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字だけでも想像つく💭
本当に突然だった。
ある日、いつものように朝食を作っている時に気が付いた。
リビングのソファーにもう一人の僕が座っていた。
もう一人の僕が幻覚として現れることは過去に一度だけあった。
だけども、前は出てきた瞬間襲いかかってきた。
「何作ってるんだ?」
「え、あ……目玉焼き………」
不思議に思いながらも、とりあえず朝食を作ることにした。
朝食を作り終え、机に運んでいくともう一人の僕は席に座った。
仕方が無いので、僕も向かいの席に座る。
「……僕さ、君の分まで作ってないんだよね」
作っている途中にこいつの存在に気が付いので、1人分しか用意していなかった。
もしかしたら怒って襲ってくるとかあると思い、いつでも戦えるように構える。
「そんな警戒すんなって。なんもしねぇから」
過去に1回僕は殺されかけたし、なんなったら普段からみんなを殺しているから信頼出来る訳がない。
「前の俺はお前が見ていた幻覚だ。ホントの俺はお前を襲ったりしねぇよ」
じゃあ前襲ってきたこいつとここにいるこいつは違うのか?
だとしても、そう簡単には信頼出来ない。
「信じてくれたっていいだろ。俺はお前が好きなんだよ」
「は?」
いきなり好きと言われて驚いてしまった。
何言ってるんだこいつは。
もし仮に本当に僕のこと好きだったとしても、僕はこいつが大っ嫌いだ。
当たり前だろう。こいつは僕の大切な人たちを何回も傷つけた奴なんだ。
むしろ、こいつのこと好きなやつの方が少ないと思う。
「お前がせっかく作った目玉焼きが覚めちまう。とりあえず食べようぜ」
「じゃあ君の分作ってくるよ」
「いや、そんなことしなくていい。朝食くらい無くて平気だ」
そう言われたので、僕は早速食べ始める。
自分で言うのもあれだが結構美味しい。
でも、ずっと見られているせいでなんだか食べずらい。
一口あげたらどっか行くだろうか。
「……食べたいならあげるよ?」
目玉焼きを一口サイズに分け、箸でつまんで差し出す。
すると、嬉しそう食べてくれた。
「これってあーんだし、関節キスでもあるよな」
あげなきゃ良かった。
でも、満足したのか立ち上がった。
まぁどっか行ってくれるならいっか……。
そう思ったが、今度は僕の隣の席に座ってきた。
「どっか行って」
「そんなこと言って、本当はそばにいて欲しいんだろ?ツンデレめ」
ほっぺをつつかれる。鬱陶しい。
その後もベタベタくっついてきたが、無視して食べる事にした。
僕は食べ終わって食器を片付けた後、こいつの分の朝食を作ることにした。