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〈おはよう!時間ある時に連絡くれ〉
佐々木にLINEをしておいた。
とにかく、昨夜の話を合わせておかないといけない。
_____杏奈の話だと、佐々木は10時には家に帰っていた……
先に佐々木の予定を確認しておけばよかったと、今更ながら後悔したけれど。
_____そもそも、なんで昨夜に限って杏奈は疑ったんだ?
これまではどんなに遅くなっても、誰とどこにいたかなんて訊いてきたことなどなかったのに。
昼休みになって、やっと佐々木から電話があった。
『遅くなって悪い!昨夜のことだろ?』
「待ってたよ、昨夜、お前、俺といたって舞花ちゃんに言ったんだって?」
『あー、偶然お前と会って飲んで帰ったから遅くなったって、言っちゃったんだよ。まさか舞花が杏奈さんに確認するとは思わなくてさ』
「俺もお前といたと言ってしまったんだけど、問題は時間がズレてるってことなんだよ。俺は10時頃にお前と飲み屋に行ったと言ったんだけど、お前は10時には家に帰ってたんだろ?そこをなんと説明しようかと考えてるんだよ。今週末、尋問されるみたいだから」
『それなんだけど。俺は正直に舞花に話すつもりなんだ、浮気というわけでもないから』
「えっ!、ちょっと待って。お前はどこに行ってたんだ?」
『いやー、お得意様にちょっと変わった趣味の人がいてね、その人に付き合わされてその……そういうお店に行ってただけなんだよ』
「どんな店だよ?」
『女王様がいる店』
「なっ!」
『そんな店だと、舞花が嫌がるからさ、つい雅史といたって言っちゃっただけなんだよ』
そんなことだったのか。
_____それが杏奈に伝わったら、俺はどうすればいい?
何か別の言い訳を考えないといけないのか?それとも杏奈の写真を出してお互い様だと開き直るか?
杏奈の対応を想像してみるけれど、怒るのか泣くのかわからなかった。
「で、そのことをもう舞花ちゃんに話したのか?」
『それがまだなんだよ、俺が嘘ついたことが許せないって、昨夜から口も聞いてくれなくて説明もさせてくれない。あっ、ちょっと待って、電話だ』
こっちの通話は、プツンと切れた。
これからどうしたものかと考えていたら、すぐに電話が鳴った。
『悪い、舞花からだった。しばらく実家に泊まるって言って一方的に切られたよ。週末、お前んちには行くって』
「あ、ちょっと待ってくれ。舞花ちゃんにはやっぱり俺といたことにしといてくれ。それでお前は先に帰って、俺は酔っ払って駅で寝てしまったことにするから」
飲んだ店は、駅前のスナックということにして話を合わせておいた。
苦しい言い訳だと思ったが、その方が佐々木もいかがわしいお店に行ったことを話さなくて済む。
『まあ、俺はそれがいいけどそんな言い訳で済むのか?やっぱりあれか?女か?』
「あ、うん、そういう感じ」
_____まさか、舞花ちゃんの友達の京香が相手だとは言えないな
『わかった、俺はちゃんと10時には帰ったけど、お前は酔っ払ってて遅くなった…らしいということにしとく』
「とにかく俺は酔ってて覚えてないってことで。いざとなったら、奥の手があるし」
『なんだよ、それ』
「いや、なんでもない」
妻が浮気してるとは、言えなかった。
頭の中で、週末に4人集まった時のことを色々シミュレーションしながらも、なんとか仕事はこなした。
「岡崎さん、何かあったんですか?」
紗枝がすれ違いざま、声をかけてきた。
「いや、別に」
「悪いやつに引っかからないようにね、女を甘く見ないように」
クスッと笑う。
_____なんだ?まるで見抜かれてるようだ
「ちょっと、それ、どういう?」
「岡崎さん、すぐ騙されそうだなと思ったから。それだけですよ」
じゃ、と去って行った。
_____騙される?俺が?
まさかな。