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夏祭りが終わってから、俊哉との距離がちょっとだけ縮まった気がしていた。最初はただの幼馴染としてしか見てなかったけど、最近、なんだか胸がドキドキするようになって、気づけば俊哉のことを意識している自分がいた。
だから、勇気を出して、ついに告白してみた。
放課後、俊哉を呼び出して、少しだけ人通りの少ない場所に二人でいる時。
「ねぇ、俊哉。あたし、ずっと思ってたんだけどさ…。」
「ん?」俊哉はちょっと驚いた顔をして、こっちを見てくる。
「…あたし、俊哉のことが好き。」
自分でもびっくりするくらい、言葉がすんなりと口から出た。でも、言ってしまった瞬間、胸がいっぱいになって、手のひらが少し汗ばんだのがわかる。
「…え?」
俊哉は一瞬、何も言わなかった。顔が少し赤くなって、きょろきょろと目を逸らしている。その姿を見て、ちょっとだけ期待してしまったけど、俊哉は結局、言葉を飲み込んでしまった。
「ごめん、ちょっと…急すぎて、俺、まだどう答えたらいいか…。」
俊哉が頭をかきながら言う。
「だよね…急すぎたよね。」
心の中で、あたしは少しだけショックを受けたけど、俊哉の表情を見ると、全然悪気はなさそうだってわかる。でも、どうしてもモヤモヤした気持ちが残った。
「ううん、いいの。無理に答えてくれなくて。でも、ちょっとだけ気持ちが落ち着いたら、教えてくれたら嬉しい。」
俊哉は少し黙って、うなずいた。
「わかった。ありがと、ありさ。」
その言葉があたしにはなんだかすごく温かくて、少しだけ安心した。でも、心の中でどうしても「答えが欲しい」って思ってしまう自分もいた。
その後、俊哉と別れて家に帰る道。
あたしの心の中では、いろんな思いがぐるぐるしていた。告白して、結果は保留。でも、それでも俊哉からの「ありがとう」が、少しだけ希望を感じさせてくれる。
「大丈夫、きっと、待ってたら答えが出るはず。」
そう自分に言い聞かせながら、家に帰る足取りが軽くなった気がした。
家に帰ると、リビングでみんなが集まっていた。大和が机に向かって勉強しているのを見て、あたしはその横に座りながら話しかけた。
「ねぇ、大和。あたし、今日…告白したんだけどさ。」
「え!?告白!?マジで?」
大和は顔を上げてびっくりしている。なんだか、ちょっと照れくさいけど、私はうん、と頷いた。
「でも、返事は保留だった。」
「そっかぁ…。でも、返事が保留って、まだ可能性があるってことだろ?」大和は少し考えてから言った。
「うん、そうだね…。」
大和はしばらく黙って考え込んだ後、ふと顔を上げてにっこり笑った。
「絶対、うまくいくよ。ありさ、頑張れ!」
その言葉に、ちょっとだけ元気をもらえた気がした。 この前は、反発してきたのに。大和も千奈に告れたかな?
その夜、寝る前にメールを開いてみると、俊哉から「また話そうな」というメッセージが届いていた。それだけで、あたしの心は少しだけ安らいだ。
「待ってみよう。」
そう思いながら、スマホを閉じて、目を閉じた。