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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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ふぁ、と欠伸をする。鳥の声も聞こえない12時だった。今日は土曜日だから、それでも寝すぎか。

お母さんにお昼ご飯だよ、とリビングから声がかけられる。まだ起き切ってない声で「わかった」と返して、スマホを手に取った。適当にTwitterのタイムラインを流し見る。寝起きの頭には重労働だった。

ご飯食べたら、ワーク進めなきゃ本格的にやばい。テスト勉強しろって言いながらワークを出させるのはどうかと思いますがね、先生。


『テス勉順調?』

あかねにLINEを送ってみる。思ったよりもすぐに既読がついた。

『全然。まじでやばい』

あぁ、やばいんだなと感じ取る。ひしひしと感じる。今あかねは相当やばい。迂闊に煽るとやばい。あかねの精神的な方でやばい。

なぜか、何となく分かるようになっていた。

あかねの文面から精神状態を。

あまり変わらない文面に思えても、あまり元気じゃなかったら、なんとなくわかる。

それが友達ってものか。

大好きで大切な友達って、片思いかな。

相手はただの友達程度に思っているだろうから。

部活がなくなった途端なにをすればいいか分からない。勉強をすればいい。それはそうだ。だが、そのモチベーションはどこから湧いてくるのだ?学校に毎日通って勉強出来るのも部活ありきなのに。そもそももうすぐ滅亡するのに嫌々勉強して受験に備えるとは何だ。

そんなもの、私たちに訪れないのに。

そう考えると悲しくなってくる。

空っぽの自分を埋めるのは底なしの黒い感情。

そんな人となんて、関わりたくもないね。

最悪。


全部思春期のせいだって。そうであってくれ。

夜、薬を飲んだ。


「おっは〜あかね、最終日だよ。自信の程は?」

自席に座り、突っ伏していたあかねをゆっさゆっさと揺さぶって叩き起す。今更5分勉強しても数学は何ともならないから暇なんだ。

「あるわけねーに決まってんだろバカタレ!」

私からの揺さぶり攻撃に限界を迎え、ガバッと起き上がってぶっきらぼうにそう言い放った。

「そもそもあったらもっと堂々としてるし…」

それは一理ある。あれも現実逃避の1種だ。

私はけらけら笑いながらあかねをおちょくりまくる。揺さぶったり、つついたり、抱きついてみたり。抱きつくとひっぺがされる。日によるけど。今日はひっぺがされる日だった。私はむすっとしてなんで剥がすの、と聞くとあかねは邪魔くさいから、と素っ気なく答えた。このツンデレ野郎がよ。


「今回の期末も実にゴミだった!私は世界が終わらなかったとしても、中卒のクソ底辺フリーターとして社会のゴミとなり生きていくのだ!」

私は腕を広げ、くるくると回りながら、演劇部の2人の前を歩いていく。2人はそんな私に危ないよ、とか言いながら1歩引いて歩いていく。

「もし私が中卒クソ底辺フリーターという社会のゴミとなっても文化祭は呼んでくれよな」

「…大丈夫だよいのり、高校はこだわらなければ誰でも行けるからさ!」

あかねが申し訳程度に助け舟を出してくれた。

「私がクソ底辺ゴミJKなっても優しくしろよな」

凛々華りりかは覚えてたら、とか適当を言っている。凛々華はそういうやつ。

凛々華と分かれ道で別れた。あかねと並んで帰る。あかねが私を内側に寄せる。こういうところイケメンだなってつくづく思う。

「ねぇあかね」

「なに?」

「大人になりたい?」

「…それほどじゃないかも」

「そっか。…分かるかも、その気持ち。」

大人になれたら、の話だけど。

2人で並んで、ただ歩く。

「あかね〜文化祭だよ」

「またか…全然楽しみではあるけどなぁ」

「楽しみだけどそうじゃないよね〜。」

別れる十字路の手前で、私は足を止めた。

「ねぇあかね。私が死のうとしてたらどうする?」

あかねは振り返って私を少しの間見つめた。その後、向かいなおして私の方に数歩近づいた。

「止める。私、いのりが死んだら余裕で死ぬし」

私はぷっと小さく吹き出した。そっか。そうなんだ。…良かった。

「私もだよ」

くるくると腕をめいっぱい広げて回る。生暖かい風が私のボブの髪をなびかせる。

「こんな滅亡間近のクソみたいな日本で、日本が崩壊したとしても、図太く生き続けます。お前がいる限りは!」

あかねを指指して叫ぶ。

「それはこっちのセリフだよ!」

あかねも私に負けじと叫んできた。ばいばい、といつもの十字路であかねと別れた。

世界の終わりのその日には、君と2人で逃げ出したい。

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