑る。
目を閉じて、全てを委ねた。
唇が首筋を這う。鎖骨を舐められて、胸に歯を立てられる。
昨日と同じ。
「痛い……」
「我慢して」
元貴の声が切ない。
服の下に隠れる場所に、痕が刻まれていく。
「もとき……っ」
名前を呼ぶ声が震える。
元貴の手が太腿を這う。
「全部俺のものにする」
境界線が溶けていく。
どこからが俺で、どこからが元貴なのか、分からなくなる。
どれが俺で、どれが元貴かも。
それでいい、と思った。
元貴と一つになれるなら、自分を失ってもいい。
コメント
2件
素敵な作品✨️2人の会話の温度感がとても好きです。 これからも応援します!