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最後に試練を受けるのは、3兄妹の末弟・晃平。
槍の使い手としての道を極めるため、
彼に与えられた試練は「耐えること」そして
「貫くこと」。
その修行は、肉体と精神の限界を超えるものだった。
門行〜苦抜け門 〜
大天狗
「最後の修行は晃平だ。
お前の修行場はここじゃ。」
大天狗の指さす先には大きな門がある。
この門は「苦抜け門」。
巨大な木製の門は、霊的な封印が施されており、
ただの力では決して開かない。
大天狗が鋭く言い放つ。
大天狗
「晃平、お前の槍は攻撃だけの武器ではない。
お前自身を支え、道を切り開くものだ。」
青天狗が門に手をかざしながら続ける。
青天狗
「ここを通るには、千本の槍突きを打ち続けねばならん。
しかも、並の槍突きではダメだ。
一撃ごとに魂を込め、全身全霊をかけよ。」
晃平
「せ、千本?
しかも、い、一撃ごとにって…
ふう…
やってやる!」
一瞬、僅かだが晃平の表情が曇る。
晃平は家康の霊を憑依させ槍を構え、深く息を吸った。
試しに一突き――
ガギッ!
だが、門はびくともせず槍は簡単に弾かれる。
門を超えるには、純粋な力だけではなく、
集中した霊力を槍にこめねばならない。
晃平
「セイッ!」
「ハッ!」
「ハァァッ!」
突きを繰り返す。
100本、200本……体力が奪われ、腕が痺れ始める。
脚が震え、膝が崩れそうになる。
晃平
「くそっ……こんな単純な動作を千回なんて…
無理だ……!」
すると、家康が語りかけてくる。
家康の霊
「強さとは、一瞬の力ではない。
集中を続ける者が最後に勝つ。」
その言葉に、晃平は歯を食いしばる。
ただの突きではなく、
槍に「想い」を込めなければならない。
この門を突破し、己の槍を完成させる
――その執念が必要なのだ。
晃平は呼吸を整え、
全神経を集中しながら突きを繰り出した。
300本、400本……900本……
そして、ついに――千本目の突きを打ち込んだ瞬間。
バゴォォン!
門が、わずかに軋んだ。
晃平
「……ッ! やった……!」
しかし――
大天狗
「……まだ足りぬ。」
青天狗
「はは!…だが、
突破の兆しは見えたな。」
晃平は膝をつきながら、
悔しそうに拳を握る。
(まだ、俺は……足りないのか……!)
橋行〜みやま橋 〜
次なる修行の場は、
風が吹き荒れる吊り橋**「みやま橋」**。
揺れる橋の上で、強風と恐怖に耐えながら、
己の精神と体幹を鍛える忍耐試練が待っていた。
大天狗
「この橋の中央に立ち、
槍を抱えたまま、一歩も動かずに耐え抜け。
風が吹きつけても、耐え抜き、
己の中心を貫くのだ。」
青天狗
「この試練は、ただの忍耐ではダメだ!
風を感じ、受け入れ、
その流れに逆らわぬことだ。」
晃平は橋の中央へと進み、槍を両手で抱えながら立った。
強風が容赦なく吹き付ける。
みやま橋の上には、突風が絶えず吹き荒れ、
何度も体勢を崩されそうになる。
晃平
「うわっ!くっ……!
落ちたら終わりだ……!」
槍を支えに耐えるが、全身の筋肉が悲鳴を上げる。
この風をただ我慢するだけでは、いつか力尽きてしまう。
そのとき、再び家康の霊が囁く。
家康の霊
「強さとは、倒れぬことではない。
倒れそうになった時に、
どのように立ち直るかがすべてだ。」
風を無理に受け止めるのではなく、その流れを感じ、
逆らわずに身を委ねる。
まるで橋そのもののように、しなやかに、
しかし確固たる力で大地を捉える――
次第に、少しずつ風の流れが読めるようになった。
体勢を崩しそうになる瞬間、逆らわずに重心をずらし、
風の一部となり受け流す。
徐々にだが、体の揺れが小さくなっていった。
大天狗
「その調子じゃ。
門が完全に破れるまで続けるのじゃ。」
晃平
「ふう〜でも、何かが見えてきた気がする。」
その言葉に、晃平は静かに槍を握る。
晃平は、決意を新たにする。
槍の真の力を求め、試練へと歩みを進めるのだった――