テラーノベル
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スウェフィンです。 なんかマイナーカプばっかり好きになってしまう。悲しい。
補足:ルオチとはフィンランド語でスウェーデンという意味です。
最近、毎日のように悪夢を見る。その内容は酷いもので、真っ暗闇の中、何処からともなく聞こえてくる罵詈雑言を聞き続ける、確かそんな夢。その言葉はまるで俺の心を見透かしているようで、俺の脆い所を的確に突き刺してくる。毎回目覚めは最悪で、ろくに眠れたもんじゃない。今晩も似たような内容だったのだが、なぜか様子が変だった。
喉の奥からくぐもったような音が鳴り、驚いてがばっと音を立てて飛び起きた。鼓動が痛いほど激しくて、頭の中で夢で聞こえた言葉が反響する。
「、はっ、ッ、は…っ、ッは、!、、?」
まともに息ができない。いくら空気を取り込んでも足りなくて苦しい。今まで悪夢で過呼吸を起こすことなんて無かったため、未知の恐怖でさらに呼吸が激しくなる。時間が解決してくれると願いながら必死に息を整えるが、改善することはなく悪化の一途を辿っていた。
「はッ、…ひゅ、っ、!、っ、は、ッッ、は…っ」
目の前が涙で揺れる。薬を飲もうと身体を動かすが、二日酔いのめまいでうまく立てず、座り込んでしまった。どうしよう、本当に死ぬかもしれない。頭の中が不安と恐怖でいっぱいになる。
その時、どたどたと激しい足音が、こちらへ向かってくるのが聞こえた。
「フィン!!大丈夫!?」
「、か、ひッ、ゅッ、はっッ”はッ、ッ?、」
ルオチだった。彼は普段あまり見ない、酷く焦った表情を浮かべ、こちらに駆け寄ってきた。
ああ、昨日宅飲みしてそのまま泊まらせたんだっけ。
「フィン、大丈夫だよ。俺に合わせて息してね」
「はッ、、ッ、は、ぁッッ、っ、はッ、っ、ッ、はッ」
宥めようと話しかけてくるルオチの声は、いつもの何倍も優しかった。そのおかげか、少しずつ頭の中の雑音がかき消されていく気がする。胸が張り裂けそうなほど激しかった鼓動も、どれだけ吸っても苦しかった呼吸も、少しずつ和らいでいった。
すっかり呼吸は落ち着き、会話もできるようになったころ。俺は口を開いた。
「本当にごめん。俺のせいで目覚めただろうし、気持ち悪いところ見せたし……」
「謝らなくていいよ。フィンは悪くないから」
そう言った彼の表情は、罪悪感を感じるほど底抜けに優しかった。そっちも二日酔いの中無理矢理起こされて辛いだろうに。パニックを起こした人に対しての接し方なんて分からなかっただろうに。彼なりの優しさが温かくて眩しくて、嬉しかった。
「なんか、怖い事とか、辛い事とかあった?」
「…え?」
申し訳なさから虚空を見つめる俺に対して、ルオチは心配そうにそう尋ねた。
「あ、えっと…。その、悪夢見ちゃって……。ごめん、こんなことで」
「…ううん。そっか、辛かったね」
その言葉は、日々の夢ですり減っていた俺の心を優しく包み込んでくれているようで、ほんの少し心が軽くなった気がする。
「起きちゃったことは仕方ないし、朝ごはんにしよっか」
「うん、ありがと……。ぅ、あ、っ」
ルオチがそう言ったあと、一緒にリビングに向かおうと立ち上がった。だが、目が回ってうまく立てず、ふらつきもたれかかってしまった。
「え、あ、大丈夫!?体調悪い?」
4
「いや…、ただの二日酔い、ッ、だから…」
「ああ…確かにフィン、昨日信じられないくらい飲んでたもんね…」
え、俺そんな飲んでたっけ。と考えていたとき、1日でウォッカ1瓶飲み干すのは流石に身体壊すよ、と告げるルオチの声が聞こえた。冷静に、馬鹿なのか俺は。
「ごめん、先行ってて……」
「いや、1人で行かせるのはちょっと心配だし…。あ、そうだ」
ルオチはなにか閃いた様子で、こちらへ手を伸ばした。何をされるのか考える暇もなく、いつのまにか俺はルオチの大きな腕の中に収まっていた。俺は少し固まったあと、ぶわっと顔が赤くなっていくのを感じた。
「へ、あ…え、!?ルオチ!?」
「よいしょっと……、ってフィン、軽すぎじゃない!?ちゃんと食べてる?」
あまりに軽々しく持ち上げられたせいで、拍子抜けして情けない声が出た。なんでこの体勢?なんで男を持ち上げておいてこんな余裕そうな顔してんの?などなど疑問に感じたことは山ほどあったが、それを口に出すより彼の言葉の方が幾分か早かった。
「ぇ、あ、?…まあ一応食べてる……。それよりなんでこの体勢…?」
「本当に?ならいいけど…。なんでこの体勢って、フィン動けないでしょ?」
「いや、まあそうなんだけど……」
咄嗟に嘘をついてしまった。本当はここのところ1日1食程度しか食べてないというのに。だがそんなことより、この状態でいる方が恥ずかしい。彼なりの気遣いはとてもありがたいのだが、こんなに密着することはあまりないので思わず目を背けてしまう。普段感じないルオチの体温や鼓動に少しだけどきどきする。
気づけばソファに優しく座らせられていて、ルオチはご飯を作りに行っていた。ふと見た外は薄暗く、鳥たちが鳴き始める気配がした。特にすることもできることも無いため、綺麗に澄んだ空気が蔓延する、まだ眠る静かな都市をぼーっと眺めていた。暖房がついているにも関わらず、北欧の冬はそんなことを物ともしない。そろそろ肌寒いな、と感じた頃、温かいルオチの声が聞こえた。
「フィン、ご飯できたよ。食べれなかったら無理しなくていいからね」
「あ、ありがとう。…美味しそ……。いただきます」
目の前に出された食事は二日酔いの身体にとって優しいものばかりで、ルオチの優しさが身に染みる。どの料理も温かくて美味しかった。ああ、久しぶりにまともなもの食べたなぁ。
「美味しい?」
「うん、美味しいよ。ありがとう」
またなんか、辛いことあったら言ってね。そう言う彼の瞳は、少し捲れた俺の左手首を映していた。きっと気づいてる。だけど深追いはしない。それが彼なりの、ルオチなりの優しさなのだろう。あんまり心配させたら、優しいルオチはきっと気疲れしてしまうんだろうな。
心配、かけないようにしないと。
閲覧ありがとうございます。リクエストのことなのですが、シチュもセットで書いてくださるとありがたいです。
コメント
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第1話、読み終わりました。悪夢で過呼吸になるフィンさんと、それを優しく支えるルオチさんの対比がとても温かくて、胸がじんわりしました。特に「深追いはしない」というルオチさんの距離感の取り方が、彼の優しさをよく表していて好きです。朝ごはんのシーンもほっこりしますね…!ただ、フィンさんの「心配かけないようにしないと」という最後の一文が少し気がかりで、続きが早く読みたいです。素敵なお話をありがとうございます!