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pnside



日は沈み静かに月が光り出す。

月明かりが病室を照らし冷たい風が病室に流れる。

今日は空気が澄んでいて星がよく見える。

そういえばもうちょっとで流星群なんだっけ。


こん ×3 ヾ


rd「入るね」


聞き慣れた声のはずなのになぜだか胸が締め付けられる感覚がした。

小さな棘が刺さったように少し痛む。


rd「こんばんは」


そう言って柔らかい笑顔を見せる先生を見てられなくて目を逸らす。

そんな俺を見てもやっぱり先生は怒ったり責めたりしない。まるでここを照らした月のように。


それでもいつもと少し違った。

俺の様子を伺ってあえて話しかけず、俺の答えを待っているようだった。

俺が昼間あんな感じだったから。それを思い出すと更に胸が痛くなって罪悪感でおかしくなってしまいそうになる。


pn「先生 …」


rd「.. ん? どうしたの?」


pn「昼間 … ごめんなさい 、」


rd「気にしなくていいよ」


俺がぽつりと謝ると先生はすぐにそう言ってくれた。

カーテンを結んだ後に俺の近くの椅子に腰掛けた。


その声があまりにも優しくて俺の心は揺れ動いたような感覚に襲われた。

それでもやっぱり申し訳なくて目を合わせられなくて首元だとか耳とかを繰り返し見つめるばかりだった。


rd「なぁに .. 、 目合わせてよ」


先生はそう言って俺の目の前までぐいっと体を寄せてきた。

先生の透き通った深い藍の瞳に吸い込まれそうになってしまう。


何とかちゃんとわけを話さなければ…とは思うものの言葉が出てこない。

ちゃんと謝らないと … 謝らないといけないのに。

焦って冷や汗が出てくる。先生はそんな俺を見て背中をさすってくれた。


rd「大丈夫だよ、無理に話さなくて」


「ここにいるだけでいいんだよ」先生は優しくそう言ってくれた。

焦りで乱れた呼吸も心臓の鼓動も、先生の大きく暖かい手がそれをおさめてくれた。

その言葉に俺は何も返せず目を細めたけど、胸の奥が少し解けたような気がした。


そのまま沈黙の時間が流れた。

先生はカルテに何かを書き込んでいて、中々見ない様子に目を離せなかった。


rd「…ん? 笑ヾ」


pn「あぁいや … 、」


「そっか」とだけ言って先生はカルテに目線を戻した。

俺も窓の外にある星を眺めた。

俺が飛び降りた日は雨が降ってたっけな。

そんなことを考えてたらこんなことどうでも良くなって …


pn「今日 …」


rd「ん?」


pn「今日、… 調子悪くて 、」


rd「うん」


pn「その 、 … えっと 、」


言葉が出てこない。

口に出したら全て出てきてしまいそうで。終わりが見えなくなってしまいそうで。それなら最初から言わない方がいいんじゃないかと思った。

先生はなんとか言葉を出そうとしていることに気づいて変に何か話したりはせず、「大丈夫」と一言言ってくれた。

その言葉の暖かさに包まれて俺はゆっくり呼吸が出来た。

落ち着いて。ちゃんと話せば伝わるから。


pn「…今日、あんまり気分が良くなくて、」


rd「うん」


pn「気持ちがよく分かんなくなって ッ ..」


rd「そっかそっか、」


rd「大丈夫だよ」


rd「そんな日もあるし、仕方ないよ」


rd「話してくれてありがとう」


それでも俺の心は完全に晴れたわけじゃなくてどこか苦しかった。

今 俺の前にいるはずの先生がなんだか遠くにいるように見えて、まるで触れたら消えてしまいそうで。


pn「せんせ ッ 、」


pn「ッ やだ 、 行かないで …」


rd「…?」


rd「… 大丈夫、どこにも行かないよ」


pn「ッこわい 、 」


rd「ぺいんとくん、深呼吸しよっか」


そう言って先生の手は再び俺に優しく触れた。

一緒に呼吸して、やがて落ち着くと先生は水を飲ませてくれた。




rd「そうだ、」


pn「?」


rd「明日は整形外科の先生が来る予定なんだ」


pn「…なんで 、」


入院してからのほとんどが先生と過ごしてきたから他の先生に診られるのが怖くなった。

先生みたいな安心感と穏やかさがないのを知っているから。整形外科の先生が来るということだけで不安で胸が苦しくなり、目を伏せる。


rd「大丈夫、俺もいるから」


先生は落ち着いた口調でそう言った。

俺は驚いたように目を上げそれから先生の目を見て小さく頷く。

整形外科の先生が俺の骨の状況を見て、結果次第では車椅子に乗れるかもしれない、と先生は言った。


rd「車椅子乗れたら流星群も見れるね」


pn「..うん」


rd「一緒に見に行こっか」


pn「うん」


rd「…ふふ、 たのしみだなぁ … 、」


先生は窓を大きく開けて星を見上げたままそう言った。


rd「さーて、そろそろ寝る時間かなぁ …?」


pn「ッ また … !!」


rd「?」


pn「 …  、 なんでもない 、」


「また来て」

その一言が言えなかった。いつも俺は最後の最後で思いを伝えられない。

きっと先生は何事も無かったかのように明日もここに足を運んでくれる。

それでもどこか不安だった。

けれど先生はその言葉を追及せず、静かに微笑んだ。


rd「おやすみ」


pn「…うん」


先生の「おやすみ」は魔法のようで、聞くとすぐに眠気に襲われる。

それがどこか心地よくて俺は静かに瞼を落とした。







 

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コメント

1

ユーザー

pnちゃんちょっとずつ心開いてる、? めちゃ良かったです😚

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