拝啓 片思いの少女

拝啓 片思いの少女

”“人間のエゴ””

私はいつも人に合わせてばかり。

周りが笑えば笑い。周りが怒れば怒り。

私は何の為に人のエゴに縛られて居るのか。

私はいつしか人の顔が見えなくなってしまった

最初は勿論驚いた、だけれど何処かで安心していた。人の顔を見なくて済むと….。

周りのエゴに合わせれなくなった私は孤立していった、不思議と私は….独りになる事に喜びを覚えていた…私を縛っていた物が無くなったのだから…当たり前なのだと。

誰もが私を忘れた…

今日は涼しい…外にでも行こう..

私は屋上に行き….1人で過ごした。

その日々がしばらく続いたある日…

転校生が来たらしい。名前も知らないけれど

今日も屋上で独りで喋って居る時…

ガチャとドアが空く音がした。振り返れば..

見た事ない顔…例の転校生かな。

私はすぐ顔を逸らして….また1人で話始めた。

ねぇ..君誰と話してるの？

転校生が話をかけてきた

….星空。

星空？今は昼間だよ

私が誰と話していてもいいでしょう…？

でも僕は君の事が知りたい！君は寂しそうだ

私が..？何を言ってるの…私は1人がいいの

僕には泣いてる様に見てた…だから話しかけたんだ。

そう..じゃあ貴方はおかしな人なのね。

どうしてそう思うの？

私に興味持つ人なんて…この学校では居ない

すぐに貴方も私を忘れるわ…

そんな事ないさ、僕は君と喋ってみたいんだ

…………..

私は無言で屋上から出ていった

それから転校生は懲りずに話を掛けてきた

おはよう！

………………

返事くらいしてよ！

……おはよ。

屋上で過ごしてる時も、教室に居る時も

やっぱりここにいた

また来たの？

君がここに居ると分かっているからね

….暇なの？

失礼な！僕は暇でここにいる訳じゃない

じゃあ早く何処かに行ってよ…貴方と話してると私まで変だと思われるわ。

酷いなぁ…そう言えば君の名前は？

知ってどうするの….？

名前を知るのは友達として当たり前だろう？

私と貴方は友達じゃないわよ。私は貴方の事嫌いだもの…..

でも僕は嫌いじゃない

貴方…執拗いって言われない？

よく言われる笑

….夜空未来。

夜空未来？綺麗な名前だね

貴方の名前も教えなさいよ..不公平だわ。

僕の名前は、青空優

綺麗な名前ね…

未来って名前も綺麗じゃない？

そうは思わないわ。

お互い空が入ってるんだね、凄いと思わない？

貴方..能天気なのね。

よく言われる笑

貴方..他に話す人居ないの？

僕は転校してきたばっかりだから誰も話してくれないんだ

転校生は人気があるものだと思っていたわ。

そんな事ないさ、孤立していくだけだよ

そう言う未来はどうなの？

私に友達なんて居ないわ…人の顔が見えないんだもの。

見えない？

人の顔にモヤがかかって見えないのよ。誰が誰だか分からないわ。そしたらみんな離れていったわよ。

僕だと気付くのはどうして？

この屋上に来るのは、貴方しか居ないからよ。

なーんだ、僕の顔は見えてるのかと思った

そんな奇跡みたいな事起きる訳無いでしょ。

キッパリ言うね、少しは悩んでくれても良いのに、未来はしたい事とか無いの？

もう人の顔色伺うのは疲れたの。人の顔色を伺わなくて済むなら私はそれで満足よ。

未来は暗いなぁ、試しに笑ってみせてよ！

………….

