コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「これより旧校舎の方へ移動しまーす。集まった人から学年ごとにバスに乗ってくださーい」
学園前に止まったバスの前で、合宿へ向かう生徒たちが集まっていた。
「ちゃんと準備してきた?」
隣にいた美希が聞く。
「もちろん」
雪乃が答える。
「なんか旅行に行くみたいで楽しいね」
呑気にそう言う雪乃を、呆れた顔で見つめる美希。
「言っとくけど、そんな楽しいもんじゃないからね」
美希の言葉に「そうなの?」と首を傾げながらバスに乗り込む。
「ところで旧校舎ってどこにあるの?」
「学園の裏に山あるでしょ。その反対側」
「あ、そうなんだ」
「結構古い建物だけど、今は宿泊施設として使ってるみたい。教室とかも残ってるから勉強できる環境もあるし、自然の中にあるから静かに集中して勉強できるそうよ」
「へぇ」
「夕食が自分たちでカレー作りってのが癪だけど」
今日の夕食はカレーか、なんて呑気に考えているうちに、バスは発進していく。
朝日を浴びながら街中の景色が過ぎていき、いつの間にかバスは山の中に入っていった。
景色が一変し、自然豊かな表情へと変わる。
そして到着したバスから続々と生徒たちが降りていく。
「はぁ〜長閑だね」
大きく伸びをする雪乃。
木々に覆われた山奥に、大きく聳え立つ旧校舎。
確かに古い建前なのだろう。
白い学舎はどこか年季が入っていて雰囲気がある。
「虫が多そう」
「なんか出そうじゃない?」
「やめてよ」
嫌そうな顔をする美希を、ニシシと笑いながら脅かす雪乃。
「いやー、また来てもうたなぁ」
「相変わらず何か出そうな校舎やなぁ」
「ねみぃ」
「何で俺まで来なあかんねん…」
バスから降り雪乃たちの隣りでそんな会話を繰り広げる2年生たち。
その集団と、目が合った。
「あ」
「ひっ」
短く声を上げたのはシャオロン。
目が合って後ずさったのは雪乃。
「あれ、雪乃ちゃんやん」
やっほー、とこちらに手を振るシャオロン。
そしてそこにいたのは、コネシマ、ゾム、ロボロ。
「あれ…なんか見たことあるような…あぁ!思い出したわ!鬱先生の女か!」
コネシマが声を上げる。大きな声は大自然の中に響いていく。
「ん?あの子ゾムが追いかけ回してた子やん」
ロボロが次に口を開く。
そして隣にいたゾムの目がキラリと光った。
「ひぃっ」
咄嗟に美希の背後に隠れる雪乃。
ヤバイ連中と出会ってしまった。