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第8話 最終試練 〜福徳弁財天洞窟の妖怪〜
3兄妹の修行が、ついに最終局面を迎えていた。
高尾山での過酷な試練を乗り越え、
それぞれが新たな力を手にしようとしていた。
竜之介の修行 〜天狗岩〜
竜之介の試練は、
霊力を宿した巨大な天狗岩を断ち割ること。
しかし、何度斬りつけても岩は微動だにしない。
剣の力だけでは、
この試練を突破することはできなかった。
「力だけでは、決して割れぬ……」
大天狗の言葉を思い出し、
竜之介は目を閉じた。
滝行で学んだ教え——大地と一体となることを思い出し、呼吸を整える。
静かに剣を構え、心を研ぎ澄まし信玄の力を感じ取る。
すると、天地の霊気が剣へと流れ込んでくるのを感じた。
「これが俺の全力……! うおおおお!!」
剣が輝き出し、竜之介は渾身の力を込める。
「天地斬破(てんちざんぱ)!」
「キンッ!!…ゴゴ〜ン!!」
剣が巨大化し、一閃のもとに天狗岩を両断。
霊力が爆発し、岩は見事に真っ二つに砕け散った。
「はあ…はあ…!!
これが、俺の新しい力……!」
信玄が語りかける
「我の力を新たに解放したな!
存分に使うが良い!」
千姫の修行 〜天狗の108階段〜
千姫の試練は、目隠しをしたまま、
縦横無尽に飛び交う鬼火を撃ち抜きながら、
108段の階段を駆け上がることだった。
最初は焦り、弾を外し続ける千姫。
「感じるのだ、空気の揺らぎを……」
大天狗の助言を思い出し、
感覚を研ぎ澄ませる。
風の流れ、温度の変化、空気の動き
——それらが鬼火の動きを伝えてくれる。
「見える……!」
千姫は信長を強く感じ、
火縄銃を構え、一瞬で照準を合わせる。
「雷迅轟弾(らいじんごうだん)!」
「タタタタッ!!ボンッ!! ボンッ!! ボンッ!!」
稲妻のごとく連射が走る。
閃光と轟音が響き、鬼火を次々と撃ち抜いた。
最後の鬼火を粉砕した瞬間、
彼女は階段の頂上に立っていた。
「や、やったわ……!
これが私の新しい力…!」
信長が語りかける。
「ほほう…!
やるのう!その調子じゃ!
我の力をもっと引き出すのじゃ!」
晃平の修行 〜苦抜け門〜
晃平は槍の極意を習得するため、
「苦抜け門」の試練に挑んでいた。
千本の槍突きを門へ打ち込むが、
門は微かに軋むだけで開かない。
疲れ果てた晃平は、大天狗の言葉を思い浮かべる。
「槍はただの武器ではない。
風を感じ、敵の動きを読むのだ」
風の流れに身を委ね、晃平は目を閉じる。
風と一体化し、槍を静かに構える。
最大の集中力で突きを放つ。
「槍神貫破(そうじんかんぱ)!」
「ズズズズッ…ゴゴゴン!!」
槍が回転しながら突き進み、大気を切り裂く。
爆風を生みながら、門を貫く。
轟音と共に門が崩れ落ち、光が差し込んだ。
「はあ…はあ…!! 俺は……突破した……!
これが僕の新しい力…!!」
家康が語りかける
「フォフォ!
真の力に気付いたようじゃの!
その調子じゃ!
我の力を存分に引き出すのじゃ!」
大天狗
「よくやったお前達!
皆、見違えたな!これからいよいよ、
最終試練に案内する!
今のお前達の力が有れば、きっと打ち勝つであろう!」
3兄妹は合流し、大天狗の導きのもと、
最終試練の場所「福徳弁財天洞窟」へと足を踏み入れた。
そこには、大天狗の妖力で具現化した幻覚妖怪が
待ち受ける。
大天狗
「この洞窟には、
わしの妖力で具現化した幻覚妖怪が、
待っている。コイツを撃ち倒すのじゃ。
わしの妖力は、強いぞ!
幻覚妖怪と言えど、実戦と変わりない!
心してかかるのじゃ!」
竜之介、千姫、晃平
「はい!」
竜之介達は洞窟の奥に進む。
あたりは薄暗く、両脇の蝋燭の火で道が出来ていた。
しばらく進むと広い空間に出た。
晃平
「何か来る…」
「ズズン…ズズン…ズズン!」
奥から重そうな音が近づいてくる。
大天狗の声が響いてくる。
「コイツがわしの妖力で作った
幻覚妖怪・岩迅鬼(がんじんき)じゃ。
全身が黒曜石のように硬く、
通常の攻撃では傷一つつかないぞ。
お前達の全力で戦わねば勝てん!
