/s/[storyId]/_components/heading/assets/back_arrow_icon.4081080bcaba67b8.svg){kind=icon}
/s/[storyId]/_containers/report-container/assets/more-icon.20cfac1b79e24f56.svg){kind=icon}
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。
テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
タイトル、作家名、タグで検索
ストーリーを書く
テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
タイトル、作家名、タグで検索
ストーリーを書く
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。
10
ユウリたちは他の生徒や大人の|護人《ディフェンシア》たちとともに、ルミラルの左翼へと向かった。宇宙空間での邂逅以来、神蝶エデンは神鳥ルミラルと隣り合って飛んでおり、左翼の先端から行き来が可能となっていた。
エデンの右翼に移って進んでいくと、たびたび傷ついたエデリア人に出会った。エデリアの各都市からの救援依頼役だった。救援部隊は何度か人員を分けた結果、帝都に向かう人数はユウリ、フィアナ、カノンを含めて十人となった。
しばらく行くと、広大な水堀と黒色の城壁が見えてきた。帝都の外周部である。ユウリたちは幅広の橋の上を飛行移動する。しかし。
ザバアッ！ 眼下の堀の水面が割れ、巨大な何かが姿を現す。
次の瞬間、ガギィッ！ 眼前で金属音がした。短髪の男性|護人《ディフェンシア》が必死の形相で橙色の剣を打ち付けていた。
そのすぐ前では、水色の生物が翼を羽ばたかせていた。大きさは人間とそう変わらず、背中には甲羅がある。額には氷のような角が生えており、短髪の男性の剣とつばぜり合いをしている。
わずかに遅れて、盛大な水音が何度もして、続々と同種の生物が五体出現する。
「な、何なのよこいつら！ |悪竜《ヴァルゴン》なの？」フィアナの戸惑いの声を上げる。
「君たちはまだ知らないか！ 最近確認された、水生|悪竜《ヴァルゴン》だ！」
短髪の男性が叫んで、ぐっと体重を前にやった。水生|悪竜《ヴァルゴン》の身体を押し返して離し、間髪入れずに斬りかかる。
「こいつらは動きが独特だから、初見の者には任せられない！ ここは我々が引き受けるから、君たちは帝都の中に向かってくれ！」
女性の|護人《ディフェンシア》が別の一匹とやり合いつつ叫んだ。
「わかりました！ では申し訳ないですが、よろしくお願いします！ ご武運を！」
ユウリはぴしりと言い放ち、飛ぶ速度を上げた。水生|悪竜《ヴァルゴン》をやり過ごしたようで、フィアナとカノンも斜め後ろをついて来ている。
帝都の開け放たれた門が迫ってきた。ユウリたちは飛んだ状態で通り抜けようとする。
地面に影が差した。（何だ？ 急に暗くなって──）ユウリが訝しんでいると、「上です！」カノンが切迫した声音で言い放った。ユウリは反射的に上方に首を向ける。
視界の中心に大きな球体が入った。色は黒で、表面には竜鱗がびっしりと付いている。
（|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》！ それも|神代《かみよ》の戦で戦った奴より遥かに大きい！）
ユウリは戦慄した。その間にも|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》はどんどん大きさを増していく。否、自然落下により近づいてきているのだ。
押しつぶされるのを回避すべくべく、ユウリは速度を上げる。だが、影の切れ目ははるかに遠く、落下範囲からは到底、逃れられそうにない。|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》はあまりにも巨大だった。
（逃げ切れないっ！ くそっ！ 迎え撃つしかないのか！ でもこいつの表皮は……）
ユウリは|神代《かみよ》の戦を想起する。|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》の表面は高強度であり、外部からの攻撃はほとんど受け付けない。内部破壊技の|水盾《すいじゅん》波も、巨大重量を誇る敵に真下から当てると押しつぶされるだけである。
対応すべく高速思考している間にも、|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》は迫り来る。ユウリの焦燥はいっそう加速する。
次の瞬間、|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》の直下に小さな人影が出現。わずかの後に|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》が激突。ユウリは驚愕で瞠目する。
衝突点が発光し、ゴウッ！ 人影と|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》の間に炎の渦が出現。一瞬にして肥大化し、|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》の全身を包んだ。
表皮から頭が飛び出した。巨炎を受けて苦しげな面持ちを見せている。
|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》は左側に飛んでいき、はるか下方の堀へと落下していった。
「多少大きいからと少し警戒していたが、こんなものか。見かけ倒しだな。もう少し楽しめるかと思ったんだが」
澄んではいるが詰まらなさそうな女の子の声がした。ユウリは眼前の声の主を注視する。
「メイサ先生！」ユウリが声を張り上げると、人影はすたりと着地し振り返った。
メイサ・アイシスだった。小さな両手を細い腰に当て、尊大な視線をユウリたちに向けている。
「君の読みは正しかったな、ユウリ君。|悪竜《ヴァルゴン》|真球《スフェイラ》は再び現れた。まあ見ての通り、この私が瞬殺したがね」
メイサの台詞は居丈高な調子だった。
「先生。どうしてここに……。|悪竜《ヴァルゴン》|闇星《ウステル》に捉われるたんじゃあ無かったんですか」
ユウリはおそるおそる疑問を口にした。
するとメイサの瞳が、強気の色を増す。
「私を誰だと思っているんだ、ユウリ君。うすのろの|悪竜《ヴァルゴン》どもにいつまでも拘束されたりはしないよ。ルミラリアとエデリアの精鋭で知恵を絞って、障壁を解除したんだ。ちなみに他の|悪竜《ヴァルゴン》|闇星《ウステル》襲撃メンバーは、エデリアの各地の救援に向かっている」
言葉を切ったメイサは、おもむろに門のほうに顔を向けた。ユウリもつられて視線をそちらに移す。
門を入ってすぐ、帝都の創始者の石像の前に、男が立っていた。
リグラムだった。以前に会った時と異なり、精緻な模様の施された黒の軍服を纏っている。
メイサはゆっくりと歩き始め、ユウリ、フィアナ、カノンも続く。
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！
/s/[storyId]/_containers/next-in-series-container/next-in-series/assets/list-icon.c10ab777f3210550.svg){kind=icon}
作品ページ