初連載
 
 
 腐なし
 
 
 BEASTの世界線です
 
 
 ほぼほぼBEASTのお話と変わりはありませんが、途中で自分らしくBEASTの続きの物語を書いて行きたいと思っております。
 
 
 地雷の方はまた会いましょう。
 。.ꕤ………………………………………..ꕤ.。
 コツコツ。
 織:(老人では無い…)
 織:誰だ。
 太:「やァ、織田作」
 太:久しぶり。
太:1杯やるにはまだ早いかな?
 織:久しぶり、と云ったな
 織:俺と逢ったことがあるのか?
 太:いいや、初対面だ
 太:この店に来たのも初めてだし此処で酒を飲むのも初めてだし
 太:君と此処で逢うのも初めてだよ、織田作
 織:ひとつ訊ねたいんだが
 織:その織田作というのは俺の呼び名か?
 太:そうだよ、その名前で呼ばれた事はない?
 織:ないな。
 太:ともかく座りなよ織田作、何を飲む?
 織:ギムレット、ビターは抜きで。
 太宰と名乗る男は俺とグラスを合わせる仕草をした。
 だが、俺はそれに応じなかった。
 相手がまだ信用出来る相手だと見極めていなかったからだ。
 太:ねぇ、織田作。
 織:なんだ。
 太:織田作は、私と君が友人”だった”と言ったら信じるかい?
 織:…時と場合による。
 太:じゃあ、今は信じるかい?
 太宰と名乗る青年の目はとても真剣で、とても力強かった。
 織:いきなりそんな事を言われても、俺には分からない。
 太:…そうかい。
 織:何故そんな事を聞くんだ?
 太:…それはね
 太宰は何処か、寂しそうな眼をしていた。
 太:私と織田作は、友人だったからだよ。
 織:友人?
 太:あっ…その、今のは忘れてくれないかい?
 太宰は焦っているように見えた。
 織:嗚呼。
 俺はグラスに口を付ける。
 なんとも微妙な空気になってしまった。
 話題を変えなくては。
 織:太宰、と言ったな。
 太:そうだよ。
 織:今、俺の部下は少し厄介事を起こしていてな。
 織:それにはポートマフィアも関連している。
 織:だから俺は、芥川を救う為にいい情報交換が出来ればとここに来た。
 芥川という名を出したのは正解なのは置いておき、ともかく相手の観察せねば
 太:その件なら安心し給え、織田作
 太:芥川君を危険に晒す事はないよ
 太:そもそも、元からそのつもりだ
 織:何の為に芥川をマフィアビルに引き寄せたんだ、太宰
 太:気づいたんだね
 織:ただのまぐれだ
 織:とはいえ、一応根拠はある
 織:厄介事の内容を話していないのに、お前は随分と分かりきっていた様に話していたな。
 織:芥川の事も
 織:それに、最初から報復する気はないと言ったな。
 織:つまり、お前は最初から芥川がマフィアビルに侵入する事を知っていたと言う事になる。
 織:そんな予測が可能なのは一人だけ、
 織:マフィアの首領だ。
俺は、太宰に銃を向けた。
 太:…銃を下ろしてくれ
 織:無理なお願いだな、相手が悪い
 織:何故なら相手は夜の世界を仕切るポートマフィアの首領だからな
 太:なりたくて首領になった訳じゃない、本当だ…!
 太:織田作、何故芥川君をマフィアビルに引き寄せたんだと聞いたね
 太:それは、この世界を守る為だ
 織:この世界を?
 太:この世界は無数にある内の一つでしかないんだ
 太:そして別の、本来の世界では私と君は友人同士だった
 太:この酒場で酒を飲み、僕等以外のもう一人の友人と、くだらない話をして過ごした
 
 
 
 太:そう、君と私は友人同士だったんだ。
 織:仮にそうだとしても、お前が今回芥川にした事が消える訳でもない
 太:織田作聞いてくれ私は…!
 織:俺を織田作と呼ぶな。
織:敵にそんな風に呼ばれる筋合いは無い
 太宰は段々と目線を落とした
 太:大変だったんだ…
 太:本当に大変だったんだ、君のいない組織でミミックと戦い、森さんの後をやむなく継ぎ、全てを敵に回して組織を拡大させた
 太:それは、全ては…!
 太:全てはこの世界の…!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 俺は太宰に銃を向けた。
 太:…っ。
 太:…。
 太:君をここに招いたのは、最期のサヨナラを言う為だ
 太:サヨナラを云うべき相手がいる人生は善い人生だ
 太:そのサヨナラが心底辛くなる相手なら云う事は無い
 太:違うかい?
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 織:嗚呼、その通りだ
 太:もう行くよ
 太:撃ちたければ撃っていい
 太:もし我儘が許されるなら、一つ頼みたい
 太:この店でだけは銃を使わないでくれ
 太:此処以外の場所なら何処で撃っても構わないから
 俺は銃を下ろした
 太:ありがとう
 
 
 
 
 
 太:さよなら、織田作
 織:嗚呼、さよなら。
 
 俺は何となく、太宰から孤独を感じられた
 敵でありながら、俺は何故か”助けてあげなければ”
 という言葉が込み上げて来た
 普通なら敵にそんな感情は抱かない
 だが、太宰は多分頭が切れるただの子供だ
 暗闇の中で俺達が見ている世界よりもさらに虚無で何も無い世界
 そんな世界でただ一人取り残されたただの子供だ
 だが、その孤独に土足で踏み込まなかった事に、
 
 
 少し後悔している。
太宰には、他の世界では探偵社にいて欲しい。
 何故なら、
 その方が幾分か素敵だと思うから。
 せん
 
 
 
 
 
 
 
コメント
2件
最後のせんはミスです。すみません🙇♀️