恋はまったり

渡辺は、何でも出来るようで、何も出来ない。大体は、頼めば誰かがやってくれる。だが、料理は別だ。

目黒の方が、何でも作れるし、自分は、携帯を見ながらでも作れるかどうか、というくらいだ。

たくさん食べてほしいし、それを自分が作りたい。

手の込んだものは出来ない。けど鉄板で焼くくらいなら、出来ないだろうか？

渡辺ーあのな、えっと、その。

目黒ー深呼吸して？

渡辺ー明日の夜、鉄板焼きしないか？

目黒ーいいね、何が食べたい？

渡辺ー違う、俺が作るから。

目黒ーえっ？

渡辺ーえっと、美味しいの食べて、元気になってくれると嬉しいし。

目黒ー俺が教えていいの？

渡辺ー俺、何も出来ないし、言われたことくらい、出来るから。

あっ、お前は手出ししたらだめだから。

目黒ー翔太くん・・。

渡辺ー出来ごろ、食べごろを言ってくれたら、皿に移すから、食べて？

俯いて赤い顔で、そう言う。

何？この可愛いの。

目黒は、嬉しくて笑う。渡辺は怒る。

渡辺ー出来ないと思ってる？

目黒ーううん、嬉しいの。

渡辺ー何が食べたい？海鮮？

目黒ースケジュール見たら、同じころ終わるから、一緒に買い物に行こう？

渡辺ーん。

渡辺の家のキッチンが使われることがあるなんて、信じられない。

昨夜は、泊まって、朝、出かける前にタイマーでご飯を炊く。

炊飯器すら無かったが、ある日、目黒が買って持って来た。

鉄板も買った。2人分の食器や、色んな皿や小鉢など様々なものも買った。渡辺は、何だかくすぐったい気持ちになった。

目黒ー帰り、俺が翔太くんの現場に行くよ。

渡辺ーマネさん、変に思わないかな？

目黒ー一緒に晩ご飯食べるだけだから、って言うし、俺の移動車に乗って買い物行こう？スーパーで下ろしてもらって、帰りはタクシーで帰るって言えばいいし。

渡辺ーん。

当日、目黒が先にタクシーで家に帰る。渡辺は出かけるときに何度もタイマーになってるか確認した。

鉄板で焼くだけが、料理と言うか分からないが、渡辺の初めての料理。目黒の好きな材料を買って作る。朝から変に気合いの入る渡辺だった。

目黒ーしょっぴー、お疲れ様。

渡辺ー目黒も、お疲れ様。

マネーいつものスーパーでいいですか？

目黒ーはい、そこで下ろしてもらえれば大丈夫です。しょっぴー、乗って？

渡辺ーお邪魔します。

マネー渡辺さん、お疲れ様でした。

渡辺ーお疲れ様でした。

マネーお2人、仲良いんですね。

目黒ーん、一番仲良しなんだ。

外では、そう言うしかないのは分かっている。けれど、渡辺は少し寂しかった。家を出たら「しょっぴー」と呼ぶのも、「 1番の友達」と言うのも、2人の『愛』を守るため。

頑張らないとと、思う渡辺だった。

海鮮やら、肉やら、目黒はポンポン、 カゴに入れていく。

渡辺は、量をたくさん食べる方じゃないし、目黒にこんなに食べれるとも思えない。

渡辺ー目黒、買い過ぎ。

目黒ーふふふ、嬉しくてたくさん買っちゃった。

渡辺ーだめ、今日食べる分だけにして？

目黒ーこんな感じ？

渡辺ー食べれる？

目黒ーん。

渡辺ーじゃあ会計してくる。

渡辺の家。

材料の下ごしらえをする。どこに包丁を入れて何をするか、目黒が全部教えてくれる。

鉄板を出して、油を引いて材料を載せていく。ひっくり返すタイミングも、目黒が言ってくれる。

菜箸を持ち、エプロンをした渡辺の写真を目黒は撮る。

渡辺ーばか、撮らないで。

目黒ー記念だから、翔太くんの初料理風景。

渡辺ーやだ、恥ずかしい。

目黒ーはい、これとこれひっくり返して。

渡辺ー聞いてる？

目黒ーだめだめ、集中しないと。はい、これもひっくり返す。これは出来上がり。これもいいかな。

料理って忙しい。

でも、楽しい。2人でわいわい言いながら作って、目黒は食べている。

用意した分は全て食べれた。

目黒が洗い物をしている。

渡辺は目黒の後ろに張り付いて、「美味しかった？」「ちゃんと食べた？」と聞く。

目黒ーお腹いっぱい。美味しかった。また、作ってもらいたい。

渡辺ーふふふ、頑張る。

目黒ー洗い物済んだら、俺がコーヒー淹れる。

渡辺ーん。

ソファで、コーヒーを飲みながら話す。小さく音楽もかかっている。

渡辺ー料理って大変なんだな。

目黒ー慣れたらそうでもない。

渡辺ーでも、綺麗に食べてくれると嬉しいな。

目黒ーうん、そうだね。

渡辺ーこれから、俺も、頑張って食べる。

目黒ー野菜もね。

渡辺ーう〜。

目黒が渡辺を引き寄せ、優しくキスをする。何度も何度も。

今日は、渡辺はパーカーを触っていない。寂しくないから。楽しいから。目黒の首に腕を絡ませてキスを受ける。

目黒ーここでいい？

渡辺ーん。

目黒ー今日はありがとね。

渡辺ーふふふ。俺、頑張った？

目黒ーびっくりした。また好きになった。

渡辺ーんっんっ。

2人で裸になって重なると、渡辺が「ほぅ〜」と甘い息を吐く。

目黒はどこまでも優しく愛していく。渡辺が赤い顔して「早く」と言う。優しいのは嬉しいが、今日は焦ったい。

渡辺ーもっと・・強くして・・。

目黒ーどうした？

渡辺ーなんか、焦ったい。

目黒ーふふふ、分かった。

渡辺ーはぁ・・はぁ・・んっんっ・・。

目黒ー可愛い。

渡辺ーんっんっ・・あっ・・あっ・・はぁ・・はぁ・・。

目黒ーもう、前、もたないでしょ？

渡辺ーんっんっ〜んっ。

目黒ーいつの間にか、後ろ、覚えちゃって。弾けるんでしょ？

渡辺ーやぁ・・んっ・・まだ・・もっと・・。

渡辺ーはぁはぁ・・くる・・くる・・はぁ・・んっ〜んっんっ。

渡辺ーあっ・・あっ・・はぁはぁ・・だめ・・もう・・いい？

目黒ー一緒ね。

渡辺ーはぁはぁ・・んっんっ・・っ・・だめ・・だめ・・あぁ・・はぁはぁ・・っ・・。

意識を飛ばしたのは、初めてかな？

目黒は抱きしめてキスをして、身体を綺麗にする。

渡辺の意識が戻って、目黒は明日、朝が早いからと、名残惜しいように帰って行った。

渡辺は寝室に入り、パーカーを抱きしめる。

嬉しいときも、抱きしめてしまうパーカー。抱きしめないと不安なのだ。