全てを出し切るのじゃ!」
「ゴゴゴゴ…」
岩迅鬼が姿を現すと、鋭い眼光が3兄妹を射抜いた。
「ブオオオオ!!」
「ゴオオオオン!!」
岩迅鬼が地面を叩きつける。
「ドゴオオオオオオッ!!!」
衝撃波が広がり、周囲の岩が砕け飛ぶ!
竜之介が素早く回避しながら隙を狙う。
竜之介
「ええい!」
「ギギンッ!!」
刀が岩迅鬼の肌に触れるも、
「キィン!!」
鋭い金属音と共に弾かれてしまう。
「なんて硬さだ…!」
千姫
「闇雲に攻撃をしても効かないわ!
バラバラに攻撃するのではなく、
皆で一斉に一撃を繰り出せば、
倒せるかもしれない!」
晃平
「そうだね!…
は、見て兄上達!
岩迅鬼が地面を叩いた後、僅かに動きが止まる!
一見、身体の表面は岩で硬いけど間接の繋ぎ目は細い!
動きが止まった隙に
複数の間接に強力攻撃が当たれば倒せるはず!」
「ドスン…ドスン…!」
竜之介
「よし!
千姫、晃平!
アイツの動きの隙に合わせて
必殺技で複数の間接を一斉攻撃だ!」
千姫、晃平
「よし!」
千姫
「私の動きで岩迅鬼を翻弄するわ!!」
「シュンッ!シュンッ!シュンッ!」
千姫は雷の如く素早い動きで、不規則に動く!
晃平
「俺が斬撃を防ぐ!」
「ガギン!ガギン!ガギン!」
晃平の長槍が岩迅鬼の振り下ろす爪を
ことごとく跳ね返す。
竜之介
「よし!くるぞ!…今だ!!」
「ゴオオオオン!!」
岩迅鬼が地面を叩きつけて衝撃波を発生させたと同時に
三人が必殺技を繰り出す。
竜之介
「うおおおお!!
くらえ!
天地斬破(てんちざんぱ)!!!」
「ズバァァァァァン!!!」
巨大化した刀が肩の間接を貫く!
千姫
「えええい!
いっけええ〜!!
雷迅轟弾(らいじんごうだん)!!!」
「ボンッ!ボンッ!バリバリバリッ!!」
強力な銃弾が足を粉々に砕く!
晃平
「これで終わりだ!!!
ドリャあああ!!
槍神貫破(そうじんかんぱ)!!!」
「ズドドドドドッ!!!」
鋭い槍筋が腰を貫き大きな穴が開く!!
「ギャアアアアアアアアッ!!!」
岩迅鬼は動きを止め、
崩れ落ちると共に煙となって消えた。
竜之介
「しゃああ!!
俺たちの勝ちだ!」
千姫
「ふうう…私達勝ったわね!」
晃平
「はあ…はあ…見たか!俺たちの力を!!」
青天狗
「ま、マジか…
倒しちまった…へへ…凄えや!」
月夜
「凄い!凄い!やったね!」
大天狗
「お前たち、よくぞ勝った!!
お前たちはかなりの力を秘めている!
今後が楽しみじゃ!!」
大天狗は今までの厳しい表情から
親の様な優しい顔で3兄妹に微笑む。
試練を終えた3兄妹。
そこへ一人の僧侶が修道に向けて、
慌てふためいて走り寄ってきた。
僧侶
「修道様!修道様!大変です!
妖怪が町を襲撃しています!
助けて下さい!」
修道
「何だと!
遂に妖怪共が本格的に動き出したか!
こりゃ行かん!!
直ぐに向かわねば!」
修道は慌てて緊張した表情に変わる。
竜之介
「叔父さん。
この人は?」
修道
「おお!
この人は人間界を守る守護者達をまとめてる組織
密教 護法蓮華(ごほうれんげ)の伝者だ!
護法蓮華は代々お前たちの様な
人間界の守護者を育てている組織じゃ!
今後は、護法蓮華から情報と行動指示が来る予定だ!」
僧侶
「キミたち、よろしくお願いします!」
竜之介、千姫、晃平
「よろしくお願いします!」
「……行こう!」
3兄妹は大天狗に一礼し、妖怪退治へと向かう。
試練は終わったが、戦いは本格化していく——
3兄妹は大戦に向けて刻々と近づいていく。