テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
ski「」
use『』
生まれ変わっても絶対に見つけ出すから
※+∞ネタ、寿命による死亡の表記を含みます
本文伏字なし
僕が1人になってから何年経っただろうか
年月が経って、二桁に到達する頃から数えるのも忘れてしまった。
それはある任務の日だった
その日は敵の動きがいつもより活発で数も多く、その上強くて西のヒーローであるデティカの面々も呼ばれてみんなで協力して戦っていた。
最後に出てきた一際大型の敵を何とか倒した時、そいつの最後の悪あがき…全てを呑み込むような爆発に全員巻き込まれてしまった
ただ残機のある僕だけが生き残って、マナくんも、ウェンくんも、ロウくんも、るべくんも、カゲツくんも、…リトくんも、みんな死んでしまった
所属ヒーローを多く失ったヒーロー協会は事態の収めるため奮闘し、今ではだいぶ元の形に戻ってきている
僕はというと、爆発に飲まれた時にデバイスが完全に使い物にならなくなってしまいそのまま自主的にヒーローとしての活動を辞めた
今はただの21歳を無限に続ける大学生となっている。まぁどうせ大学なんて歳を取らない僕が行ってもさほど意味はないのでほとんど行かず、今は色々なバイトを転々としながら生活費をつなぐ生活を送っているが、どうせタバコとラムネと生活必需品くらいしか買わないので生活費も大した額ではないのだ。ただ最近は電気代が高くて払えないせいで好きなインターネットがめったにできないことぐらいがこの生活の欠点かな
…リトくん、こんな生活見たら怒るんだろうな
特にジムトレーナーを兼業している彼は健康にも気を遣っていて、よく「ちゃんと飯を食え」だとか「タバコ吸いすぎ!」とか言われていたっけ
「懐かしいなぁ〜…」
ボロアパートのベランダで、タバコを片手に1人ぼやいてみる
こんな昼間からタバコを吸ってだらだらしている大学生なんて僕ぐらいだろうな
彼はこんな僕を見てどう思うだろうか
山盛りに積み上がった灰皿をみてびっくりしてからタバコを取り上げて吸いすぎだ、禁煙しろって言ってくれるのかな…いくら彼に言われたとしても禁煙は無理だと思うけどね
…
ゲームやアニメではよくある転生、いわゆる生まれ変わりという事象
あれは本当にあるらしく、この無限の生をすごく中で過去の友人や知り合いの生まれ変わりであろう人物と遭遇することも過去に何度かあった。
今頃、みんな生まれ変わって今世を生きているのだろうか
ヒーローになるべくした生まれたような彼らのことだ。生まれ変わってもヒーローを目指すのだろうか
それともまた別の道を歩んでいるのだろうか
ウェンくんは料理人とか?マナくんは芸人になってたりして
……もし、リトくんが生まれ変わって今を生きているのなら
僕はリトくんには会っちゃいけない
彼に会いたくないわけではない
むしろその逆、会いたくて会いたくて仕方がない
リトくんと僕は付き合っていた
同期公認の仲で、恋愛経験が乏しいので推測だがおそらく世間一般的であろう順序で、進むところまで進んだ。
幸せだった。お互い、世界で一番幸せだった
だからこそ今世を生きるリトくんとは会っちゃいけない。もし会って、前世の記憶があるとすればきっとリトくんはまた僕のことを好きになってくれる。
でもそれじゃダメなんだ
今度こそ、リトくんには普通の、幸せな家庭を築いて欲しいから
こんな一緒に歳も取れない子供も残せない僕なんかではなくて、もっと他の…別の人と幸せになるべきなんだ
ふと赤いタバコの先端から目を逸らして外を見つめてみる
住んでいるアパートの近くの公園を見てみると、遊具遊ぶ子供や仲睦まじく散歩をする老夫婦、ランニングをするやたらと体格の良い橙色と水色という派手な髪色の男性が…
……ちょっと待てよ
ランニングをするオレンジ色の派手な髪色の男性?!
思わず二度見してしまった
そこにいたのは間違いなくリトくんで、
びっくりした拍子にタバコを腕に落としてしまって「あっっっつ”“!!!!」とそこら中に響くぐらいのでっかい声が出てしまった
バレてないかなと咄嗟に彼の方を見ると
目が合った
確実にリトくんが僕を認識したのがわかった
僕は慌てて部屋の中へ身を隠した
どうか、どうか僕の勘違いでありますよう
に……
次の日、玄関のチャイムが鳴ったのと同時に目が覚めた
寝起きの重い瞼を何とか持ち上げて「はいはーい」と言いながら玄関を開けると、そこには
昨日見つけたガタイのいい男性、僕の好きな人、リトくんが立っていた
「り、リトくん?!?!?!」
『っ!テツ!!!!!!!』
昨日のは勘違いでも何でもなかったらしい
しかも一番危惧していた可能性が当たってしまった。リトくんには確実に前世の記憶がある
リトくんは僕を見るなり全力で僕を抱きしめた
『テツ、テツ…!!会いたかった…やっと…』
「えっ、ちょっ!!!!り、リトくん!!!ここ玄関!!!!と、とりあえず上がって!!!」
ここでは誰に見られるかもわからないのでとりあえず彼を家へ入れることにした
『お邪魔しま〜す』
「へいへい、どーぞ」
そんな掛け合いですらも懐かしく、つい口元がニヤけてしまう
『テツ、このアパートやばくね?前のもだいぶだったけどここ相当やばいよ』
「失礼だな僕の城だぞ!!…前のアパートはヒーロー辞めてから家賃払えなくなっちゃったから安いとこに引っ越したの」
