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第14話「それぞれの決め方」
夕方。
窓の外が、ゆっくりとオレンジ色に変わっていく。
「……綺麗だな」
らんが、ぼんやり呟いた。
「だな」
なつが、同じ方向を見る。
「……らん」
少し間を置いて、なつが続けた。
「これからのこと、ちゃんと決めときたい」
その言葉に、らんの指先がわずかに震えた。
「……決める……?」
「無理に今じゃなくていい」
なつは、はっきりと言う。
「でも、考え方だけは共有しときたい」
「……うん……」
みことが、静かに口を開く。
「俺はさ」
少し考えてから、
「らんらんが“今日を生きたい”なら、それを一番にしたい」
「未来の話も大事だけど……」
「今を削ってまで作る未来は、違う気がする」
すちが、頷く。
「俺も同じ」
「スケジュールより、体調」
「ステージより、呼吸」
短い言葉だったけど、迷いはなかった。
「……らんくん」
こさめが、少し照れたように笑う。
「こさめはね」
「一緒にいる時間、増やしたい」
「歌ってなくても、いいから」
その言葉に、らんの喉がきゅっと鳴る。
「……ありがとう……」
「……俺は」
最後に、いるまが口を開いた。
全員が、そちらを見る。
「逃げない」
短く、はっきり。
「現実からも、感情からも」
「らんが苦しい時、嫌な役でも止める」
「それが、俺の決め方」
沈黙が落ちる。
らんは、胸に手を当てた。
「……俺は……」
言葉を選びながら、ゆっくり言う。
「……全部は……できない……」
息を吸う。
「……でも……」
小さく、でも確かな声。
「……生きてるって感じる時間は……」
「……ちゃんと……選びたい……」
誰も、否定しなかった。
「……なら」
なつが、穏やかに笑う。
「それでいこう」
「迷ったら、また話す」
「決め直してもいい」
夕焼けが、部屋を染める。
その光の中で、
誰もが完璧じゃない決意を、胸にしまった。
——怖さは消えない。
——不安も残る。
それでも。
「……は……」
らんは、静かに息を吐く。
(……選べる……)
そう思えたことが、
この日一番の救いだった。
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コメント
1件
いつ悪化するかわからなくても、ちゃんとそれぞれの意見が言えるシーン、ドラマチックで泣けた