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家に帰って、リュックサックを床に投げ捨てる。

早くワークを進めなくちゃ。手を洗って、うがいをして、冷蔵庫を開ける。あ、コーラ切れてる。

仕方なくコップにオレンジジュースを注いで自室に戻った。勉強、したくない。部屋の掃除でもしたい気分。いつもなら絶対しないけど。

やらなくちゃいけないからワークを進めた。間に合うかな、提出日に。ギリギリか?

夜は悪い考えしか浮かんでこない。私を暗い影が全て飲み込んでしまう気がする。許せない。

こんな自分が許せない。

恵まれてるのに病んでる自分が許せない。人より努力しない自分が許せない。でも何より自分を愛してる自分も許せない。存在していることが許せない。存在が害。居ない方がいい。日本の終末を見届けてしまいそうな位生きてる自分が許せない。

あー、バッド入ってきた。こうなったらどうにもならない。切ろ。最悪。まだ夏服だ。

切るとすっきりするけど、切った後後悔もする。

じゃあ切るなって話だろうが。でも切った自分の方が愛せる気がする。傷ついた自分の方が。

日本が終わるって言うなら明るく生きればいいのに。血をふき取って、止血の為に包帯を巻いてから眠りについた。

「ねぇあかね。青春ってなに」

秋を微塵も感じさせない昼休み、死んだ目でワークに取り組むあかねに聞いてみた。

「人による」

「じゃあ昼休みに死んだ目でワークを進めるのも青春なのかな」

「青春の真反対かもね」

あかねの前の席の人の椅子に後ろを向いて座る。

教室の後ろの方で男子が遊んでいる。くだんな。

「そんなお前はワーク終わってるのかよ」

「なわけないじゃん、終わらなそうだよ」

あかねはため息をひとつ吐いてワークに目線を落とした。とか言って、全然シャーペン動いてないくせに。お前もギリギリになるよ。多分。

「お前もうちょっと勉強すればいい点取れるよ」

あかねはワークに目線を落としたままどうでもいいような顔をして言った。

「は、煽ってんの、お前」

「いや、別に。だっていのりお前、頭悪くないでしょ、言うほど」

「お前よりかずっと悪いけど」

成績3と2で構成される平均以下のゴミだけど。

「得意分野はとことん得意じゃん。国語、私よりずっと点数取れてるでしょ」

「国語は簡単だから」

「はぁー、そういう所。地頭はいいんだろうね」

「勉強運動諸々てんでだめだけどなー」

あかねはすごい頭が良いって訳じゃなくても圧倒的な人望や評価がある。少なくても私にはそう見える。生徒会とか、その象徴。すごいな、人に求められていて。ないものねだりなんだろうけど。

なんとなく噛み合わないの。私、すぐ間違っちゃうから。みんな簡単そうにやるけど、わかんなくて、難しくって。間違うと、みんな笑うから。先生も笑うから。怖い。だから、わかんない……

「いのりさん、答えてみて?」

せんせいにさされた。こたえなきゃ。え、でも、わかんない。どうしよう。わたし、わかんない…。

「じゅ、13…」

「そんなわけないじゃない、ちゃんと勉強しましょうね」

「…ごめんなさい」

せんせいも、クラスのみんなもわたしのことわらってる。九九の2の段もできないわたしのこと、わらってる。あたまわるいって。ばかだって。

こわい。

わかんない…

「いのり、いのり!」

やば、寝てた。隣の琴音が起こしてきた。周りの奴らがくすくす笑っている。うぇ、やっちゃった。

「いのりさん、寝るなら昼休みにしなさい。」

「ご、ごめんなさい」

嫌な夢を見た。

最悪だ。小学生の頃の夢なんて。

授業の終わりを告げるチャイムがなる。

「最悪〜…」

あかねの体に後ろから寄りかかる。

「はは、寝てやんの」

私の顔を見たあかねは一瞬硬直した。

「いのり、唇真っ白だよ」

「え、まじ」

あかねは頷きながら

「お前が電車で倒れた時くらい」

と言う。そんなに?悪い夢を見たから?

「別に気持ち悪いとかはないし…倒れはしないよ」

「なら、無理すんなよ」

うん、と頷く。

電車で倒れた時って言うと、去年か。

まだ日本が終わるって知らない時。

その時も辛かったのかな。どうだろう。

どうせ終わるってわかってた方が 楽なこともあるだろうな。

過去の私、今の私はなにか成長しましたか。

なんて。

…期末テストが終わったら文化祭か。

日本終末、最期の公演になるかもしれない、

文化祭公演。どうなるだろうか。

世界の終わりのその日には、君と2人で逃げ出したい。

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