『…そっか』
それを聞いて、リトくんは少し悲しそうな顔をした。…君がそんな顔する必要ないのにな
「まぁまぁそんな気にしないでさ!あ、ちょっと待ってね…はい!ここ!座布団座って良いよ」
空気を仕切り直すべくなるべく明るいトーンで切り上げ、乱雑に置かれたガラクタたちを端に追いやり普段自分の使っている座布団を開けたスペースにひいて座るように促す
リトくんが腰を下ろしたのを確認して僕もちゃぶ台を挟んだ、リトくんの向かい側の床に腰を下ろし、リトくんの今世の話聞いてみる
リトくんは今はジムトレーナー一本で生活しているらしかった
一応僕もヒーローを辞めたこと、今は大学とバイトのみで生活していることなどを話した
「で?リトくん本題に入らせてもらうんだけど」
『おう』
「リトくんは何で俺の家を知ってるの!!!」
リトくんはそこからかみたいな顔で瞬きを数回してから口を開いた
『俺、ずっと探してたんだよテツを』
『ほんとはもっと早く見つけてやりたかったんだけどこれが意外と大変で…』
リトくんは僕を見つめてくしゃっと笑うと
『でも、ちゃんと見つけれてよかった』
そう言ってちゃぶ台に上半身を乗り上げて僕の手を握った
『テツ、愛してる。もう離さないから』
「ま、待ってリトくん!!!!」
危うくこの色男の言葉に流されるところだった
「ダメだよリトくん!!!僕決めたんだ!今世こそリトくんには普通の幸せを手に入れてもらうって!!」
握られた手を解いて後ずさりリトくんから距離を取ってそう言うと、リトくんは『はぁ?!』と言いながら眉間に皺を寄せた
でもこればっかりは譲れないのだ
「リトくんには、ぼ、僕以外のいい女の人と結婚して、幸せな家庭を築いて欲しいの!!だから、」
自分で言っておいて泣きそうになってきた
僕だってせっかく再開できたリトくんから離れたくない。でもこれがリトくんにとっては最良の選択で…
『テツ』
「っ……」
『そんな泣きそうな顔で言われても説得力ねぇよ』
リトくんは立ち上がって僕に近づき、片方の手をぎゅっと握り、もう片方の手で僕の今にも溢れそうに溜まった涙を拭った
『俺さ。一回でもお前に世間一般の、普通の幸せが欲しいなんて言ったことあったか?』
「それ、は…ないけど…」
『だろ?俺は普通の幸せとかそんなのいらないの。俺が欲しいのはテツの特別、テツの隣。それだけ。テツが居てくれさえしたら、それが俺にとって一番の幸せなの。わかる?』
「そんなの…!」
僕だってと言おうとしたところで涙が決壊して、うまく喋れなくなった
「僕だって…!!リトくんにずっと、ずっと会いたかったもん…!!!でも!リトくんには、ちゃんと、ちゃんと…幸せになってほしくて…!!」
リトくんはまた僕の涙を優しく拭って微笑んだ
『テツ。ほんとのこと言って?…俺の幸せとかじゃなくてさ、テツがどうしたいかを聞かせて?』
「っ……!」
「ぼ、僕は…僕は…」
自分が身を引くことがリトくんの1番の幸せになると思っていた
リトくんには綺麗な女の人と結婚して、素敵な家庭を築いて欲しかった。それが彼の1番の幸福になると信じて
でも、いいのだろうか
僕のわがままをぶつけても
「僕は…!!」
いいのだろうか、君と、幸せになっても
「僕は!、僕も!リトくんとずっと一緒にいたいよ…!!!他の人に取られるなんてやだ!!リトくんと、幸せになりたい…」
溢れ出る涙で揺れる視界の中で、彼が嬉しそうな笑顔を浮かべているのがなんとなくわかった
彼は僕の手を一層強く握って、片方で僕の頭をポン、と撫でた
『ちゃんと言えたじゃんテツ。それでいーんだよ。お互いそう思ってんだから、変なこと考えんな』
「うん…」
リトくんに頭を撫でられながらひたすらにうんうんと頷く。そうしてるうちにだんだん気持ちも涙も落ち着いてきた
『じゃあさ?テツ。キスしてもいい?』
「うぇ?!え、あ…えっと…い、いいよ…」
久しぶりのそれに許可をした瞬間、目の前がリトくんの色でいっぱいになった
何度も何度も角度を変えてキスをされる
久しぶりのキスが嬉しくて、それだけでまた泣きそうだった
『ほーらテツ?泣かないで?目溶けちゃうよ』
「だってぇ…!」
2人はしばらく抱き合い、手を繋ぎ、キスをして甘い時間を過ごした。これまでの空いた空白を埋めるように
『あ、ちなみに俺もう離れる気も離す気もないからさ。テツ、うちに住んでくんね?こんなボロアパートよりかは遥かに優良物件だからさ』
「だからこんなって言うなよ一応今の俺の城だぞ!!!…まぁでも?リトくんがそんなに言うなら仕方なく?リトくんちで一緒に住んであげてもいいけどね!!?」
『wwwお前w照れ隠しへったくそなのw変わんねえのなw』
コココwと昔と全く変わらない鶏のような声で笑う彼につられて俺も久しぶりに声を上げて笑ってしまった
あぁ、幸せだな
コメント
1件
うわあ、ついに再会しちゃったんですね…! 第1話をもう読んでるので、この展開は待ってましたって感じです。公園でタバコ落とすシーン、目が合って逃げるテツの慌てっぷりが目に浮かんで思わず笑っちゃいました。でも「リトくんには会っちゃいけない」って自分を抑える葛藤が切なくて…リトが「テツがどうしたいか聞かせて」って言いながら涙を拭くところ、本当に優しくてグッときました。前の人生でみんな失ってしまった分、今度こそ幸せになってほしいです。続きがすごく気になります!
2,477