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#青春
78
らう
252
--三十五回目
「翔!今すぐ商店街に飛ばして」
「えっ?良いけど」
翔は戸惑いながらも私の肩を掴み、商店街の真ん中辺りに瞬間移動する。
その瞬間に翔を置いてけぼりにしたまま、小春は八百屋さんへと全力ダッシュする。
(確かこの辺りで話し損ねた人が…)
角を勢いよく曲がると、ちょうどそこに居た人とぶつかってしまう。
倒れそうになったその人と目が合い、思わず抱きしめるように小春は彼女を支えた。
「大丈夫?」
「ひゃっ!だ、大丈夫よ!」
小春より小柄なその少女は急いで距離を置くと、小春は迷わず彼女の手を取って近づく。
「滅亡を阻止するの手伝って」
少女は小春の言葉に信じられないように何度か瞬きすると、少し戸惑いながら食い気味に小春へと近づく。
「私は何も出来ないけど、私の姉がそういう人急いで集めてるの!」
彼女は小春の手を引きながら、商店街の奥の方へと走っていく。
「あと何分?」
「2分あれば着くよ」
小春の体内時計によればもう1分しか無いので、残念ながらその前に地球は滅亡してしまう。
「…ねぇ、名前は?」
「えっと、姉の組織は“地球滅亡阻止隊”だよ」
小春は思ったよりも直球名前に、思わず苦笑いした。
「君の名前の方を聞きたいな」
少女はそれを聞くと、少しずつ走るのを辞め、そっと小春の方へと振り向く。
「私はめい、私からも質問良いかな?」
私は改まっためいを不思議に思いながら頷く。
「私は未来視が出来る、でもどの行動の先の未来を見ても地球は滅亡しちゃって、でも…」
めいは少しだけ苦しそうに服の裾を強く握りしめる。
「貴方の未来が見えた、でも何故か時間が10:00に巻き戻っていて、今私と会っているのに、その時に私と会っていないの」
小春はめいの言葉を聞くと思わずその場で固まる、めいが言っているのは恐らく先のループの未来。
小春は今回滅亡するのは確定しているから、やり直し先の10:00の過去を見ている、未来視なのに。
「ねぇめい、10時丁度の時はどこに居たの?」
「確か、丁度ここだと思う…」
小春は足元に充満する霧を見た後に、めいの目を見て微笑む。
「私はループ出来るから次の未来で真っ先に頼りにくる、出会えて良かった」
めいはそれを聞くと何も言わずに、小さく眠そうに「そう」と呟いて、地面に倒れる。
それを支えながら小春も、意識が遠のき始め。
–三十五回目
「翔、商店街の奥の方にある大通りに連れて」
小春は翔の返事を待たずに彼の肩を掴む。
「えっ、わ、分かった?」
翔は驚きで一瞬身を固くしたが、すぐにその場へと瞬間移動する。
次の瞬間には小春は走り始め、翔も訳がわからないまま彼女の跡をついて行く。
「どうした?」
「また3分後に滅亡する!」
翔はそれを聞くと「マジか」とショックそうに呟く。
「そこの君!」
「へ?!な、なによ?」
めいを見かけたら小春は思わず彼女へと飛びつく。
「未来で私はどこに居るの?」
するとめいは暫く呆然とすると、自分の両頬を叩いて何度か瞬きする。
「東京タワー近くで見えるとでしか…」
「ナイス!」
小春はめいに手を振りながら、後ろの方で着いてきていた翔へと近づく。
「東京タワーに向かって!」
「そんな急に?」
翔は軽くため息すると、小春の腰をしっかりと支え、東京タワーの天辺へと移動した。
「わっ、えっ?!」
「こっちの方が見渡し良いだろ?」
小春はすぐに翔から離れ、鉄格子に掴みながら上からの景色を覗く。
「あそこ霧がすごい速度で出てる…」
「行ってみるか?」
翔に言われるが小春は何も言わずに首を横に振る。
「あれに当たるか吸うかで死んでしまうから」
「あぁ」
小春はその場に座り込むと、丁度また電話が鳴る、由貴からだ。
だが小春は誰なのかを確認すると、それを手に持って空へと投げた。
「アグレッシブだなぁ」
「しょうがないでしょ」
小春は既に霧が充満している東京都を見たあとに、翔へと振り返る。
「電話に出ちゃったらさ、気が変わるから、もしも今の由貴に、辞めてって言われたら」
彼女はそこで言葉を止め、翔へと何事も無かったかのように微笑む。
そして翔へと近づくと彼の腕時計を見る。
「3分経ったね、3分以内はあったけど、3分以上は初めてだ」
そんな小春を見て、翔は少しだけ強く彼女の手首を握る。
「小春が唯一の救いなのは、確かだと思う。そして小春が全てを背負う必要が無いのも確かだ、でもな」
彼は小春を抱きしめると、慰めるように背中をさする。
「小春がしたい様にすれば良い、その為に俺を利用していても」
翔は少しだけ離れて微笑む、小春にはその光景がどうしても、由貴と重なってしまった。
「俺の未来のお嫁さんに、協力したいって思ったから」
小春はそれを聞くと、少しだけ悲しそうに笑う、そして彼女が翔の裾を引っ張ると。
そのままタワーから二人一緒に落ちて行く。
「分かった、次こそは、やり遂げるから」
薄れて行く意識を抑えながら、言いたかったことを最後まで言い。
–三十六回目
コメント
1件
ループを重ねるたびに少しずつ情報が集まって、めいちゃんに出会えたのは大きかったね…!でも由貴からの電話を投げ捨てたシーン、切なかったな。翔くんの「利用していても」っていう台詞がグッと来たよ。小春の孤独と強さが伝わってくるエピソードだった。次はどうなるのかな…続きが気になる〜🥀