「……なんで、こんなとこで雨……っ」
 ざあざあと容赦なく降りつける雨の中、走るのを諦めた2人は、建物の軒下に飛び込んだ。
でも、もう手遅れだった。髪も服も、身体の芯まで濡れて、まともに呼吸もできない。
 「寒……元貴、大丈夫?」
 「……ああ。でも……おまえ、すげぇ濡れてんじゃん……」
 滉斗の前髪から雨粒がぽとりと落ちる。
その顔が、濡れて色っぽく見えたのは、気のせいなんかじゃなかった。
 「なぁ、滉斗……」
 たまらず手を伸ばして、その頬に触れた瞬間――
2人の間の距離が、唐突に、でも自然にゼロになった。
 唇が重なり、舌が触れ合う。
冷たさなんて、一瞬で吹き飛ぶ。
 「……元貴、っ……」
 キスの合間に洩れる声すら、熱い。
濡れた服が互いに張りついて、余計に身体のラインが際立つ。
 「脱がす余裕なんて、もうない」
 そう囁くと同時に、元貴は滉斗の服の上から手を滑らせた。
雨で薄くなった布越しに触れた滉斗の身体は、確かに震えていた。
けれどそれは寒さじゃない。欲望の震えだった。
 「……っ、元貴……だめ、そんな……急に……!」
 「我慢しないで。俺も、もう止まんない」
 濡れた手で、敏感なところを擦ると、滉斗の腰が跳ねた。
張りついた布越しでも、反応ははっきり伝わる。
 狭い軒下、誰かに見られてもおかしくない場所で、滉斗の身体がだんだんと熱に溶けていく。
口を塞ぎながら、強引に手を動かし続ける元貴に、滉斗は甘く、くぐもった声で喘いだ。
 「や、やばい……っ、こんなの……外で、っ……元貴……!」
 「いいよ。イって。俺の手の中で」
 最後のひと撫で。
濡れた布の下、滉斗は果てた。
びくりと震えて、目を潤ませながら、元貴の胸に顔をうずめて、息を乱したまま動けなくなっていた。
 「……あーあ、もっと奥まで……したくなる」
 「……バカ、ここじゃ……無理……」
 そう言いながらも、滉斗の手が元貴の腰に回っているのを、元貴はちゃんと感じていた。
 この夜は、まだ終わらない。
コメント
4件
文才すぎる方を見つけてしまった...フォロー失礼します〜🙏
えっ好きです フォロー失礼します