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コメント
8件
奥さんもめちゃくちゃ優しい方だったのかぁ…そりゃあんなに素敵な息子が生まれるわけですね、、、「次は自分の番」って……大切な家族を2回も、、しかも小学生っていう年齢で失くすのは辛いよね、、🍵くんが元気になることを祈りたいのですが、海に行くまでは♡♡♡ないって……考えすぎだったらいいんだけど、、フラグが立っているような気がして、、勝手にちょっと心配になってます、! 無理をするのだけは本当にやめてほしいですよね、! 続き楽しみにしてます!
🍵くんにはそんな過去があったんだね😭😭 🍵くんにも🍍くんを守らなきゃっていう責任感もあると思うし…ほんとに無理だけはしないでほしい🥺🥺 🍍くんの優しさが伝わる❤️ 続き楽しみ❣️❣️
本当に叶って欲しい気持ちがめっちゃあって…😵 奥さん登場も最高だし気持ちの書き方も最高だしでまじでやばいです… 続き楽しみにしてます〜🫶
【俺はもう、大丈夫だヨ】
Episode.10 夢の中で
《🎼🍵side》
夢の中は、音が少なかった。
柔らかい光だけが、部屋を満たしている。
カーテンが揺れて、午後の空気が入ってくる。
「ほら、また寝ちゃった」
妻の声。
振り返ると、
そこには、あの頃のままの妻がいた。
少し痩せているけれど、顔色は悪くない。
腕の中には、まだ赤ちゃんのひまちゃん。
小さな手が、妻の服を掴んでいる。
🎼🍵「重くない?」
そう聞くと、妻は小さく笑った。
「全然。
この子の重さなら、いくらでも」
ひまちゃんの額に、そっと額を当てる。
その仕草が、
胸を締めつけるほど、懐かしい。
🎼🍵「……無理しないでね」
「してないよ」
🎼🍵「してるように見えるよ」
妻は一瞬、目を伏せてから、俺を見た。
「……ねぇ」
嫌な予感がして、
胸の奥が冷たくなる。
「もし、私が先にいなくなっても」
🎼🍵「やめて」
声が、少し強くなる。
妻は、でも、穏やかに笑った。
「大丈夫」
🎼🍵「大丈夫じゃない」
「大丈夫だよ」
ひまちゃん抱きしめながら、
静かに言う。
「この子は、生きていく」
🎼🍵「……」
「あなたがいるから」
その言葉が、
やけに重くて、優しかった。
「なつにはね」
妻は続ける。
「ちゃんと、愛されてた記憶を残してあげて」
「それだけで、この子は強くなる」
……分かっていた。
妻は、
自分が死ぬことを、分かっていた。
「約束して」
🎼🍵「……うん」
「泣いてもいいからね」
その声が、
遠ざかっていく。
光が滲んで、
世界が、ほどけた。
*
──目が覚めた。
天井が、いつもより明るい。
朝だ。
胸に手を当てて、
ゆっくり呼吸をする。
……息が、少し浅い。
喉の奥に、
焼けるような違和感が残っている。
隣を見る。
布団は、空だった。
ひまちゃんは、もう起きている。
その事実に、
安堵と、焦りが同時に押し寄せる。
妻は死んだ。
なつの母親。
病死。
……次は、俺。
そう考えただけで、
心臓が強く脈打つ。
まだだ。
まだ、終わらない。
布団を抜けて、
ゆっくり立ち上がる。
一瞬、視界が揺れた。
壁に手をついて、
やり過ごす。
……大丈夫。
リビングに行くと、
部屋は整っていた。
洗い物も、洗濯も、
床のちょっとした埃まで。
全部、ひまちゃんがやったんだろう。
テーブルの上。
ラップがかかった皿。
その横に、メモ。
『あさごはん
無理しないで』
……気を遣わせている。
こんなにも。
胸の奥が、痛む。
こんな父親なのに。
嘘ばかりで、
何も話さない父親なのに。
それでも、
なつは、俺を気遣う。
──一緒にいたい。
その願いだけが、
頭から離れなかった。
*
夕方。
ひまちゃんが帰ってくる。
🎼🍍「ただいま」
🎼🍵「おかえり」
ひまちゃんは、俺の顔を見る。
一瞬だけ、
何かを探るような目。
すぐに、笑う。
🎼🍍「今日さ、算数のテストあって」
聞いてもいないのに、
話し始める。
🎼🍍「簡単だった。
先生、途中でヒント言い過ぎ」
🎼🍵「そうだったんだね」
🎼🍍「うん。
あとね、こさめが──」
……元気そうに話す。
いや、
元気な“ふり”だ。
俺には、分かる。
それでも、
気づかないふりをする。
しばらくして、
俺から声をかけた。
🎼🍵「ひまちゃん」
🎼🍍「なに?」
🎼🍵「……海、行かない?」
ひまちゃんの動きが、一瞬止まる。
🎼🍍「……え?」
🎼🍵「前に、行きたいって言ってたでしょ?」
🎼🍍「……父さん、疲れてない?」
すぐに、そう返してくる。
気を遣っている。
🎼🍵「大丈夫だよ」
そう言って、笑う。
🎼🍵「週末なら、少し時間ある」
ひまちゃんは、少し迷ってから、
小さく聞いた。
🎼🍍「……ほんとに?」
🎼🍵「うん、本当だよ」
🎼🍍「無理、してない?」
その言葉が、
胸に刺さる。
🎼🍵「してないよ」
嘘だ。
でも、
この嘘は、許してほしい。
🎼🍵「行きたい?」
なつは、しばらく黙ってから。
🎼🍍「……うん」
小さく、でも、はっきり言った。
🎼🍍「行きたい」
そのあと、
少しだけ、声が明るくなる。
🎼🍍「砂浜、走る?」
🎼🍵「走れる?」
🎼🍍「父さん、遅いもん」
🎼🍵「失礼だねぇ」
そう言うと、
なつが笑った。
久しぶりに、
心からの笑顔。
……ああ。
少しくらい、
はしゃいだっていい。
波の音を聞いて、
同じ空を見て。
その時間を、
俺は、忘れない。
──まだ、死なない。
少なくとも、
この子と海に行くまでは。
next.♡1000