「くすぐったい日向のくに」
森の中には、小さな丘のような草のひろばがあった。
そこはふかふかの緑のじゅうたんみたいで、太陽の光がやわらかく降りそそいでいた。
ふたりは一緒にそのひろばへやってきた。
「わぁ……」
思わずかけ出したくなる場所だった。
風が通りぬけると、草がふわりふわりとなびいて、光がきらきらおどる。
くうちゃんがくすっと笑って、いきなりわたしの手をとる
「にげろーっ!」
「えっ!?まって、くうちゃん!」
ふたりは草のなかを走り出した。
風と笑い声が、空にまでとどきそうだった。
くうちゃんがころんと転んで、
わたしもつられて一緒に草に倒れ込む。
ふたりして大の字になって、空を見上げた。
「ねぇ、あの雲…うさぎにみえる!」
「ほんとだ、まほろめちゃんが走ってるみたい」
ふたりで雲を見つけて、色んな形を想像した。
お船、パンケーキ、揺れるリボン──
まるでお空が、おはなしを描いてるみたい。
その後も、草であんだ小さな冠を頭にのせたり、四葉のクローバーをさがしたり。
くうちゃんはわたしの髪に、見つけたばかりの小さな花をそっとさして、
うす冷たくてきれいな目でわたしをみつめてくれました。
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