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02 不思議な少女 〜Seid べる〜
「またこんなところにいたんだ。」
私、べるは不思議な少女を見つけてそう呟く。
「あ、べるじゃん?どうしたの?」
もう誰もいないような古びた神社の木の上に1人。
桃色の髪、ビイドロのような瞳、花柄の浴衣を着た少女、七志ことななっしーが振り返る。
「どうしたのじゃないよ___探し回ったんだから。」
不満げに言うと「ごめんごめんw」と笑ったように返してきた。
ななっしーはいつだって神出鬼没だ。
探し回っても見つからなかったり、逆に自分から会いにきたり。
時には私のいる学校の柵を乗り越えてやってきたことだってあった。
ななっしーとは去年の秋ごろに出会ったが不思議なことばかりだった。
いつも同じ浴衣の服を着ていて冬でも寒そうにしない。
今日だって、とても木登りできるような木じゃなかった。
多分何百年と放置されてる木なんだろう。
「で、べるは今日好きな人にあってきたの?」
茶化すようにイタズラっぽい笑みを浮かべて口元に手を当てて笑う。
〜っ!あいつ!
「そうだけど!?そうだけど何!?」
私が逆ギレのように言うと再びななっしーが笑う。
「もういい!今日は帰るよ!」
どういうと「そっか。」とだけ返事が返ってくる。
「じゃ、また明日。」
そう言うとその言葉に返事はなくて、代わりに「気を付けて帰りなよ〜」と帰ってくる。
本当、不思議な子だなぁ。
〜Seid さぁーもん〜
「失礼します。」
先生に頼まれた資料を渡すと「いつもありがとう」と帰ってくる。
「いえ、大丈夫ですよ」
自分でもなんでこんなことをしているんだろうと思う。
結局‘俺’は変わっていない。そう、思う。
「失礼しました。」
そう言って職員室を後にする。
最近やっと覚え始めた高校の校舎を駆け足で歩く。
時計を見ると‘あの子’との約束の時間を越していた。
「やべっ___」
焦りの言葉をつぶやくと後ろに気配を感じた。
「何がヤバいの?」
そう声をかけられて振り向く。
桃色の髪、ビイドロのような瞳、花柄の浴衣。
それから印象的な鈴を転がしたような可愛らしい声。
そこにはここにいないはずの‘あの子’が立っていた。
コメント
2件
わぁ…振り向いたら居たとかもうホラー…草