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『夜明けの来ない街で、僕らは手を繋ぐ』
第1話:棚の隙間に落ちていた歪み
カラフルピーチのシェアハウスの日常は、いつも騒がしい。
その日も、リビングの模様替えを巡って、たっつんとシヴァがどっちにソファを置くかで言い合いを始め、それをのあが苦笑いしながらなだめていた。
「よし、じゃあこの古くなった本棚はこっちに移動させるぞ!」
リーダーのじゃぱぱが声を張り上げ、もふやヒロと一緒に大きな棚をずるずると動かした、その時だった。
パサリ、と軽い音を立てて、棚の裏の隙間から床へと落ちたものがあった。
「ん? なんだこれ……写真?」
近くにいた、なおきりがそれを拾い上げる。それは、少し色褪せた一枚の古い写真だった。写っているのは、まだ今よりずっと幼い頃の、からぴちのメンバーたち。全員が横一列に並んで、楽しそうにピースサインを決めている。
「え、懐かしい! これ、みんなで初めて集まった時のやつじゃ……」
のぞき込んだどぬくが声を弾ませたが、すぐにその言葉は途切れた。
写真の異変に、全員が気づいたからだ。
写っているメンバーの背景は、まるで油絵の具をぐちゃぐちゃにかき混ぜたように、禍々しく激しく歪んでいた。そして何より不気味なのは、十二人全員の目の部分だけが、まるでカッターで削り取られたかのように、真っ黒なモザイクで塗りつぶされていることだった。
「……これ、誰がこんなことしたんだ?」
じゃぱぱが怪訝そうにその写真を手に取った、まさにその瞬間。
バチンッ!!!
けたたましい破裂音とともに、リビングの電気が一斉に消えた。
カーテンの隙間から差し込んでいたはずの午後の陽光は消え去り、窓の外は一瞬にして、何も見えない「漆黒の霧」に包まれる。
「うわっ!? なに、停電!?」
「スマホの電波、入んないよ!」
「テレビもつかない! 待って、これ外どうなってんの……!?」
うりやゆあが慌てて窓の外を確認するが、ガラスの向こうには底知れない闇が広がるばかりで、隣の家の明かりすら見えない。
完全に孤立した空間。
静まり返った部屋の中で、カチ、カチ、カチ、と奇妙な音が響き始めた。
壁に掛けられた大きな時計。
その秒針が、あり得ないほどの猛スピードで逆回転を始めている。
「時計が……戻っていく……?」
もふが愕然と呟いたその時、廊下から激しい咳き込みと、何かが倒れる鈍い音が響いた。
「げほっ! ――っ、ごほっ……う、あ……!」
「ゆあんくん!?」
じゃぱぱたちが慌てて廊下へ飛び出すと、そこには胸を押さえて床にのたうち回るゆあんくんの姿があった。
そして恐ろしいことに、彼の身体からは、まるで生き物のような「黒い煤(すす)」の霧が、どくどくと立ち上っていたのだ。
時計の逆回転が止まる。
それと同時に、廊下の壁一面に、ゆあんくんの身体から漏れ出た黒い霧が、悍ましい『幻影』を映し出し始めた。
(第2話へ続く)
コメント
2件
世界観メッッッチャ好きなんだが😍💕 暗い雰囲気から始まるの大好物💕😋 続き楽しみ!
第1話、めっちゃ引き込まれました!古びた写真の目が削られたように黒く塗りつぶされてるっていう描写、ゾッとすると同時に「ここには絶対に何か意味がある」って思わされました。時計の逆回転とゆあんくんの異変のタイミングも巧みで、一気に日常から非日常に引きずり込まれる感じがたまらない。背景の漆黒の霧とか、完全に孤立した空間になる展開、設定厨としてはもうワクワクが止まらないです。続きが気になりすぎる…!
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