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うぐいす
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いくら眠っても眠り足りない
そんな体が目を覚ました
誰かが俺の体に触れたから‥‥
「‥‥‥‥?」
「‥‥‥‥‥‥」
薄明かりの中
目を開けると俺のすぐそばで見下ろす影があった
エクスさんが俺の様子を見に来たんだと思い、枕元の灯りに手を伸ばした時
その腕を取られ、口を布で縛られた
「んんっ‼︎」
あっという間に手と足も縛られると、その男の肩に担がれアジトから連れ出されてしまった
全ての扉が開いた状態を見て、壊されている訳じゃない扉に目が行った
どう言う事だ⁈
エクスさんも物音に気付いていないのだろう
エントランスまで降りると、そこには黒塗りの大きなバンが止まっている
後ろの席に押し込められると、俺の目には二人分の靴が視界に入った
「これはこれは‥‥赤ギャング、Lycorisのボス小柳ロウさん」
「‥‥!」
腕を使えないまま、俺は体を捩って声のする方向を向く
そこには知らない男と‥‥
叶さん
「先程は挨拶も出来ませんで申し訳ございません」
「‥‥‥‥っ」
叶さんの隣に座る男
黒髪を七三分に分け、黒縁の眼鏡をかけている
その眼鏡から覗く瞳は冷たい
黒スーツに身を包み、インテリの代表みたいな顔をしている
そして黒く光る靴の先で俺の顎を掬った
「こちらの資料では仮面姿の小柳さんしかありませんでしたから、よく顔を見せて下さい」
「‥‥んっ」
高くまで足を上げ、顔をさらに上に向かされた
俺は顔を振り、男の靴から顔を避ける
「なんで仮面なんかつけてるんですか?こんなに綺麗な顔しているのに」
「‥‥‥‥‥‥」
叶さんが無表情で俺を見ている
俺はまたどこかに連れて行かれるのか
叶さん‥‥
俺はどうしたらいいんだ⁈
車がハンドルを切ると俺の体は転がり、上を向く姿勢に変わった
その体を男がまた足で俺の鎖骨辺りを押さえ込まれる
「体の具合はどうですか?まだ良くはなさそうに見えますが」
「‥‥‥‥っ」
「あぁ、これじゃ話せませんね」
男は俺の頭の後ろに手を回すと布を解き、右手で俺の顎と頬を強く下から掴んだ
「うっ‥‥!」
「目が覚めてからは初めましてですね」
「‥‥離せっ!」
「いいですね。怯えた表情も」
「んぐっ‥‥‼︎」
無理矢理右手で掴み上げられ、男の膝まで顔が引っ張られる
苦しさで足を踠いた
「あなたの体はまだ薬が足りないんです。もっと薬が欲しいですか?」
「っ‥‥欲しいって言ってもくれないんだろ」
「そうですね。あなたが俺の言うことを聞くなら差し上げても良いですよ」
「‥‥何が目的だ。花の事なら知らねぇよ」
「花‥‥それはこちらで調べてますので結構です。今はあなたに興味が湧きました」
「‥‥俺?」
「そうです」
車が停まった
先程とは違う場所
軍事基地からもっと奥にある海辺の廃船
大きな廃船の中に連れて行かれると目の前で叶さんが後ろから誰かに殴られ、床に手をついた
「叶さん‼︎」
「‥‥痛っ」
「どうしますか?このまま叶を海に沈めても良いですけど」
「やめてくれっ‼︎それは‥‥」
「叶も赤ギャングでしたからね。裏切られてもまだ絆はありますか?」
「ボス‥‥僕の事は捨てて下さい」
「そんな事出来るかっ‥‥」
「そうですよね‥‥恋人の事は放っておけませんよね?」
コイツ‥‥
わかっててやってやがる
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