未来はお堅いなぁ〜

貴方が明るすぎるのよ。

そんな日々が何日、何ヶ月も続いた

未来！

なによ。うるさいわね。

今日は流れ星が見えるらしい！一緒に見よう！

流れ星って、夜よ？学校に忍び込むつもり？

大丈夫！この学校の事なら任せてよ！

貴方転校生でしょ、私の方が詳しいわよ。

取り敢えず！今日の10時！屋上に来て！

分かったわよ。

私は渋々夜の学校に来て、屋上に上がった

あ！やっと来た！

なによ、早いのね。

まぁね、それよりほら！流れ星！

流れ星なんて見たのいつぶりかしら、夜の学校は真っ暗なのに、屋上は月に照らされ明るかった。

あーあ、流れ星終わっちゃった

何にでも終わりはあるわよ。

未来

何

未来は将来何になりたい？

考えた事無いわ。

そう言う貴方はどうなの？

そうだなぁ、昔は宇宙飛行士になりたかったなぁ、星とかを調べたかったんだ

昔はって、今からなればいいじゃない。

まぁ、そうなんだけどね笑

変なの。

それから、彼は屋上に来る度星の話をする

寒くなってきたねぇ〜

もうすぐで冬だもの。

冬休みかぁ〜何しようかなぁ〜

未来は？

私は家で過ごすわよ。一緒に過ごす人なんていないもの。

未来

何？

マンボウって飼育が難しいんだって、なんでだと思う？

….珍しいから？

ガラスに映った自分にびっくりして、ショック死しちゃうんだって笑

ｸｽ

なによそれ笑

やっと笑ってくれた….

え？

僕と会ってから未来はずっと暗い顔して、いつも泣いてるように見えた、だから未来には笑って欲しかったんだ。

そうだったの…..

でも今笑ったよね！これからも笑わせてあげるから！

期待しないで待ってるわ。

期待してよ！

それから、青空優は毎日、面白おかしな話を持ってきては私を笑わせた

そんな日々が続いて、明日はついに私はこの学校を卒業する。

未来も卒業かぁ〜

何よ、不満げね

寂しくなるなぁ〜ってだけだよ

貴方も卒業でしょう、私と同い年くらいでしょ

そうだねぇ、僕も卒業だ

明日はちゃんと2人で笑顔で卒業しようね。

そうだね、勿論

卒業式当日

あれ。あの子が居ないわ。何処にいるのかしら

先生

どうした？夜空

転校生の青空優って何処にいるの？

お前…どこでその名前….

先生の顔が青ざめていった。

はぁ、はぁ、

私は卒業式を抜けて屋上に急いだ

そこには、体が透けてる、あの子が居た。

やぁ、未来卒業式はどうし….

あんた！！

うわ！どうしたの未来！

あんた…転校生じゃ、ないじゃない…..

あーあ、バレちゃったか、

2年前に虐めで屋上から飛び降り自殺した、転校生の青空優。

なんで…なんで黙ってたのよｯ！！

だって、伝えたら未来はまた暗い顔をするでしょ？だから、伝えれなかった

当たり前でしょｯ！笑える訳無いじゃないｯ

巫山戯ないでｯ！！

僕がいつも通り屋上に来たら、未来が居たんだ

昔の僕みたいな顔をして。頬って置けなかった

未来には僕みたいに死んで欲しくなかったから

私はｯ！あんたが居たからｯ！！あんたが..毎日話し相手になってくれたからｯ！！今日まで生きてこれたのに…あんたが居なかったら意味無いじゃないｯ！！

未来….

巫山戯ないでｯ！！勝手に死ぬなんて許さないｯ！！

未来….聞いて…..

僕と今日まで話してくれてありがとう

僕の話を聞いてくれて、僕と一緒に居てくれて

ありがとう。

嫌よ….辞めて….

僕は、未来と話せて幸せだった、お別れは悲しいけれど、未来はこっちに来たら駄目だよ

嫌よ…いかないで。

さようなら…未来…..

優ｯ！！！

そう言って、貴方は笑顔で消えていった。

私の手には、暖かい温もりが残っていた。確かに私は優に触れてたんだ。

貴方が…いてくれたから….話してくれたから

私は…生きて来れた….貴方が、星になってどうするのよ。貴方は宇宙飛行士になるんじゃなかったの…..

私を置いて…いかないで…..

私は初めて泣いた、声が出なくなるまで、枯れてしまうんじゃないかと思う程。

私は、話かけてくれる、青空優の事が、好きだったのだと。

拝啓・片思いの少女

(人間のエゴ)

2年前に死んでしまった男の子に

恋した女の子とのお話です。